第三十話 和解
玲於奈に全てを告白した理奈は玲於奈に許されることで救われたようで泣くだけ泣いてスッキリしたとケロッと笑ってそのまま店の片付けを手伝っていた。
「それにしても相変わらずメンバーの引退した後は嵐が去った様に店の中がグッチャグチャになっちゃうのね!(笑)ほんと・・・いつまで翔は黒龍の面倒を見るのかしらね。」
「そう言えばそうですね・・・いつまで関わるんだろう?そんな事考えたこと無かったです(苦笑)」
玲於奈と理奈は顔を見合わすといつまでも悪ガキでいる翔を同じ様に頭に思い浮かべてクスクスと笑って片付けを続けた。
二人が仲睦まじく店の片付けをしながら真李亜や翔の話をしていると店の前に翔の赤いオープンカーが止まって理奈の車があるのを確認すると驚いた様子で慌てて店の中に飛び込んで来た。
「玲於奈!!・・・・・・」
頭の中で想像していた光景では無いことに驚いて口を開けたまま立ち尽くす翔のその表情がおかしくて理奈と玲於奈は動かしていた手を止めて二人で寄り添って並ぶと翔の方を向いてクスクスと笑っていた。
「どういうこと・・・だ?」
「どうって?こういう事よ!悪い?何か問題でもあるのかしら?」
翔の問いかけに意地悪く理奈はこたえると玲於奈の肩を抱きしめてわざと冷たい目をして見せた。
「こんなか弱い乙女に一人でお祭り騒ぎの後の片付けさせてるバカ親に文句言われるような事は何もしていないわよ!」
「オイオイ!理奈~~~!冗談でも娘の前でバカ親はやめてくれよ~(苦笑)」
毒舌な口調で翔を責めるように理奈は追い詰めて意地悪くまたクスクスと笑っていた。
「心配しなくて大丈夫だよ!理奈さんと色々話しながら昨日の片付けを手伝って貰ってたの(笑)」
「そ・・・そうだったのか?理奈・・・やっと自分で話せたんだな?良かった・・・(苦笑)」
翔は状況をやっと把握出来たようでカウンターへ座るとポケットから出したタバコに火をつけて一息ついていた。
「ねえ?もうすぐ大輝も帰って来るし・・・片付けも殆ど終わったから二人でどこか行ってくれば?私に気を使って最近あんまり二人で出掛けて無かったでしょ?ねっ?」
「そんなこと言っちゃって良いの~?こんな時間から出掛けちゃったら朝までパパの事を帰さないかもしれないわよ~(笑)」
気を利かせた玲於奈が二人に出掛けることを勧めると理奈は翔の腕に絡みついて翔の顔を覗き込んでいた。
「娘のお許しが出たようだけど?あなたはどうする~~?」
「オイオイ!マジか?二人で俺の事からかってんじゃねえだろうな!」
翔が返事に困っていると玲於奈がしびれを切らしたようで真面目な顔をして翔に近寄って問い詰めるように聞いていた。
「翔さんは理奈さんを好きなんでしょ?それとも好きじゃないの?どっち?男ならハッキリしてよね!」
「あ・・・いや・・・それは・・・確かに・・・あれだな・・・ああああーーー!!わかった!!今日は帰らねえからな!!」
玲於奈に追い詰められた翔は顔を真赤にして立ち上がって理奈の腕を掴むと逃げるように店を出て行ってしまった。
そして翔に腕を掴まれて出ていく理奈に向かって玲於奈はクスクスと笑いながらこっそりVサインをして見送っていた。




