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黒の系譜  作者: 木根樹
黒の系譜―第一章〝黒の目覚め〟
14/104

黒の系譜01-13『ポーションを飲みたくて』

※4/8一部修正しました!

オラクル関係の内容で

・ポーション(リカム風味)を手に入れたという説明

・【マジカル・レシピ】⇒【マジカル☆レシピ】に修正

・アイテム説明のポーション(リカム)をポーション(リカム風味)に修正

※2016/1/26 誤字脱字を修正、更に文章を更正しました!

 ミラたちと朝食を取った後、昨日の筋肉痛の関係もあって身体が本調子ではないと嘘をついて、オレは部屋にこもることにした。

 心配したミラが看病を申し出たが、午前中はチェスターさんたちと教会へ顔を出す予定があるそうだし、オレは寝ていれば治るからと言って一人にしてもらえるようにお願いした。

 胸を張って何か言いたげだった小悪魔天然メイドさんは完全に無視した。

 今朝『クローディア様分が足りないですー!』と叫んでいたから、二人きりになったらまた何をされるかわからないからだ。 


「ミラたちに嘘をつくのは良心が痛むけどしょうがない。コレを知られるわけにはいかないし……」


 オレは昨日ティー様から(物理的に)授けられた[メニュー]画面を呼び出す。

 試しに[五次元ウィンドウ]に繋がっていると言う【アイテム】から幾つかのアイテムを取り出す。

 光と共に目の前に怪しげな壺が現れる。


「なるほど、いちいち魔術を使わなくてもいいのは確かに便利だね♪」


 現れたのは使い古されたと言えば聞こえが悪いが、長年使い込まれた感じの壺である。

 昨日店主にやたら勧められて100メニエニ(1万円)というけして安くない金額で買ったわけだが、店主の説明が本当ならひょっとするとそれ以上の価値に化けるかもしれない。

 店主はオレならこれを使いこなせると思って売ってくれたのだろうと、お店でこっそり[アナライズ]を使ったオレは思ったのだ。


【秘術の壺:

 錬金術師が調合をする際に使う壺。特殊な素材で作られ、中に素材と魔力を注ぐことでアイテムを調合することができる】


 オレは手始めに【マジカル☆レシピ】のレシピに従って壺の中に【治癒草】と水を投入、魔力を込めながら撹拌していく。

 しばらく混ぜていると、この壺の効果だろうが少しずつ治癒草が溶けていった。

 完全に形がなくなり、緑色のドロドロとした液体に変わったのを見計らって中身を瓶に移す。

 ピコーン、という音がして目の前に黒いウィンドウが現れた。

 

「っ!?」


――クローディア【ポーション(緑)】を手に入れた!

――クローディアは[錬金]のスキルを覚えた!


 ちょっとびっくりして声が出そうになったが、これが昨日ティー様の言っていた[オラクル]ってヤツか。

 なんかミラとの魔術の授業のあとに似たような事を言って遊んでいたが、実際に機能として実現するとは……まさかティー様に見張られていたとか?

 いやいやあのガングロ精霊が聞いていたはずは……ないと言いきれないからおそろしい。

 ともかく、アイテムだけでなくスキルをゲットしても出てくるんだな。

 他にも何か条件があるかもしれないが、まあティー様も『習うより慣れろ』と言ってたし、別に気にするまでもないか。


「それにしても……まさかこんなに簡単にできるとは」


 オレは手にした瓶を軽く揺らす。

 中で緑色のドロリとした液体が揺れるので、思わずニヤニヤしてしまう。

 だって、これでオレ〝錬金術師〟って事でしょ? ちょっと響きがかっこいいじゃないか!


(いかんいかん、オレはもう中二は卒業したんだ)


 と言いつつも、ふにゃりと表情は緩んでしまう。

 だって、いくら見た目が青汁もどきのおどろおどろしい液体でも、やっぱり自分で作ったものなのだと思うと嬉しくなってくるのだ。


「キミの瞳に乾杯、なんちゃって♪」


 初めて自分で作ったアイテムだ。

 まずは自分で使い心地を試してみようと一口ポーションを口に含むが、


「ぶふぇあっ!?」


 盛大に吹いた。


「げほっ! ゴホッゴホ……! なにこれにっが!? にっが! うえぇぇじだがぎぼぢわるぃ……」


 床の高そうな絨毯を緑の染みで染めながら、オレは床に手をついて何度もむせた。

 まさか調合を間違ったのか? オレは【マジカル☆レシピ】を取り出し確認する。

 しかし材料は間違っていない。

 となれば、コレは間違いなくポーションのハズ。

 首を傾げながらも、一応瓶の液体を[アナライズ]してみる。


【ポーション(緑):

 治癒草から作られたごく一般的なポーション――】


 表示された説明には間違いなく【ポーション(緑)】と書かれている。

 だがそれにはまだ続きがあった。


【――非常に苦く、主に身体や傷口にかけて使われる】


 それだ。

 どうやらこのポーションは〝飲む用〟ではなく〝かける用〟らしい。

 かけるポーションってなんだ、おい。

 まぁ確かに見た目も美味しそうには見えないけど……まだ青汁とかのほうが飲みやすそうだもんな。

 オレは大きくため息をつく。

 異世界に行ったらやりたい事ランキングの中で〝ポーションを飲む〟はかなり上位にランクインしていたのだ。

 それが飲めない? テンションダダ下がりである。


(いーや、まだだ。まだ終わらんよ!)


 諦めたらそこで試合終了だと、どこかの先生が言っていた。

 幸いにもまだまだ材料はある。

 ともかく、どうにかして〝飲めるポーション〟を作りたい!

 そこからオレの孤独な戦いが始まった…………



―――――



「で、できたー!」


 材料を変え、方法を変え、気分を変え……試行錯誤する事およそ20本。


「何度口から緑の霧をぶちまけたことか……うげぇ……」


 だがその甲斐もあって、ようやく納得のいく一品が出来上がった。

 瓶の中で揺れる翡翠色のとろとろした液体は、さきほどまでの青汁もどき(非食用)と比べて十倍は飲みやすそうである。


――クローディア【ポーション(リカム風味)】を手に入れた! 

――【マジカル☆レシピ】に【ポーション(リカム風味)】が追加された!


【ポーション(リカム風味):

 触媒をリカムティーにする事で苦味や臭みを抑え、爽やかな喉越しとほのかな甘みを実現したポーション。 体力を大きく回復する】


 調味料を加えたり、他の薬草を加えてもダメだったが、まさか水の代わりにリカムティーを使うとは逆転の発想だった。

 どうやら化学反応(魔術反応?)的な物が起きて回復効果も増したようで、一石二鳥とはまさにこのことである。


「……で、コレを飲むのか」


 だがせっかく完成したと言うのに、何度も試飲を重ねた結果、なんかもう飲まなくてもいい気分になってしまっている。

 というか胃が受け付けてくれない……うっぷ。

 なんていうか、もう最後の方は単なる意地だったからなぁ。


「なめてみた感じ、味は問題なさそうなんだけど……」


 これをきゅーっと飲み干せるかと言われれば……けっぷ。

 

「無理だなー。うん、ムリムリ」


 でもまあこうして完成したのだから、言うことなしだ。


「さて、あとは……」


 オレは周囲を見回す。

 散乱する素材。

 部屋中に飛び散った深緑色の染み。

 失敗作という名の(飲めないだけで効果は悪くない)不味いポーションたち。


「うん、ホントどうしようか?」


 とりあえずオレは過去の記憶を必死で思い返し、掃除に使えそうな魔術を探すことにした。



――――――



 十分後。


――クローディアは[クリア・スクリーン]を思い出した!

――【ネクラノミコン・上】に緑の章[クリア・スクリーン]のページが戻った。

――クローディアは[リ・フレッシュ】を思い出した!

――【ネクラノミコン・上】に青の章[リ・フレッシュ]のページが戻った。


 昔のオレはよくこんな魔術まで考えたものだとちょっと呆れてしまった。

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