第二十話 真実 その二
シェアハウスへ送ってもらった後、玲於奈は部屋へ戻って大輝の帰りを部屋の片付けをしながら待つことにした。
真李亜があの男に騙されて結婚したと聞いてどこか納得してしまった玲於奈だったがどうして真李亜が騙されてしまったのかまでは聞くことが出来なかったので玲於奈はモヤモヤした気持ちで頭がいっぱいだった。
それに要はあの男を玲於奈の父親じゃないって言っていたけどそうしたら本当の父親は誰なのかという疑問が沸き上がってくる。どう考えても浮かび上がるのは翔の他に思い当たる男なんていない。
一体母親に何があったのだろうかと玲於奈は部屋のチェストの上に飾ってある母親の遺影をじっと見つめて溜め息を吐いて考え込んでいた。
いつの間にか日も暮れて大輝が仕事から帰って来たので玲於奈は大輝の部屋で今日あの男が店に来たことや要から聞いたことを話していた。
「騙されてたってどういう事なんだろうな?真李亜さんは駆け落ちしたんだろ?それにその男が父親じゃないってどうして言い切れんだろうな・・・何があったんだ?煮え切らねえな!」
「そうなの!もう頭の中がモヤモヤでいっぱいでどうしたら良いかわかんないよ!」
昔、玲於奈が生まれる前に何があったのかがどうしても知りたくてたまらなくなった大輝と玲於奈は顔を見合わせて頷くとすぐに支度をして『うみねこ』へ向かった。
あの男はと言うと翔にすごい剣幕で怒鳴られて店にも入ることもなくさっさと追い返されていた。
実を言うと翔だけではなくあの後すぐにやって来た現総長の恭介と四天王の四人に物凄い睨みを利かされて震え上がってすぐに男は車に乗り込み帰って行ってしまったのだ。
翔はやはり自分が玲於奈の父親なのかを調べてみようかとあの男が帰った後、黙ってずっと考えていた。
確かに真李亜の残した正式な遺言で翔は玲於奈の後見人ではあるけれどもはっきりさせておくに越したことはないだろうと翔は考えて決心していた。
「明日・・・玲於奈を連れて病院へ行ってくる。」
「そうだな・・・白黒はっきりさせてこい!!」
翔の決意を聞いて裕章は真李亜もそれを望んでいるに違いないと翔の肩を叩いて笑っていた。
大輝のバイクの後ろに乗っていた玲於奈は急に真実を翔に聞くことが怖くなって大輝の背中を叩いてバイクを止めさせていた。
「ごめん!なんだかやっぱり怖くて・・・」
「だよな・・・翔さんが話してくれるまで待つか?なっ?」
玲於奈は海を見つめながら大輝の言葉に頷いて目から溢れてくる涙を拭っていた。
色んな物を堪えて肩を震わせている玲於奈を大輝は黙って背中から包み込むようにしっかりと抱きしめていた。




