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プロローグ『大輝』




「つまんねえーんだよ!」


教室の一番後ろの窓際の席で鷹城大輝たかじょうだいきが窓から見える校門の前に悪友のバイクCBR250Rが止まったことを確認してすぐに叫んで立ち上がっていた。


「オイ!授業中だぞ!!」


一瞬ざわついた教室の教壇でそのつまらない授業を進めていた国語の教師が黒板に向かっていた手を止めて立ち上がった大輝を見て一喝していたがそんなことにはお構いなしといった様子でカバンを片手に大輝は教室の後ろの引き戸を勢い良く開けて教師に向かって一言告げた。


「今日で学校やめっから!じゃ!」


唖然としている教師とクラスメイトを後にして教室を出た大輝はそのまま走って校門を出ると待っていた悪友のバイクの後ろに乗って走り去った。


大輝を乗せたバイクは自分達のチームの初代総長が経営する海岸沿いにあるカフェレストラン『うみねこ』へ向かっていた。


高校くらいは卒業してくれと母親に泣かれて今日まで耐えてきた大輝だったがさすがに学校という檻の中での生活が息苦しくて耐え切れなくなってしまった。

そして大輝は学校を辞めて家を出ることを決意して昨夜このバイクを運転している悪友の倉本靖弘くらもとやすひろに話して計画を実行したのだった。


バイクの後ろで潮風を感じながらこれから始まる新たな自分の生活を考えると大輝は胸が踊るような気持ちを抑えきれずに運転している靖弘にフルフェイスのヘルメットを軽くぶつけてふざけながらワクワクしていた。


『うみねこ』に着いて店の中へ入るとすでにチームの幹部やOBたちが集まって大輝の帰りを待っていた。


「やっぱお前も夏休みまでもたなかったな!オレも高2の夏休み前だったぜ!一年はとりあえず我慢出来っけど二年目に突入するとダメな奴は夏前にはバッタバッタとリタイアするんだよなぁー(笑)」

チームのOBで今では3店舗の居酒屋のオーナーをしている尾崎要おざきかなめがカウンター席でタバコを吹かしながらそう言うと作業着の入った紙袋を大輝に向かって投げて渡した。


「あ!作業着?!雇ってもらえるんっすか?オレ?」

「ああ!いつからでも構わねえから来いってさ!蓮司のとこのパシリがお前に渡してくれって今朝早く現場に行く途中にここまで持って来たんだってよ!良かったな!頑張れよ!」


先週の月曜に要の紹介で面接に行った建設会社の職人見習いの採用の返事を要から聞かされて大輝は飛び上がって靖弘に抱きついて喜んでいた。


「ありがとうございます!!オレ絶対に頑張ります!」


こうして大輝は新たな人生みちをここで一歩踏み出していた。










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