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再会の迷宮:追記

ちょっとエロい表現が出て来ます。

R15程度だと思いますが、苦手な方はご注意を。

あと、主人公達の甘々バカップルワールドも展開されます。

苦手な方はご注意を……

 あれから三日が過ぎた。

 トオコは今もベッドの上で沈没している。


「ぬ……主様ぬしさま……鬼畜です……」


 憔悴しきって起き上がれもしないトオコの様子に思わず声を掛ける。


「あー……その。悪い。なにぶん初めてなもんで暴走しちまった……」

「は……初めてなのに……あ、あんなに……もう、もう……、主様無しでは……」


 憔悴しているのに、トオコの肌は上気してしっとりと汗ばみ、瞳は潤んでいる。

 ……正直今すぐ覆い被さりたい位エロいですが、流石にこれ以上はトオコの体が持たなさそうなのでぐっと自重します。

 ……なんとゆうか……その、なにぶん初心者なもので加減が分からず。

 この三日間というもの、食事と排泄と風呂と睡眠を除くほとんどをトオコと一緒に宿の部屋で過ごしていた。

 それで判明したというか、トオコと二人で色々プレ……試している内に分かった事がある。

 どうやら俺の指は女性にとって性的快楽をもたらす効果があるらしい。

 それほど劇的では無いが、握手程度でもちょっとした性的興奮を覚える……とのことだ。

 おそらく固有スキルの『魔性の指』の効果なのだろう。

 道理でこちらの世界に来てから女性の対応がおかしいと思った……握手とかした途端真っ赤になったりしてたもんなぁ。

 あと、念動(サイコキネキス)を女性に使った場合も、自分の『指』を意識して操作すると効果が発現するようだ。

 トオコが念動手術の際にほとんど痛みを感じなかったのは、快楽で相殺されていたかららしい。

 これというのもトオコが検証に協力してくれたお陰だな。うん。

 基本的に念動(サイコキネキス)に『魔性の指』効果を載せるには魔法1回分=指一本分として操作しないとダメなようだ。

 つまり10倍念動(サイコキネキス)を使うと、両手の指10本分の『魔性の指』を自前のものとは別に操れるって事で、自前の指と合わせて20本でトオコの肌を撫でてあげたら、一瞬で気絶して(イッて)しまった……これを便宜上『魔力指』と呼ぶ事にする。

 ……うーん、女性限定だけど無傷で捕縛する時とか有効かも。


「まあ、今日一日はゆっくりして、体を休めて……明日は……そうだな、探索が中途半端に終わっちゃったし、古代王の迷宮ダンジョンオブボレトーの最下層まで行ってみないか? レベルアップも兼ねて」

「え?二人で……でしょうか?」

「うん、まあちょっと裏技っぽいけど、魔道具師の魔法と俺のMPチートで何とかなると思う」

「主様がそう仰られるなら、私に否やはありませぬ」

「うん、じゃあ今日はとりあえずゆっくり休んで……『命の泉よ傷を癒せ(ヒール)』、『光よ我が身を清めよ(クリーンボディ)』」


 魔法でトオコの体を清め、疲労も癒してやる。


「お……お手数掛けます……すー……すー……」


 そのまま、寝不足が続いていたトオコは落ちるように眠りについた……


          ※


 翌日。朝一にまずは装備を整えに街へ。トオコの防具には腹部に大穴が開いてしまっているからだ。

 武具屋で選んだのは黒鱗の胴具足。

 これはバジリスクの鱗を加工したもので、物理防御力と魔法防御力のバランスが良く、石化耐性も20%付与されているなかなかの品だ。

 トオコのシックな服装とも合っていて中々似合っている。

 この場合、多少なりとも魔法防御力もある(・・・・・・・・)と言う事が重要なので、その点でも目的に叶っている。

 更に俺も銀糸のコートを購入。

 これは突撃水牛(チャージバイソン)の鞣し革にミスリル銀で対魔の陣を刺繍した物で、状態異常耐性こそ無いが今まで着ていたコートとでは雲泥の差の防御力だ。

 ……実はトオコ達の救出依頼の報酬のお陰で結構懐は温かかったのだが、それ以上にこのコート、金貨2枚もして俺の所持金では買えず、トオコに借金して買って貰った。

 トオコは「借金なんて……私のすべては髪の一筋から爪の先まで主様の物ですからお気になさらずに」なんて言ってくれていたが……ずるずるとヒモ化するのは勘弁して欲しいので、鋼の意志を持って借金、という事にして貰った。

 という事で、現在の所持金は銀貨81枚と銅貨20枚。(借金金貨2枚)

 まあ、今度はゆっくり素材回収する時間もあるからすぐ返せると思う。


「装備も整えましたし、古代王の迷宮ダンジョンオブボレトーへは貸し馬を借りて向かいますか?」

「あー、俺は馬には乗れないんでトオコの後ろに乗せて貰う形になるけど」

「そっ、そうですね、経済的にもその方が優しいですし、ふ、二人乗りは仕方ないですよね」


 笑み崩れた表情を必死で引き締めようとするトオコ。


「あー、まあ、その前に……ちょっと待って……『武器強化ウェポンブースト』×50、『防具強化ディフェンダーブースト』×100」


 合計4500MPを使ってトオコの武器と防具を強化。それぞれ3.5倍の攻撃力と6倍の防御力、魔法防御力となったはずだ。

 魔道具師の武装強化(ブーストアームズ)が身体強化系の魔法に比べて劣っているところは、身体能力は強化されず、武具のみに影響がある事、1回の上昇値が5%と低い事、消費MPが30と多い事。

 逆に長所はその効果時間がデフォルトで24時間と、長時間続く事と、武具の能力すべて(・・・・・)が上昇することだ。

 つまり防具に掛けた場合、魔法防御力を備えていれば魔法防御力も一緒に上昇するのだ。

 更には状態異常耐性にも補正が掛かり、トオコの黒鱗の胴具足の石化耐性は100%にまで上昇している事になる。コカトリス、ゴーゴン、バジリスク、ドンと来いだ。

 そして俺には豊富なMPと魔力自動回復がある。

 馬でゆっくり行くと、だいたい2時間ほどで古代王の迷宮ダンジョンオブボレトーに着く。

 その2時間をMP回復の時間に当てれば、到着した頃には最大MPの60%は回復しているのだ。

 その点でも効果時間の長い武装強化(ブーストアームズ)系は俺と相性が良い。


「これは……凄い、武具から古代遺物(アーティファクト)並の気配を感じます! ……本当に私の(・・)主様は規格外ですね……」


 案の定驚いてくれたトオコに気分を良くして、続いて自分にも、『防具強化ディフェンダーブースト』×100を掛ける。

 これでトオコへと掛けた分を足しても7500MP。

 現在の俺の最大MPが12080だから2時間後にはその60%……7248MPが回復している計算だ。

 ほとんど全回復と言っていい。


「それじゃ、まぁ、早速向かいますか!」


 トオコが借りてきてくれた貸し馬にタンデム状態で乗り込む。

 馬は初体験なのでしっかりとトオコの胴に腕を回す……防具越しにな。

 直接触ると多分馬を操るどころでは無いと思うので。


          ※


 途中何事も無く古代王の迷宮ダンジョンオブボレトーに到着。

 予想より早く1時間半ほどで着いたのでMPはまだ回復しきってないが、探索中にも徐々に回復していくので問題は無いだろう。

 早速廃墟に足を踏み入れると


 "ボレトーの迷宮へようこそ。あなたの資格を走査スキャンします………………走査スキャン終了。あなたはポータル(ショートカット)の使用資格を満たしています。地下5階からお入りになりますか? yes/no ?" 


と、おなじみの問い。

 もちろん俺もトオコも資格を満たしているので地下5階へと直行。

 更に例の強制降下シュートで一気に8階へ。


 吸血鬼ヴァンパイアやら死霊騎士アンデットナイトがわらわら出てくるが、仮にもトオコはこの迷宮をクリアした事のある猛者だ。

 それに加えて武装強化(ブーストアームズ)系の魔法によって大幅強化されているので、まさに紙を裂くようにそれらを切り裂いていく。

 はっきり言って俺の出番なんてほとんど無い位だ。


「……凄いです。ダメージ軽減どころか、死霊騎士アンデットナイトの呪剣が直撃してもかすり傷も付かないなんて。敵はほとんど一撃で消滅するし……流石主様(ぬしさま)の魔法です」

「そんな事無いよ、俺の魔法は体そのものには掛からないんだ。いくら装備が良くてもそれを振るう者がなまくらじゃ意味が無いさ」


 トオコの尊敬の眼差しが面映ゆくて照れ隠しにそんな事を言ってみる。


「自らのお力を過信しない……それも冒険者にとっては必要な資質。流石主様です」

「いや、だからね……」


 うん、分かってる。端から見ればただのバカップルだって……

 まあ、そんなこんなで前回とはまったく違うほのぼのとした雰囲気のまま俺たちは9階へとたどり着いた。

 トオコはこの迷宮を1回クリアしているし、レンジャーの技能『マッピング』を持っているので道に迷う事は無い。

 ダンジョンコアがある迷宮が、いくら「生きている迷宮」だと言っても大まかな地形までは流石に変わらないので、前回の知識を生かせる訳だ。

 で、この階でとうとうあいつと再会。

 と言っても別個体だろうが……魔素喰らい(マジック・イーター)だ。

 今回は一気に4体。

 前回の事がトラウマになっているのか、奴らを見てトオコの動きが急にぎこちなくなる……

 ここは俺が始末した方が良いか……と、匕首を取り出し、念動サイコキネキスの準備をしようとしたのだが。


「ぬ、主様、ここは私にやらせて下さい。苦手意識を持ったままでは今後に差し障りがあります……どうか」


 ここまで言われれば手を出す訳にも行かない。

 俺は匕首を所持品欄にしまい、傍観者に徹する事にした。


「分かった、手は出さない……その代わりスキル無しでね。今の状態(武器強化)なら出来ると思う」

「……はいっ!」


 そして矢のように飛び出したトオコは、キッチリ4回の突きで4体の魔素喰らい(マジック・イーター)を見事仕留めたのだった。


「……このダンジョンで屈指の防御力を持つ魔素喰らい(マジック・イーター)でさえスキル無しで豆腐のように突き入れられるとは……これではコイツなどに苦手意識を持っていた私が莫迦みたいですね」

「そんな事は無いさ、無意識の恐れに自分から立ち向かおうとするなんて中々出来る事じゃな……い……ん?」


 トオコに話しかけながら近付こうとすると、何か蹴飛ばしたようで、足下でコツン、と音がした。


「……これは魔素喰らい(マジック・イーター)の水晶核ですね。魔道具などの素材に高値で取引される物です。中々レアな素材と聞いておりますね」

「ふーん、これがね……」


 拾ってみたそれは梅の実くらいの大きさで、確かに神秘的な輝きを宿している。


「魔道具の素材、ね」


 そう言えば魔道具師の新しいスキル、『魔法の指輪作成クリエイトマジックリング』、まだ試してなかったな。

 宝石部分はこれで良いとして……リング部分はこれなんかどうかな。


「……?主様、魔素喰らい(マジック・イーター)の残骸など、どうなさるので……?」

「んー……ちょっと試しにね……『魔法の指輪作成クリエイトマジックリング』……うぉ!?」


 一気に手の中の材料にMPを持って行かれる感覚がする……具体的には25%……4分の1ほどが吸われた感じだ。

 どうやら『魔法の指輪作成クリエイトマジックリング』のMP消費は固定じゃ無くて最大MPの25%……だったらしい。


「だ……大事ありませぬか、主様!」


 思わず立ち眩みを起こしたかのようにふらついた俺を後ろから支えるトオコ。

 あー……胴具足を着けてなければ、やらかい二つのふくらみがふわっと、こう……受け止めてくれたのに。


「大丈夫、大丈夫……ちょっと一気にMP使いすぎて立ち眩んだだけだから……それより、これ……」


 俺は手の中で作ったそれ(・・)をトオコに渡す。


「……これは……」


 それは水晶のリングに虹色に光る石の付いたシンプルな指輪。

 俺が『魔法の指輪作成クリエイトマジックリング』のスキルで初めて作った物だ。


真実のレンズ(トゥルーグラス)持ってるでしょ?確認してみて……俺もそれがどの程度の物なのか基準が分からないから」

「は……はい」


 俺に促され、懐から真実のレンズ(トゥルーグラス)を取り出して確認するトオコ。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

『吸魔のクリスタルリング+10』

  制作者:神楽十蔵

  レベル制限 レベル25以上

  種族制限 猫系獣人のみ

  クラス制限 無し

  防御力 15+10

  術防御 50+10

  身体付与 INT+1 MID+3 

  特殊能力

    自身に向けられた攻撃魔法を50%軽減する。

    使用された魔法の消費MP分を自身のMPとして吸収する。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「こ、これは……ええ!?」

「どうかな。手作りというのがなんだけど、女性へのプレゼントには指輪というのが定番だしね」

「ぷ、ぷれっ!?私にこれを!?」


 みるみるトオコの頬が赤みを帯びる。


「き、気に入らなかったかな」

「そ、そんなっ!そんな事は……ただ、こんな高価な物……本当に頂いて良いのかと」

「高価、なの?」

「防御力がまず指輪の常識を越えていますし、身体付与があって、攻撃魔法を軽減して、MPを吸収して……なんて、ほとんど王家とかの宝物クラスです」

「そ、そうなんだ……なんでそんなとんでもない物が出来たんだろうな……」

「……魔道具師は自らのMPを制作物に込めて性能を上げると聞きます。ですからおそらく……」

「あー……俺の最大MPに比例して性能が上がっちゃったのか……でもまあ、良い分には問題ないし、貰ってよ」

「は……はい。大切に……します……主様から頂いたこの指輪、たとえこの身が滅ぼうとも守り通して見せます!!」

「いやいや!逆だから!トオコの身を守る為の物だからね!?」

「主様から……指輪……ふ、ふふふふ……」

「き、聞いてる?」

「やっ……やっぱり左手の薬指? でもいきなりは図々しいと思われるだろうか……」

「おーい。トオコさーん」


 トオコが自分の世界から戻って来るのにはそれからしばらくの時間を要しました……


 それから再び探索を開始、9階の最奥の強制降下シュートから最下層10階に降りて進む。

 トオコの話によるとここから先はほぼ1本道で、要所要所に地上へのポータル(ショートカット)があって、いつでも脱出できるとの事なのでそのまま探索を継続。

 下位レッサー青銅竜ブロンズドラゴンやロングテールデーモンなどを撃破しつつ進む。

 さらに途中ヴァンパイアの上位種、吸血姫ヴァンパイアレディと遭遇したのでこれを『魔力指』×40倍、200MPで悶絶させ撃破。

 うん、やはり女性型の魔物にも『魔力指』は効くみたいだ。


「……主様……私以外のものにあのような情けをかけるなんて……もう……飽きられてしまったのでしょうか」

「あ、いや……違うからね!? 必要に迫られてというかっ!エナジードレインは勘弁して欲しいしね!? 先制して確実にね……」


 潤んだトオコの瞳に慌てて言い訳をする。

 うーむ、すでに尻に敷かれる予感が……


「……帰ったらいっぱいかわいがって下されば許してあげます」

「そりゃもう……」


 むしろ願ったりというか。

 ……などとそうこう(痴話げんか)している内にボス部屋に到着してしまっていた。


【偉大なる魔術師の居室】[※在室中※]


「……ふざけている訳じゃ無いんだよな」


 ボス部屋のドアに下げられたプレートの文字に思わず脱力する。


「いえ、ふざけて作ったのだという説が有力です。古代にはこの程度の迷宮は掃いて捨てるほどあったと聞きますし、もしかしたら古代人の遊戯の為に作った施設なのかもしれませんね」

「マジか……まあいいや、さっさと倒して帰ろう」


「はい、お供いたします」


 ドアを開けるとそこにはローブを着た老人が1人と吸血貴ハイ・ヴァンパイアが4体。

「ふふふ、愚か者が良くここまで来たな、しかし貴様程度で」

「『二連撃』」「『焦熱導く炎弾』(ファイアボルト)50倍×4発」


 口上を聞く前に問答無用で攻撃。

 俺が4体の吸血貴ハイ・ヴァンパイアにそれぞれ50倍のファイアボルト。

 トオコが魔術師?にブーストの掛かった水鏡カタナで二連撃。

 それであっさり片が付いてしまった。

 光の粒子となってマナに還元される魔術師。

 代わりに宝箱と杖が一本出現する。

 宝箱の中身は金貨10枚。

 杖は魔導師の杖

 杖は俺しか使えないので貰う事に。これでやっと初心者の杖から解放されたって事だ。

 金貨は5枚ずつ分けて、そこから借金金貨2枚をトオコに返した。


「……前回倒した時は5人がかりでしたが、これほどあっさり倒せはしませんでした……」


 呆然と自らの手を見つめるトオコを引きずってボス部屋の奥にあったポータル(ショートカット)から地上に帰還。

 何とか日が暮れる前に宿へとたどり着いたのだった。

 ……ちなみに、俺は念願のレベル20に。トオコもレベルが一つ上がってレベル30になっていました。

 ……もちろん、夜はレベルアップのお祝いも兼ねて、トオコとの約束を果たすべく、いっぱいかわいがってあげましたよ?

 


これでやっと古代王の迷宮は終了です。

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[一言] 【偉大なる魔術師の居室】[※在室中※] ↑ 初代ウィザードリ◯ですねw
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