42/104
黒の系譜01-??『ただいま』
目を覚ますと、そこは見慣れた屋敷の中だった。
傍らにはいい香りのリカムティーと、付け合せだろうパンがある。
オレは少しリカムティーを口にする。
微かな甘みが口の中に広がり、気分が安らぐ気がした。
パンは……食べない。
目覚めたばかりで床に伏せりたくはないしね、うん。
「ん……」
ベッドの淵で寝息を立てていた彼女が、ゆっくりと目を覚ます。
まだ少し寝ぼけ眼だが、それでもオレが起きているのに気付くと表情が少し和らいだ。
オレは言う。
「ただいま、ミラ」
彼女は優しく微笑む。
「おかえりなさいませ、クロ様」
そこから先に起きたことはオレたちの名誉の為、秘密にさせて貰おう。
ただ、彼女と一緒にのんだリカムティーは、少し塩っ辛い味がした。
――こうして、オレはこの愛すべき世界へ帰って来れた。




