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黒の系譜  作者: 木根樹
黒の系譜―第一章〝黒の目覚め〟
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黒の系譜01-23『魔術を使ってみよう!〝イメージしろ〟』

冒険に行く前に魔術の特訓です!

あ、サブタイはぜひCV:佐藤〇也さんで脳内再生してみてください。

すたんだっぷ!

「じゃあ、さっそく街の外へ行くわよ!」

 

 と、張り切るエミリーの首根っこを捕まえ、一度屋敷まで引きずって帰ってきた

 治癒草を採集しに行こうとしていたルーさんにも、治癒草をわけるので付いてきてほしいとお願いして付いてきてもらう。

 色々文句をいいたそうな顔のエミリーにドロップを与えて黙らせ(ホントに静かになった、案外チョロい)、ルーさんに昨日の約束の話をする。


「特訓? 魔術の?」

「はい、昨日教えてくれるって約束したじゃないですか」

「あ」


 昨日もそうだったが、街の外に出ると何が起こるか分からない。

 何か起きたときに咄嗟の判断ができるのか?

 まともに魔術が使えれば少しは違うのかもしれないが、現状まともにオレが使える魔術は極僅か。

 はっきり言ってお話にならない。


「せっかく冒険者になれたんだから、まともに戦えるようになりたくて」

「いい心がけ」

「じゃあ!」

「でも、面倒」

「え? えー!?」


 まさかこんなにあっさり断られるとは思わなかった。

 ルーさんは相変わらずのマイペースである。

 だが、こうなることも少しは想定していたのだ。

 よりよい異世界ライフを送るためならこのさい手段は選ばない。

 ここは〝奥の手〟を使わせてもらおう!


「ルーおねえちゃん、おねがい」

「――っ!」


 上目遣い+潤んだ瞳+胸の前で手を組む+甘え声の悩殺コンボだ!

 っく、使うこっちも『オレ良い歳して何やってんだろう』と精神的に大ダメージだが、ルーさんに師匠になってもらうためだ、仕方ない。


「ダメ? (うるうる)」

「(ズキューン!)」


 ここで駄目押しの小首を傾げるモーション!

 ぐっふぅ……オレのライフももはや0に近い。

 これでダメならもう後がない……


(脱ぐか? 脱ぐしかないのか……?)


 なんてバカな考えをしていたオレだったが、効果はテキメンだったようだ。

 ルーさんはくらっ、として壁に頭をぶつけている。

 だ、大丈夫なんだろうか?


「る、ルーお姉ちゃん?」

「ん、へいき」

「それで、特訓の件なんだけど……」


 固唾をのんで答えを待つオレだったが、


「ん、まかせる」


 ルーさんは鼻血を流しながら(壁にでも打ったのだろうか?)、力強く応えてくれた。

 小声で『おそろしい子』と言っていたので、演技だというのはバレバレだったのかもしれない。

 でもまあオレの作戦勝ちってことでいいよね!


(……でもなんでかな? 代わりになにか大切なものを失ったような気がする)


 急に我に返ったオレは、きっと死んだ魚のような目をしていることだろう。


(さって、特訓特訓♪)


 自身の心や尊厳を守るためにもつい数秒前までの自らの行いは忘却の彼方へと葬り去った。

 プライド? なにソレ美味しいの?



―――――



 さっそく魔術の特訓を行うことになったのだが、


「ぶーぶー! つまんなーい!」


 と文句をたれる子豚ちゃんがいたので、ちょうど通りかかった歴戦の老執事に少し絞ってもらうことにした。


「直接戦闘の技術でしたら、わしにお任せくだされ。クローディア様のご友人が立派に戦えるようご指導させて頂きましょう」

「ゆ、友人とかじゃないわよ! そ、そうただのクエスト上の関係っていうか、知り合いっていうか……」

「はいはい、ツンデレツンデレ」

「ツンデレって何よ!? ふ、ふん! まあ良いわ、アタシも準備運動が必要だと思っていたもの。でも、大丈夫なの? こんなおじいちゃんが相手で?」


 と、見かけだけで(いや、ラムダさんは見かけも十分強そうだけど)浅はかな判断をするひよっ子には早く現実と言う物を分かってもらおう。

 ラムダさんに多少スパルタで構わないですので、と告げてオレはミラと一緒にルーさんに魔術を教わることにした。


「ん、はじめる」

「「お願いします!」」


 オレとミラが元気に言うと、ルーさんは満足そうに頷き、『授業中、注意』と言う。

 たぶん『授業中の注意』って事かな?


「授業中、わたし、お姉さま」

「………………………………へ?」

「お姉さま」


 ……………どういうことだろう?

 今の言葉の中に魔術を勉強するにあたっての何か重要な事が隠されているのだろうか。


「はい、わかりましたわ。ルーミアお姉さま」

「ん」


 ミラの返事に満足げに頷くルーさん。

 え? まさか『授業中はお姉さまと呼べ』っいうことデスカ?

 聞いてみたら、そうでした。


「おーけー?」

「でもルーお姉ちゃ――」

「んーん、お姉さま」


 え、まさか言うまで進まない系?

 じと目でオレをみるルーさんと、何故か期待のまなざしでオレをみるミラさん。

 いやいやいや、お姉ちゃんと呼ぶのも結構ハードル高かったのにお姉さまは……

 ルーさんとオレが視線を交錯させ、しばしの静寂が流れる。

 なんか向こう側から『ひぃっ! しぬ! しんじゃうっ!』と叫び声が聞こえてきたが気のせいだろう、南無。


(言わなきゃダメ、なのか……)


 仕方ない、ここは腹をくくる事にしよう。

 なーに、お姉さまって呼ぶくらいきっとたいしたことないさ。

 なんか、もっとスゴいことをやったことがあるような気がするしね!

 ぜんぜんまったく覚えてないけどね!


「お、おねぇさま?」

「ん♪」


 やっぱり少し恥ずかしくて、しどろもどろになってしまったが、言い終わった後良い表情のルーさんになでくりなでくりされた。

 ミラにもなでくりされた。

 何故だ。

 

「と、ともかく! 魔術について色々と教えてくださいお姉さま!」

「ん、がんばる」


 相変わらずの無表情に戻ってしまったが、ばいーんと胸を張っているのでやる気まんまんなのだろう。

 ミラもばーんと胸を張っているし、オレもささやかな胸を張って精一杯やる気を表現した。


「まずクロ、魔術使う」


 ルーさんに促されるままにオレは魔術を使う。

 制御できている[ファイア・ボール]を使ってもしょうがないのでここは、やらかしても的や肥料として優秀なアレを使う事にしよう。


「抑えろー、抑えろー……[アース・ニードル]!」


 ドッゴォーン、と土の棘(全長3メートル)が庭の中心にそびえ立つ。

 うん、やっぱダメでした。

 

『ふぁっ!?』

「……ん」


 向こうの方で剣を杖代わりにしながら、オレの魔術を初めて見るエミリーが目をまん丸にして驚いている。

 まぁ、そうなりますよねー。

 ルーさんも少し眉を動かしたが、すぐに『だめだめ』と厳しいお言葉を頂いた。


「クロ、魔力たれながし」

「あはははー、そうですよねー」

「魔力ねる、へん」

「ねる? 寝るってコトですか?」

「いめーじぶそく」

「イメージ? イメージが足りないってどういう……?」

「詠唱、いみふめい」

「す、すとーっぷ! ゆっくりお願いします」

 

 次から次へと言われても初心者のオレには分からないことだらけなので、一個ずつ説明してもらうようお願いした。


「まず、魔力がたれながしっていうのは何となくわかります。魔力が制御できてないって事ですよね?」

「ん、ねりあまい。むしろ変」


 ミラが訳してくれた(ミラも何度かルーさんに魔術を教わったことがあるそうで、なんとなくニュアンスが分かるらしい)のだが、『魔力の練り方が甘いというか、変だ』と言う事だそうだ。

 どういう事かさっぱりなので、まずは魔術を発動するための方法と言うのを教わる。


 ルーさんによると、本来魔術を発動する際は、

 1、詠唱しながら魔術の明確なイメージを頭に浮かべる。

 2、魔力を練り上げスペルワードを唱える。

 という手順が必要になるそうだ。


「クロ、いめーじぶそく。でも、魔力ねってる」


 オレの場合はイメージが足りないにもかかわらず、身体の中で魔力が練り上がっているそうだ。

 しかもイメージが足りないので、とりあえずあるだけ魔力が注ぎ込まれてしまっているという。

 一応『魔力を抑える』ようイメージしてはいるが、そんな漠然としたイメージではなく、何を、どのくらい、どんな風にという具体的なイメージをしないと駄目らしい。


(オレの場合はチートで魔術名だけで発動できるようになってるから。たぶん魔術名に対応している大雑把な効果を、とりあえず注ぎ込めるだけの魔力で発動しちゃってる、って感じなのかもしれないな)


 つまり『料理の注文は受けたけど量とか聞いてないから、とりあえずあるだけの食材をぶち込んだ作った』って感じ?

 ……ごほん、例えはともかく。

 なるほど原因がわかれば意外と簡単な物である。

 だがそれもルーさんがいたから理解できたわけで、やはり詳しい人がいるとぜんぜん違うと実感した。

 試しにだいたいオレの身長くらいをイメージしながら[アース・ニードル]を使ってみたところ、驚くほど簡単に威力を抑えることができた。


「し、師匠! できました!」

「お姉さま」


 と訂正しながらも、ルーさんは『クロ、優秀』と言って頭をなでてくれた。

 この歳になって人に褒められて頭を撫でられるとは思っていなかったので、ちょっとくすぐったかった。

 それ以外ではなでられまくっているって? ハハハ、ナンノコトカナ?

 制御については何とかなりそうなので、次のステップへ移る。


「次。詠唱、いみふめい」

「あ、あれは詠唱とかそういうのではないんですが……」


 どうやらオレが『抑えろー抑えろー』と言っていたのをルーさんは詠唱と勘違いしたらしい。

 魔術の正しい使い方がわかった以上、別にアレをもう言う必要はないのだが。


「いえ、やはりクロ様も詠唱をされた方がいいと思いますわ」


 横からミラがアドバイスをくれた。


「先日も話しましたが、ただでさえ無詠唱は悪目立ちしますわ。ただのカモフラージュでもいいので、詠唱するそぶりを見せたほうが怪しまれないと思いますの」

「ん、賛成」


 ミラの意見にルーさんが頷く。

 オレよりも魔術に詳しい二人がそういうなら、まず間違いないだろう。

 そしてこれはルーさん談(ミラ訳)だが、『本来詠唱とは魔術の効果をイメージしやすくするために行う意味もある』とのことだ。

 まだ魔術をイメージして使う事に慣れていないオレにはぴったりだ。

 だがわざわざ本来の詠唱を覚える必要はないそうなので(いざとなれば『我流です!』で通せるとか)、そこまで難しくは考えなくて良いようだ。


「じゃあ……風の刃、一閃、[ウィンド・カッター]!」


 唱えると、鋭い風の刃が土でできた棘(大きい方)の先を斜めに一閃した。

 棘に傷は付けたものの斬り裂くことはなく、10センチほどの深さまで到達した時点で空気の中へ掻き消えた。

 まだ少し威力が強い気がするが、ほぼイメージ通りである。


「んーん、〝風〟より〝(りょく)〟」


 あぁ、そう言えばそんな設定を作っていたっけ……

 前にも言ったかもしれないが、この世界の魔術の属性は色で表している。

 炎は〝赤〟、水は〝青〟、風は〝(りょく)〟、土は〝(こう)〟、光が〝白〟で闇は〝黒〟と言った具合だ。

 他にも無属性など特別な魔法の場合、色とは若干異なる分け方のものもあるが……その辺はまぁ滅多に人前で使わないだろうし、別にいっか。


――クローディアはレベルが21になった!


 魔術をまともに使えるようになったせいか、思ったよりレベルが上がってしまった。

 レベル9から一気に21といのはちょっと異常っぽいので、あとで[ステータス]で調整しておこう。


「よーし! 魔術を使う目途も立ったし、あとは特訓あるのみだ!」

「ですね。私も一緒に練習させていただきますわ!」

「ん、ふぁいと」

 やる気に燃えるオレはミラと一緒に大きな棘に向かって魔術を放ち続けた。

 棘が大地に還った頃には(明日もたくさん治癒草が取れる事だろう)、大分魔術を使うことに慣れてきた。

 結果、[ファイア・ボール]の他にも[アース・ニードル][アクア・ジェット][ウィンド・カッター]などがまともな威力で使えるようになった。

 更に[シャイン・レイザー][シャドウ・ファング][クリア・ボムズ]などを思い出して使えるようになった。


――クローディアは[シャイン・レイザー]を思い出した!

――【ネクラノミコン・下】に白の章[シャイン・レイザー]のページが戻った。

――クローディアは[シャドウ・ファング]を思い出した!

――【ネクラノミコン・下】に黒の章[シャドウ・ファング]のページが戻った。

――クローディアは[クリア・ボムズ]を思い出した!

――【ネクラノミコン・下】に無の章[クリア・ボムズ]のページが戻った。


らいどぉ!

……はい、調子こきましたすみません。

次回やっと冒険だと思ったそこのアナタ! 甘いですよ!

まだ引っ張るのが黒いふくおりてぃ!!

……すみません、あとあのツンデレ娘の戦闘スタイルについてだけちょっと挟みます。

あ、あれだから。その話挟んだらその次は外には出るから! ホントだよ!

く、黒いふではご意見ご感想、質問誤字脱字報告など幅広く募集しております。

皆さまの温かいメッセージが、作者の励みになったりしますので、ぜひよろしくお願いいたします。

それでは――ふぁいなるたーん!

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