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第五話 シェアハウス




片付けを終えて玲於奈は翔の真っ赤なオープンカーに乗って大輝は自分のバイクに乗ってシェアハウスへ向かっていた。


夜の海も月明かりに照らされてキラキラと思っていたよりも明るくて綺麗だと玲於奈はオープンカーの助手席から見える海をじっと眺めていた。


翔の車のすぐ後ろを走っていた大輝は月明かりに照らされて風に髪を靡かせている玲於奈を目にして自分でもどうしようもない位の胸の高鳴りを感じていた。


(綺麗だな・・・玲於奈・・・惚れちまったのかな?俺・・・)


女なんて面倒なものだと思って色恋には全くの無縁だった大輝が初めて異性である玲於奈を意識し始めていることに大輝は戸惑いつつも玲於奈に惚れてしまったことを確信していた。



『うみねこ』から車で20分位の場所に翔のシェアハウスはあった。


シェアハウスは防犯のために玄関ロビーはオートロックになっていて4階建てのワンルームマンションのようになっているが食堂や風呂は共同になっているのでここで住んでいる限りは住人同士は必然的にコミュニケーションを取らなければいけないようになっていた。


今年で35歳になる翔は10年前に両親を交通事故で亡くし一人息子だった翔は残されたこの土地と遺産でこのシェアハウスを行く宛のないチームのメンバーの自立の助けになればと思って思い切って建てた。

翔自身もすごく寂しがりやだったのでこのシェアハウスに住むメンバー達には随分救われていた。


「部屋は全部で20ある!その内の今は16部屋に住人がいる。全員『黒龍』の元メンバーや現メンバーで野郎ばっかだから玲於奈は4階の俺の住居スペースの開いてる部屋で生活してもらうからな!さすがに狼の群れの中に子羊を放り込むわけにはいかねえからな!(笑)」

「ええ~~~!!そうなんすか?ちょっと残念!!へへへ♪」


玲於奈は翔の住居スペースで生活すると聞いて大輝は少しホッとしていた。

確かに狼の群れの中に子羊を放り込むようなものだし大輝自身もどこまで理性を保てるか自信が無かったからだ。

翔の言葉に納得しつつ玲於奈と隣同士の部屋で暮らすのも悪くないとも思っていたのでつい大輝の口からは本音が溢れてしまった。


玲於奈はそんな大輝を見てクスクスと笑いながら案内された大輝の部屋を見て大輝の脇腹を人差し指で突付いて4階へ上がる階段を指差していた。

大輝の部屋は3階の303号室だったので4階の玲於奈の部屋から階段で降りてすぐ側にある部屋だったのだ。


「フフフ♪大輝の部屋すぐ側なのね!たまに遊びに来ても良いでしょ?」

「オイオイ!玲於奈!無防備だぞ!大輝も一応野郎だからな!気をつけろよ!思春期真っ盛りの野郎は怖えんだぞ!」


玲於奈が部屋を覗いて大輝に向かって無防備な事を口にしていたので翔は慌てて玲於奈に忠告していた。


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