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第二十一話 真実 その三



翌日になって翔は起きて来た玲於奈に真剣な顔をしてソファーへ座らせて話を始めていた。


「今日は店は臨時休業だ。これからお前には一緒に行って確かめて欲しい事がある。いいか?」

「わかった。その代わり帰って来たらママに何があったのか話して欲しいの・・・」


翔の頼みを何も聞かずに受け入れた玲於奈が条件に母親の事を持ち出すと翔は覚悟を決めていたようで黙って頷いていた。


県内ではそこそこ有名な大学病院へ着くと翔は受付をせずにどこか特別な場所へ向かっていた。


勝手知ったるという感じで翔が玲於奈を連れて病棟から渡り廊下を渡って入ったその場所は大学病院の研究施設のようだった。


そこからさらにエレベーターで3階まで上がってエレベーターを出るとそこに白衣を来てメガネを掛けた如何にもインテリっぽい翔と同じくらいの年齢の男が二人を待ち構えていた。


「急に済まねえ!どうしても頼めるのがお前しか思いつかなくてな!」

「わかってるよ!気にすることはない俺の研究室だ。それより本当に覚悟を決めたんだな?」


翔に深々と頭を下げられた男は顔色一つ変えずに淡々と語ってから二人を自分の研究室に案内した。


「これから俺とお前が親子かどうかをコイツに調べてもらうことになってるんだ。薄々はお前も要や蓮司から話を聞いて気付いてただろうがな!俺と真李亜は愛し合っていた時期があるんだ。そして真李亜が俺にお前が俺の子かも知れないと言い残して死んじまいやがった。」

「わかってる・・・何となくそんな気はしてたから気にしなくていいよ(笑)」


翔の告白に玲於奈は驚くこともなく逆に翔が本当の父親ならそれ程心強いことはないと思って笑って答えていた。


二人はその後、血液を採取されて結果はすぐにはわからないので後日連絡すると言われて病院を後にした。


「すぐにわからないんだねー!なんか拍子抜けしちゃったわ・・・(笑)」

「お前は強えなぁー!もっとなんかこう怒るんじゃねえのか?どうしてこんな事になったんだ!ってよ!へへへ♪」


玲於奈が笑顔で翔に話しかけると翔は頭を掻きながら苦笑いして車を海岸通りの路肩へ寄せて停車した。


「俺と真李亜が幼馴染みなのは嘘じゃねえんだ。アイツとはずっと家が隣同士で兄妹みたいに育ったんだ。中学に入った頃から俺は悪さばっかしてアイツには心配ばかりさせていた。それでも俺は中学を卒業してすぐに『黒龍』を仲間と一緒に結成して夜な夜な走り回ってた。」

「フフフ♪ほんと悪ガキだったのね・・・」


翔は玲於奈の頭を優しく撫でるとそのまま話を続けた。


「そんな俺を蔑むこともなくそばに居てくれた真李亜がいつの間にかチームのマドンナになっていて俺と真李亜は兄妹ではなく男と女としてお互いを想うようになっていたんだ。だがな・・・理奈とあの野郎が現れて俺と真李亜はおかしくなり始めたんだ。」

「何があったの?やっぱり理奈さんも関係してたんだね!」


だんだんと話をするのが苦しそうになっていく翔を力づけるように玲於奈はギュッと翔の手を握りしめていた。

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