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黒の系譜  作者: 木根樹
黒の系譜―第一章〝黒の目覚め〟
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黒の系譜01-25『よくわかる異世界教室〝生物〟』

はい来ましたよ説明回。

説明回といえば、私は応募とかしていないんですが、なろうコン? と言うのの総評に『説明が丁寧に説明され過ぎていて、もっと描写で表して盛り上がりを出した方がいい』みたいなことが書かれていた気がします。

……うん、そのうち話を上手くまとめる練習とかしてみよう。

 明け方、寝苦しく感じて目を覚ますと、何故か身体が動かない。

 これが話に聞く金縛りか、と寝ぼけた頭でぼんやり考えていたのだが、頭が冴えてくるとすぐに原因がわかった。

 

「すぅ…………すぅ………………」


 オレの真横、その豊かな二つの偉大な膨らみでオレの頭を優しく包み込んでいる者が一人。

 パジャマ代わりに来ている服のサイズが合っていないのか、豊かな膨らみははちきれんばかりの迫力で、白くて柔らかそうなお腹もちらちら見えていて、どきどきが止まらない。


「ぐがっ! ぐごぅ…………!」


 もう一つは真上、というかオレのお腹の上に乗っかりビックリするほどの騒音を発している。

 驚くほど凹凸がないので変な気になることはないのだが、身体の上で動かれるたびに服がずれてくすぐったい。


(そう言えば、昨日は二人とも泊まったんだっけ)


 しかし二人とも別の部屋で寝ていたはずなのに、どうしてこうなった。

 

――昨日の特訓後、すっかり日も暮れてしまっていたのでミラがエミリーやルーさんに泊まるよう勧めたのだ。

 一緒に夕飯を食べ、一緒にお風呂に入り(いや、オレは断ったよ? 断ったけどルーさんに抱えられて連行されたのだ。つまりは不可抗力である仕方がないでも大変眼福でした)、お風呂で寝落ちしたエミリーを客間まで運んで、それぞれの部屋に戻って寝た、はずである。

 

 事態がよく飲み込めないので説明を求めたいのだが、二人とも気持ちよさそうに眠っていて起きる気配が全くない。

 オレも二度寝しようかと思ったのだが、気持ちいいやら寝苦しいやらで目がさえてしまって寝付けない。

 結局朝になって二人が起きるまでオレは悶々として過ごした。


「まぁその……寝ぼけて部屋間違っちゃったのよ。悪かったわね」


 容疑者Eの供述である。


「なるほど、寝ぼけてドアの鍵を粉砕して入った、と」

「だから、悪かったって言ってるじゃない!」


 寝ぼけてドアを粉砕とか怖っ! 一緒のベッドで寝ててよく無事だったなオレ。


「鍵、開いてた。侵入楽勝、ぶい!」


 容疑者Lの供述である。


「ルーお姉ちゃんはもうちょっと、悪びれましょうよ」

「いみふめい? クロの部屋侵入、お姉ちゃん特権」

「そんな特権聞いたことありませんから!」


 オレは朝から大きなため息をついた。

 その後も三人でしばらくワイワイやっていると、リリメさんが朝食の準備ができたと告げに来た。

 流れに乗って、そのままリリメさんも突入してくるかと思ったが、用件だけ告げるとさっさと仕事に戻っていった。

 ちょっとさみしく感じたりなんか、してないんだからね!


 エミリーやルーさんも交えての朝食の席は姦しいほど賑やかだったのだが、チェスターさんが突然昨晩も夢衰病の発症者が出たと切り出した時は空気が完全に凍りついた。

 だがポーションと魔力丸のおかげで一命は取り留めたそうなので、一安心した。

 魔力丸やポーションの作成方法は教会に伝えてあるし、もし今後また発症者が出たとしてもなんとかなりそうとの事だ。良かった。

 今日の朝食は一段と美味しく感じた。 

 


―――――



 そんなこんなで、今日は朝から特訓だ。

 

「ついに、ついに冒険者としての一歩を踏み出したんだー!」


 門番のおじさんにギルドタグを見せ、ドヤ顔で踏み出した小さな一歩を、オレはきっと忘れないだろう。

 なんか後ろの方から、授業参観に来ている父兄のような生暖かい視線を感じるが、今のオレは気分絶好調なので、まっっっったく気にならない。 


「そんなに感動するコト? ってかアンタ街の外は別に初めてでもなんでもないじゃない」

「ちっちっち、わかってないねエミリーくん。この間のはワタシの中で冒険にカウントされていないのだよ」


 前回は戦闘らしい戦闘もしていなければ(ほぼルーさんのサーチ&キル)、そもそもルーさんに抱えられたまま門を出たという醜態。

 とても冒険者とはいえない有様だったのだよ。


「まぁ、別にどーでもいんだけどさ」

「なにおー!?」


 自分から聞いておいてぞんざいな態度をとる先輩冒険者(ほぼ自称)にオレがぷんすかと怒っていると、


「まぁまぁ、落ち着いてくださいクロ様」


 ミラに宥められた。

 うん、オレとしたことがエミリーごとき小娘の口車に乗るとは。

 少しはしゃぎすぎてテンションが変になっていたようだ、反省反省。

 

(今日はミラも一緒だし、あまりかっこ悪いところは見せられないもんね!)


 ちなみにそのミラだが、本当なら街の外へ出するときはラムダさんなり屋敷の誰かが護衛につかなくてはならない。領主の娘だしね。

 だが今回はルーさんが一緒と言うことで護衛なしでもいいと特別に許可が降りた。


『ゲンドめの孫娘が一緒なら、問題はありませんな』


 とはラムダさん談。

 ゲンドというのはあの雑貨屋のじいさんのことらしく、ラムダさんにそこまで言わせるとは……やはりあのじいさん、ただ者ではなかったらしい。

 まぁ、それはとりあえず置いといて。

 今日はルーさんの魔術教室イン課外授業である。

 なんと今日は!

 ついに!

 比較的弱い魔物を相手に戦ってみるのだ。

 これぞ冒険!

 いつもはcoolなオレのテンションも今日ばかりはMAXだ!


「よーし、じゃあ目的地にしゅっぱー……つ?」

 

 しかしオレの2歩目が大地を踏みしめることはなかった。


「ん、移動」


 ひょいとオレはルーさんに抱えられ、もはや定位置となりつつある胸の間へすっぽりと収まった。


「ぷっ」


 エミリーがこちらを指さしてニタニタと笑っている。

 悔しくてエミリーに文句を言おうとじたばたすると、


「暴れる、危険が危ない」


 とルーさんにぎゅっ、と抑えこまれた。

 く、くるし気持ちいい……!

 それを見てエミリーがゲラゲラと声をあげながら笑い始めた。

 く、屈辱だ!

 この屈辱は絶対に忘れないぞ……あとこの感触も。


「で、では行きましょうか」


 ミラの言葉でオレたちは移動を始めた。

 え、ホントにこのまま行くの?

 オレは救いの女神に助けを求める。


「み、みらぁー」

「申し訳ありません。私もお姉さまには逆らえないのです」


 ミラは申し訳なさそうな、羨ましそうな表情でオレに謝っている。

 なんか両手を空中でクロスさせて、何かを捕まえるような動きをしていたのは深く気にしないでおこう、うん。

 この世には女神も大精霊もいなかったんだ、うん。

 しょうがないと諦めてオレはまた[メニュー]の[マップ]を出し、目的地まで周囲を警戒する事にした。



―――――



「ここ」

「ちかっ!」


 目的地までは何事もなくあっさり到着した。

 と言うより、門からそんなに離れていない。


「つ、ついたなら降ろしてほしいです!」

「じゃあ、説明」

「ナチュラルに無視された!」

 

 どうあってもルーさんはオレを降ろしてくれる気がなさそうだ。

 ならばこちらにも手がある!


「お、おねがい。お姉さま……」

「(ズキューン!)」


 もはや使うのになんの躊躇いもなくなってきた『ぶりっこモード』だチクショウめ!

 作戦通りルーさんはくらっと立くらむのでその隙に手の間から逃れ地面へと飛び降りる。


「アンタってさ……」

「うん、わかってるから今は何も言わないで……」

 

 エミリーから侮蔑の眼差しを送られるが、言わんとしていることはわかっている。

 でも、今はそっとしておいてほしいんだ。


「おそろしい子……」


 ルーさんが鼻をぬぐいながら立ち上がるのを横目に、オレは得意げにフフン、と鼻息を鳴らす。


「クロ、減点いち」

「なんか減らされた!?」


 突然の減点にオレは涙した。

 というか何故自らの自由を求めただけで減点されなくてはならないのだろうか。

 オレは世の理不尽さを嘆いた。

 まぁ冗談はさておき、


「ん、説明する。……後でおしおき」


 さ、さておき。

 ルーさんが魔物の生体と今回のターゲットについてざっと説明してくれる。

 が、しかし。

 理解力がゴブリン以下ともっぱらの噂の赤髪ちんちくりんが、


「ふ、ふん。まぁアタシには楽勝だったけど、コイツらがまだよくわかって無いみたいだし、もっかい説明してもいいのよ!」


 とか言い出した。

 まぁオレは大体わかったのだが、ルーさんの説明は大変断片的すぎるので、ここは通訳のミラさんにもう一度分かりやすく説明してもらおう。

 

 まず大きく〝魔物〟と言っても色々な種類や言い方があり、大きく分類すると3種類になる。

 一つは〝魔獣〟

 この辺でいうと[ブラックウルフ]や[ラビホーン]などがそれにあたる。

 食事や傷口から野生の獣の体内に魔素が蓄積する事で変異した種である。

 また繁殖する事もあり、獣から変異した第一世代を〝変異種〟、第一世代が交配して生まれた第二世代以降を〝交配種〟と呼ぶようだ。


「変異種は倒すと元の獣に戻るのですが、交配種は倒してもそのままの姿を残します」


 魔獣は総じて知能が低く本能のままに生きているが、魔力を蓄えることで希に知能の高い個体となる場合がある。

 それらは魔獣で群を作る事もあり、冒険者からは危険視されているそうだ。


「――まず、ここまではよろしいですか?」

「と、トーゼンよ!(ちょっとクロ! あとで聞きたい事があるんだけど!)」

「うん、続けて(はいはい)」


 次に〝魔物〟

 少しややこしいのだが魔獣なども全部まとめて〝魔物〟と表現されるのだが、分類的に魔物と魔獣は本来別物を指している。

 この辺で言うと[スライム]や[ウィル・オ・ウィスプ]などがそれに当たる。


「す、すすすすっす、すらいむ!? ねぇ今スライムって言った!?」

「いいからまずは最後まで聞きなって」


 魔物というのは魔獣とは違い、無から生まれる存在である。

 まぁ厳密に言えば空気中の魔素が集まり、環境から何らかの影響を受けて生まれるため完全な無という訳ではないそうだが、魔獣と区別するためそう考えられているそうだ。


「まもの……まじゅ……あぅ」

「もしもーし、大丈夫ー?」

「と、とぜんにょ……」


 エミリーはすでにパンク寸前である。

 うん、後で絵本にでもしてまとめてあげよう。

 さすがに不憫になってきた。


「つ、続けてもよろしいですか?」

「ど、どんと来なさい!」

「Don’t来なさいか、エミリーは頭がいいね」

「? と、とーぜんよ!」


 まるで意味を理解していないエミリーはさておいて、ミラの説明に戻ろう。

 そして最後が〝魔族〟という種だ。

 先ほど説明した魔物たちの中で、高い知力や魔力を得たものが魔族と呼ばれる種に進化するそうだ。

 ただ本当にレアなケースだそうで、確かな情報もそれほど多くはないらしい。

 わかっている事と言えば、強さが並の魔物とは一線を(かく)するという事くらいだそうだ。


「魔族一体、一国滅ぼす」


 これは人々の間に広まる(ことわざのようなものであり、『魔族一体といえど、一国を滅ぼすほどの戦力を有している。敵を侮っているととんでもない損失を被ることもある』という意味だそうだ。

 実際に魔族を研究していたとある国が滅ぼされたとの記録があるから笑えない。

 魔族に関する資料が少ないのもそのためだろう。

 まず出会う事はないと思うが、その時はまず生き残ることを優先し、良くても腕一本は覚悟した方がいいとの事である。


 また魔獣も魔物も、恐らく魔族も。

 心臓の代わりとなる〝魔核(コア)〟と呼ばれる器官が体内におり、魔核が破壊されたりして失われると、死骸が光になって消滅してしまう。

 だが魔核は魔素が集まり結晶化したものなので、強力な魔術の媒介やアイテムの素材となる。

 強大な魔物ほど魔核が大きく、また美しい輝きを放つため、貴族や王族などの間では嗜好品としても好まれるそうだ。

 ちなみにオレの持つ魔製珠も魔核を加工したものらしい。

 拳大の大きさなので結構な魔物の魔核だったのだろう。


「そうやって聞くとちょっと持ってるの怖くなってくるなあ……」


 とりあえず以上でミラの説明は終わったのだが、


「ぷしゅぅ…………」

「はい先生。エミリーが限界です」

「んーん、お姉さま。……休憩たいむ」


 目を回して頭から煙りをあげているエミリーに魔力ドロップを与えて回復を図る。

 が、MPは回復しても、熱暴走を起こした頭には効果がなかった。

 しょうがないのでエミリーが再起動するまで、地面にシート(マントとかを作った際の余り布で作った)を広げて、座って待つことになった。

 ミラが持ってきたリカムティーやお菓子を出したので、ちょっとしたピクニックみたいになっている。

 オレはお菓子を頬張りながらふと考えた。

 あれ、オレの初冒険はどうなったの?

ふはははは! まだだ、まだ戦わんよ!

これが黒いふクオリティなのだよ!

……えー、次話はちょっとした推理パートです。

すみません、そんなに対した事件ではありませんが、めいたんていの推理が光ります。

ネクスト、黒いふズ、ヒーント! 『魔力ドロップ』

ヒントを出すっていうのも難しいですね。ご意見ご感想などなど、お待ちしております。

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