黒の系譜01-12『天啓(物理)』
っは! ユニークアクセスが1000人突破した!?
あわわわわわわわ! お、お祝いや! 兄さんおさけ、おさけもってこーい!
※1/23 誤字脱字や、更正を行いました。
夜中、突然何かに抱きつかれて目を覚ました。
初めはまたあの天然小悪魔メイドさんの侵入を許したのかと思い焦ったが、今日もちゃんと鍵をかけて眠っているし、それはないはずなのだが……
≪うーん、むにゃむにゃ。蔵人クーン……≫
オレは自分に抱きついて気持ちよさそうに寝ている大精霊を無言で投げ飛ばした。
壁にぶつかったが、音などはない。
その辺はやはり精霊なのだからだろうか、不思議だ。
≪ふぉっ!? 久々の再会だというのにいきなり投げプレイとは……愛が痛いわぁ!≫
≪いや、そんなプレイ聞いたこと在りませんから≫
オレはあきれたように返事をすると、こんがりと肌の焼けた大精霊に侮蔑の眼差しを送った。
≪……ずいぶんとお楽しみだったようで?≫
≪その視線ぞくぞくするわぁ……♪ 久々の休日だったからぁ、満喫しちゃった♪ 300歳は若返った気分よぉ♪≫
(300歳若返っても十分……だけどな!)
オレは念話とは別の思考でそうツッコんだ。
≪……今何か失礼な思念を感じた気がするわ≫
≪ゼンゼンソンナコトカンガエテマセンヨー?≫
納得してはいないようだが、ティー様は『まぁいいわぁ』と本題を切り出してきた。
どうやら連絡事項があってわざわざやって来たらしい。
ならどうしてベッドへ潜り込んできていたのか、それは大精霊のみぞ知るところである。
≪今日来たのはわぁ。〝新機能〟の説明よぉ!≫
≪新機能? なんですかソレ?≫
ティー様が『百聞は一見しかずよぉ!』と言ってオレの頭に向かって、どこからともなくとりだしたハンマーで殴りかかってくる。
≪おりゃーっ!≫
≪あぶなっ!?≫
驚いて回避したオレへ、アホ大精霊は怪しい瞳で微笑みかける。
≪どうして逃げるのかしらぁ? これは必要なことなのよぉ♪≫
≪なぜ、新機能のために、殴られるのか? まったく、さっぱり、ぜんっぜん意味がわかりません!≫
≪大丈夫よぉ? 痛くはないからぁ♪≫
≪そういう問題じゃないですから!≫
ぶんぶんハンマーを振り回すアホ女に追い掛け回されながらオレは部屋中を逃げ回る。
ティー様の振り回すハンマーは部屋の物をすり抜けているので、本当にダメージとかはないのかもしれない。
でもあんなおっきなハンマーに黙って殴られると言うのはちょっと精神衛生的によろしくない。
≪隙ありぃ!≫
しかし気が付けばオレは部屋の隅に追い詰められていた。
というかソレ、新機能を授ける掛け声とかじゃないですよね!?
≪しまった!≫
思った時にはすでに遅く、眼前まで迫る凶悪なハンマー。
痛くないと言われていても反射的に目を閉じ、衝撃に備えてしまう。
頬のあたりに何かがぶつかる感触、そして衝撃。
オレの顔が思い切り弾かれた。
身体が吹っ飛ぶほどの衝撃はなかったが、脳天が激しく揺さぶられ世界がぐるぐる回る。
眩暈がして思わず床に伏せってしまった。
≪うっぷ……きぼぢわるい…………≫
≪ふぅー……アップデート完了よぉ!≫
女神が一仕事終えたような良い顔で親指をびしぃっ、と立てている。
かなりイラッ、とした。
それにアップデートって……確実にゲームとかの影響を受けてるなこのヒト。
≪どぉ? 痛くなかったでしょお?≫
≪痛くはない。痛くはないですけど、すっごく気持ち悪いです……≫
確かに〝痛み〟はなかった。
しかし逆にそのせいで衝撃とダメージのつじつまが合わず脳が混乱している様だ。
とてもじゃないが、立っていられないぐらい気持ちが悪い。
具体的に言えば?
≪吐きそう…………うぇっぷ≫
≪魂の上書きが行われたせいねぇ。でもこれで無事[メニュー]と[オラクル]が使えるはずよぉ!≫
自信満々にのたまうティー様だが、こっちはそれどころじゃない。
少し気分を落ち着かせてから改めて説明を受けることにした。
―――――
復帰するまで実に10分ほどの時間を有した。
≪どぉ? 少しは落ち着いたかしらぁ?≫
≪まだ少しぐわんぐわんしてますが、話を聞けないほどではないです≫
≪んもぅ。最近の子はヤワねぇ――まぁいいわ。それじゃあ新機能について教えてしんぜよぅ♪≫
誰のせいだ誰の、と思いつつオレは女神の説明を聞く。
≪まず今回新しく[メニュー]という機能が実装されましたぁ! ひゅーどんどんぱふぱふー!≫
≪わーぱちぱちー≫
棒読みだって? リアクション取っているだけありがたいと思ってほしい。
≪まずは使い方ねぇ。でわ蔵人クン? こう指で窓を作って[メニュー]って言うか念じるかしてちょおだい≫
オレは言われるままに指で窓を作って(両手の親指と人差し指を立て、四角い枠を作るアレ)[メニュー]と小さく言う。
すると指で作った窓の中にアナライズした時のように黒いスクリーンが表示される。
【メニュー:
・ステータス
・装備
・アイテム
・メール
・ 】
表示されているのはいかにもメニュー、という感じの内容だ。
≪おぉ、これはすごい≫
試しにステータスを指で選択してみると、オレの名前とティー様の名前が表示された。
試しにティー様を選択するがほとんどが【乙女の秘密♪】や【ヒ・ミ・ツ♪】などで埋め尽くされていたので瞬時に消した。
次に自分の名前を選択すると、今朝に[アナライズ]したものと同じ物が現れた。
ただし、【ステータス画面を編集しますか? はい/いいえ】という表示が現れた。
【はい】を選ぶとそのまま編集画面になり、名前、種族から年齢、職業、説明文に至るまで細かに編集できるようだった。
≪悪いことには使ったらメッ! よぉ?≫
オレが編集した画面が他者から見たオレのステータスとなり、本当のステータスはオレと同等、もしくはそれ以上の解析能力がなければ見ることができないそうだ。
ちなみに[アナライズ]したことがある人が周囲にいれば、その人のステータスを逐一確認できるらしい。
≪【装備】は持っている装備に簡単に着替えることができて、【メール】は私に要望がある時に送ってちょうだい。あ、愛の告白でもOKよぉ♪≫
苦情とかでもいいんだろうな、うん。
絶対送りつけてやろう。
≪あとちょっとした応用なんだけどぉ。この【アイテム】っていうのわ、アナタの[五次元ウィンドウ]にリンクしてあるのぉ。いちいち[五次元ウィンドウ]を使わなくてもアイテムの確認とか出し入れができるわぁ≫
それはたしかに便利だ。
≪それから、[メニュー]画面にはショートカット機能があるからぁ、よく使うスキルなんかは登録しておくと便利よぉ!≫
登録できるスキルとかその辺は色々と編集できるらしい。
細かい説明や使い方はさっき一緒に頭の中に入れておいた(物理)そうなので暇なときにでも確認するとしよう。
≪それからぁ[オラクル]っていうのわぁ。蔵人クンに分かりやすく言うとぉ……システムメッセージかしらぁ?≫
≪何気にティー様ゲームとか好きですよね?≫
≪アッチの世界でRPGとかやりまくったわぁ……この世界でもいつか作ってみせるわぁ!≫
ティー様の熱い決意は置いといて。
つまり、この[オラクル]というのはシステム的にオレが物を手に入れたり、敵に遭遇したりしたら教えてくれるらしい。
≪まぁその辺は習うより慣れろねぇ。後でメニューに【オラクル】を追加しておくから、過去ログの確認やON/OFFが切り替えられるようにしておくわぁ≫
≪また殴られるんですか……≫
あんな気持ち悪い体験二度と御免こうむりたいのだが。
≪その辺はもーまんたいよぉ。一度アプデった機能だから設定を弄るだけで大丈夫なのよぉ≫
≪ほっ、よかった……ってじゃあ新機能がまたできたら……?≫
≪……じゃ、じゃあ、名残惜しいけどぉ、私も忙しいのぉ。だからこの辺で失礼するわぁ!≫
≪はぐらかしたよこのヒト! もう二度とアップデートなんてすんな! …………ってか忙しい?≫
盛大に視線を泳がせている無責任な大精霊様は、気づけばいつものドレスのような恰好ではなく、分厚いスキーウェアを着て、頭にはゴーグルをかけ、スキー板とかが入っていそうな長い袋を背負っている。
どう考えてもこれから銀世界でスキーイングする格好である。
≪ゲレンデで溶けるような恋が待っているのよぉ!≫
「溶けたまま下水道にでも流れてしまえ!」
能天気大精霊はオレの魂の叫びを最後まで聞かず光になって消えた。
去り際に粉雪が舞う演出を残していくのが憎々しい。
すごく虚しくなったので使い勝手は明日試すことにして、今日はもう寝ることにした。
忙しいとかいいつつ、割とまめに来るティー様。
次来るときはきっと、ほら、クロがピンチになった時とかにかっこよく登場する感じですよ! タブンネ!
それにしてもユニークが1000……祝杯だー! ……ってなんじゃこりゃー!?
酒っていったら甘酒にきまっているだろうが(がっしゃーん!)
という小芝居は置いておいて、読んでくださった方々に感謝と、これからも頑張りますという抱負と、どうぞお付き合いいただければと言う懇願を。
次回更新は金曜日前後? くらいを予定? よ、よていはみていだよ!
でわでわ、ご意見ご感想、質問誤字脱字報告評価などなど、お気軽にいただければ幸いです。




