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黒の系譜  作者: 木根樹
黒の系譜―第二章
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黒の系譜02-番外編02『ジーラの日記』

メイジン村の教会、ウサ耳っ子ジーラの日記です。

最初の方に誤字脱字が多いのは、字を書くのに慣れていないからです。

――ジーラの日記より抜粋――



 今日からにっきをつける。

 その日あたことを書くらしい。

 文字のれんしゅうにもなるらしい。

 キーラがやってるから、わたしもやる。

 キーラにはまけない。

 おわり。



――中略――


 今日サーラが子どもをつくた。

 サーラと同じでぬるぬるしてる。

 でも見た目はさるみたい。

 へんなの。

 へんだけど、べつにきらいじゃない。

 おわり。



――中略――



 今日からしゅぎょうがはじまった。

 きもちわるかった。

 ロリエルさまにはかんしゃしてるけど、しゅぎょうはすきじゃない。

 サーラは受けなくていいらしい。

 ずるい。

 おわり。



――中略――



 ロリエル様がいなくなって、あの苦しい首輪が無くなって、いろんなことが変わった。

 まだ少し混乱してるけど、みんな笑ってるから多分これでよかったんだと思う。

 それもこれもクローディア様のおかげらしいんだけど、わたしはあの人が少し苦手。

 悪い人じゃないのは分かる。

 アメとかいっぱいくれたし、何度も謝ってくれた。

 でも何ていうか、見ているとすごく変な気分になる。

 落ち着かないから今日はもう寝る。

 終わり。



――中略――



 キーラたちが村から出ることになった。

 ガーラはいつもわたしが重たい物を運んでいると何も言わないで手伝ってくれた。

 ニーナ、ミーナは毎日うるさかったけど、みんなをいつも元気づけてくれていた。

 スーナ、シャーナはわたしも一緒に育てたから、いなくなるとちょっとさみしい。

 キーラは、口うるさくて、わたしより少し早く来たってだけでお姉ちゃん面して、すぐにわたしに文句を言ってきて……いなくなってせーせーした。

 と思ってた。

 でも、いなくなったらやっぱり寂しかった。

 面と向かっては言えないけど。

 だけど今日はクロが来てるから、あまり寂しそうな顔はできない。

 なんか〝のっぴきならない事情〟っていうのがあるらしい。

 よくわからないけど。

 でも、クロとサーラとヒーラとフーラとみんなで寝ると思ったら、少しわくわくする。

 もうそろそろみんな来るので、今日は終わり。



――中略――



 今日、新しい神官がやって来た。

 ミルトっていうらしい。

 クロの紹介ってサーラが言ってたのでクロの事を知ってるか聞いたら、聞いてもいない話を延々と聞かされた。

 変なやつだ。

 ここでのお仕事を教えたらやたら感謝されたので、わたしなんかに頭を下げる必要はないと言ったら、わたしの方がここでは先輩だからって笑っていた。

 やっぱり変なやつだ。

 でも、キライじゃない。

 今日は色々教えて疲れたからもう寝る。

 終わり。



――――中略――――



「あれ? 日記を書かれてたんですか?」

「うん」


 わたしが日記を閉じると、ハタキを持ったミルトがいた。

 

「掃除?」

「はい。せっかくの大精霊様の御言葉ですから」

「落書きの間違いじゃない?」

「そんなことはありませんよ! ……たぶん?」


 あの日、壁に残された意味不明な落書き。

 なんでも大精霊とかが書いていったらしいけど、正直ありがたみが感じられない。

 だって見に来る観光客は増えたけど、それで教会が潤うわけじゃない。


「クロが作り方を教えてくれた炭酸ガリネの方が何倍もマシ」

「それだって、あの御言葉を見に来てくれた方々が買っていかれるんです。ならやっぱり、綺麗にしておかなくちゃ」

「ミルトの好きにすればいいと思う」

「はい」


 ミルトは超がつくほど真面目だ。

 一つ一つの仕事がやけに丁寧で、ちょっと手を抜けばいいのにと言う事でも全力で取り組む。

 ニーナたちにも見習わせたい。

 一度聞いたことがある。


『どうしてミルトはそんなに真面目なの?』


 って。

 そしたら、ミルトはすごく真面目な顔で答えた。


『私は、ちっぽけな人間です。目の前で失われようとしている命一つ救えなかった、未熟な神官でしかありません。だから、どんなことも精一杯やらなきゃって思うんです』


 あんな顔されたら、こっちも頑張らなきゃって思わさせられてしまう。


「……わたしも手伝う」

「いいんですか?」

「わたしの方が先輩だもん」

「はい」


 うん。

 後輩一人に仕事をさせていたら、キーラが戻って来た時にまた文句をいわれてしまう。

 それはよくない。

 

「そのかわり、後であれ教えて」

「アレって……魔力ドロップの作り方ですか?」

「そうそれ」


 聞けば、ミルトはクロのくれたアメが作れるらしい。

 後輩に出来て先輩ができないなんて、ちょっと悔しい。


「そうですね。あれはなんというか……こう、ぎゅーっときてぐわーっときて」

「さっぱりわからない」

「ですよねー」


 でも、何て言うか教え方がクロっぽい気がする。

 むぅ、ちょっと胸の辺りがもやもやする。

 変な気持ち。


「さっさと掃除しよう」

「そうですね」


 この胸のもやもやが何だかよくわからないけど、きっと掃除が終わるころにはスッキリしているだろう。

 二人でパタパタ廊下を走っていると、小さな荷物を持っているサーラと会った。


「あら、ミルトさんにジーラ。お掃除ですか?」

「はい」

「サーラ、その荷物は?」

「今パトが届けてくれたんですよ。クローディア様からです」


 わたしたちは顔を見合わせて笑う。


「掃除は後回しにしよう」

「ですね」

「あらま」


 だって、掃除よりも大事な用ができたから。

 よく分からないけど、クロの事だからこの荷物はまたなにか変な物がはいってるんだろう。


「これは、なんでしょうか?」

「大きいドロップ?」

「というより、これは……」

≪――あーあー、もしもーし? きこえてますかー?≫


 やっぱりクロは変なやつだ。

 こんなちっちゃい玉の中に入るなんて。 

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