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第十九話 真実 その一



真李亜の四十九日の翌日の事だった。


黒塗りの高そうな車が『うみねこ』の前に止まって中から見慣れないこれもまた高そうなブランド物のスーツを着た年齢は翔と変わらないくらいの男が運転手にドアを開けさせてゆっくりと降りて店の中の様子を表から伺っていた。


「チッ!来やがったか・・・」


その様子を見ていた翔は舌打ちをして物凄く険しい顔をして店のドアを開けていた。


「やぁ!お久しぶりです。昨日はどうしても仕事を抜けられなくて今さっきお寺まで行って来た所でね。フフフ♪」

「わざわざ来ることも無かったんじゃねえのか?!もうお前には何も関係ねえっつっただろ?!」


その男と翔の会話を聞いた玲於奈は男が誰なのかがハッキリとわかってカウンターの中で肩を震わせていた。


「いやぁ~せっかく来たんだから娘の顔でも見ていこうかと思ってね。玲於奈はどこかな?」

「オイ!どの口が娘なんてほざいてやがるんだ?!お前に娘なんて居ねえだろうが!!とっとと帰りやがれ!!お前は玲於奈と何の関係もねえ!!」


男の言葉を聞いて玲於奈はとっさにカウンターの中でしゃがみ込んで身を隠した。

その様子を察した裕章が玲於奈の代わりに注文されていたブレンドコーヒーを客に運んでカウンターの中でしゃがみ込んでいる玲於奈に要が余っていたテーブルクロスを掛けてそのまま担いで裏口から連れて出て自分の車に乗せて店を離れた。


「もう大丈夫だ!!送ってやるから今日はもう自分の部屋に戻ってろ!なっ?」

「ありがとう・・・まさか店まで来るなんて・・・あの男今さら何なのよ一体?!」

被せられていたテーブルクロスをとって玲於奈は車の外の景色を見ながらまだ耳に残っている男の声に苛ついていた。


「心配無い!翔がすぐに追い返すだろうからお前は心配すんな!」

「でも・・・親権がどうのこうのってあの男がゴネだしたらどうなるの?」


ずっと玲於奈が誰にも聞けなかった一番不安だったことをつい苛ついて要に聞いてしまった。

玲於奈の言葉を聞いた要は驚いて車を路肩へ寄せて止めると振り返って後ろに座っていた玲於奈に言った。


「お前ってほんと難しいこと知ってるんだな!感心しちまうぜ全く・・・あのな!あの男に親権はねえ!真李亜が生きてた頃にあの野郎には親権放棄をさせたらしいからお前の父親面なんて絶対に俺たちがさせねえ!だから心配すんな!わかったか?」

「嘘?!本当に?そんな事ちっとも知らなかった・・・要さんありがとう・・・」


要に心配無いと頭を優しく撫でられて玲於奈はホッとして涙が止まらなくなってしまった。


「ついでにこの際だから教えておいてやる!お前は賢いからな!きっとわかってるだろ?真李亜はあの野郎に騙されたんだ!それにだ!お前の本当の父親はあの野郎じゃねえかも知れないんだ。詳しいことはまた落ち着いたら話してやる。全部言っちまったら翔に俺が殺されそうだしな!(笑)」

「ママがあの男に騙されていた・・・?そうなの?あ・・・でもなんだか納得出来るかも・・・ママがあの男に会いたいって私に言ったこと一度も無かったし・・・」


玲於奈は要の突然の告白に少し驚いたが何故かどこか納得してそして安堵していた。

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