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第二十八話 本当の真実 その一




お祭り騒ぎは朝まで続きその日はさすがに翔も身体がもたないと言って店は休みにして昼ごろまでは酒が残っていたのか、なかなかベッドから起き上がって来なかった。


大輝は仕事に行ってしまったので玲於奈は一人で特にやりたいことも無かったので昨夜の片付けを『うみねこ』へ行ってすることにしてシェアハウスを出た。


海岸沿いを歩いて店に向かっていると一台の白いセダンの国産車が止まって中から理奈が降りて来た。


「ねえ?乗ってかない?少し話したいことがあるの」

「・・・・・・・」


車に乗らないかと言われて怪訝な顔をして玲於奈が返事に困っているとクスクスと理奈は笑いながら玲於奈の手を掴んでいた。


「自分の娘って言ってもおかしくない年頃のガキンチョになんかしてやろうとか考えるほど私はバカじゃないわよ!(笑)少し話しがしたいだけ!店まで行くんでしょ?身体が冷えちゃうから早く乗りなさい!」

「あ・・・はい・・・」


玲於奈は理奈にほぼ押し切られた形で助手席に乗せられて唖然としていた。


理奈は満足そうにニッコリと笑って玲於奈のシートベルトがしっかりロックされているか確認してから車をゆっくりと走らせた。


「あなた・・・翔の本当の娘だったんだってね・・・」

「・・・・・はい・・・」


翔と玲於奈が実の父子だったことを理奈は翔から聞かされていたようで改めて玲於奈に確認するように話を切り出して来た。


「私もね・・・多分そうじゃないかなとは薄々感じていたのよね(苦笑)だって!どこか面影が翔に似ていたから・・・初めてあなたを見た時は足が震えちゃったわ・・・」

「・・・・・ママを恨んでますか?」


うっかり口から出た言葉に玲於奈は自分で驚いて慌てて口を抑えたが理奈は別に顔色を変える様子もなくまたクスクスと笑って首を横に振っていた。


「別に恨んじゃいないわよ!恋敵ではあるけど・・・今はあなたが翔の本当の娘で良かったって心から思ってるのよ!信じられないかもしれないけどね・・・」

「どうして?どうして良かったって思えるんですか?」


玲於奈が理奈の思いがけもしない言葉に驚いていると理奈は少し泣きそうな顔をして大きく息を吸っていた。


「あなたの母親を騙して自分のものにしたあの男・・・私の従兄弟って聞いてるでしょ?」

「あ・・・・・はい!聞きました。」


理奈は車をゆっくりと『うみねこ』の駐車スペースへ止めるとシートベルトを外してから玲於奈の顔を覗き込んで優しく頭を撫でて笑っていた。


「あの男はクズだからね!あんな男の娘で無くて本当に良かった。」

「えっ?!あの・・・理奈さん?従兄弟なんですよね?あの人の・・・」


またまた予想外の理奈の言葉に玲於奈は驚きを隠せないで目を丸くして理奈の顔を見つめ返していた。


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