先行き不安な旅立ち
やっと休み!!さぁ書くぞぉ!今日はこの話だけですが、明日もう数話投稿予定です!
よろしくお願いします!
「では、今後の動きについてですが、皆様よろしいですか?」
ポールがエペ・トラジェクトの5人とジンに話を振る。
5人は恭しく膝をつき姿勢を変えず話を聞いている。
ジンは6人の前に用意された椅子に腰をかけたまま話を聞いている。
「ジン様には、王都へ向かっていただきたく存じます。聖人様は国賓として扱われますので、ご安心ください。国王陛下との謁見をへて今後の進退をご判断いただければと存じます」
「あの…俺、自由に旅とかしてみたいのですが」
「そうですね…国王陛下がどのようにご判断されるかは存じませんが…ジン様のご意向に沿わない形にはならないものと存じます。願うことなら当国の発展にご尽力いただければと思いますが、他国や教会との兼ね合いもございますので、無理に拘束されることはないかと」
「そうですか…」
異世界ものにおいて、最初から貴族とか王族とかに絡むと碌なことないような気がするけど…
俺の異世界物語、最初から先行き不安じゃね…?ぎぶみーふりーだむ!!
「エペ・トラジェクトの皆様には、ギルドから正式にジン様の王都までの護衛を依頼いたします。」
「了解した。王都までとなると、7日から8日の道のりだな」
「そうですね、旅支度のため最も近いノルグーブル村で補給を行っていただき、リーヨン街に向かってください。そこで改めてギルドの指示に従ってください。私は先行して馬でリーヨン街に向かいます。」
「あの…8日って…徒歩ですよね?」
「すみません。ジン様は乗馬のご経験はございませんよね?あいにく、馬車等のご用意がなくて少なくともリーヨン街までは徒歩でのご移動となります。街で馬車の手配ができれば4日程度で到着となります。ご不便おかけいたしますが、ご容赦を」
「は…はい、とりあえず2日は徒歩ですか…頑張ります」
「私はすぐにでもリーヨン街へ向かいます。もうすぐ日没ですので皆様は明朝出立を」
自分の意志とは関係なく、今後の行く末が決まっていく。
今後に一抹の不安を感じながらジンは休むことにするのだった。
■
翌朝、まどろみのなか声が聞こえる。
「…ぃ人様、聖人様。そろそろ出立の支度をお願いします。」
ジュールが起こしに着てくれたのだろう。声が聞こえる。
起こしてくれるなら、ゾエさんがよかったなぁ…
てか、まだ日もでてないんじゃない?真っ暗なんだけど!!
「おはようございます。日の出前に出立しようと思うので、そろそろお願いします。」
「あ…すみません、今起きます」
簡易的な硬いベッドから怠い体を起こす。
きっと野営とかもするのだろうか…本当に不安だ
「すみません。お待たせしました」
冷たい井戸水で顔を洗い、すっかり眠気も覚め広場に向かうとエペ・トラジェクトの面々が待っていた。
「おはようございます。聖人様。改めて自己紹介をさせてください。きちんとご挨拶できていませんでしたので」
ジュールがそう切り出し各々が自己紹介を始める。
「俺はジュール、このパーティ、エペ・トラジェクトのリーダーです。」
「改めまして、俺はルネっていいます〜パーティでは斥候と支援を主にやってますんでお見知り置きを〜」
「・・ドニ、前衛の盾役やってる。話、苦手、すまない」
「ご挨拶が遅くなり失礼いたしました。私はゾエ、白魔道士ですわ。お怪我されましたら治療いたしますので、何なりとお申し付けください」
「…」
「ほら、クロエちゃん、ちゃんと自己紹介しなきゃ」
目を伏せるクロエにゾエが声をかける。
この前のこともあり話づらいのだろうか。
「クロエです。黒魔道士です。あの、先日は本当にごめんなさい!あたし…聖人様に…」
申し訳なさそうにクロエは頭を下げてきた。
「大丈夫です。みなさんからも謝罪されましたし、故意ではないことはわかってます。本人からも今、謝って貰ったので、この話はおしまいで!」
「ありがとう…ございます…」
目には涙が浮かんでいる。
これでおしまい!水に流して冒険の始まり始まり!
「俺からも、改めてジンです。よろしくお願いします。それと、みなさんにお願いがあります。」
「はい、何でしょう」
リーダーのジュールが真っ先に返答する。
「その、堅苦しいのやめてください!聖人とか様付けもなしでお願いします。そんな敬われる程の人間ではないので!それに恐らく…一番年下なのでもっとフランクに接してください!」
「フランク…?とは」
「えっと、普段通りで良いです!」
「わかった。じゃあ、ジン今日からよろしく頼む」
「こちらこそお願いします」
やっと、気が楽になってきた。
朝からどっと疲れた気がする。
「じゃあ、出発しよう。今後の事は歩きながら話す」
先導するジュールの言葉に各々返事をし、王都への旅路が始まる。
■
やばい、めっちゃしんどい…
歩き始めて早5時間、森の中の獣道を6人は歩き続けている。
ジュールが今後の事を色々話してくれたが皆の歩く速さについていくのが精一杯で全然頭に入っていない。
「大丈夫ですか?ジンさん、そろそろ休憩しましょうか?」
ゾエが心配して声をかけてくれた。
「だ…大丈夫…です…がん…ばります!」
息も絶え絶えだ…こんなことで今後、大丈夫なのだろうか。
「無理しないでくださいね…ジュール、そろそろ休憩しましょう」
「わかった、もう少しで森を抜けるから、もう少し頑張ってくれ」
全員息すら切れていないのに…不甲斐ない
しばらくして、森を抜けた。
ここまで歩き続けたのなんて生まれて初めてのことだ、脚が生まれたての子鹿みたいになってる。
恥ずかしいぜ。
「少し、ペースを落とそう。今日は途中で野営して、明日ノルグーブル村に入ろう」
「なんかすみません…」
「大丈夫だよ〜、これまで旅なんてしてこなかったんだろ〜?無理すんなって」
「・・無理、よくない」
エペ・トラジェクトのみんなは優しい、話してみれば気のいい人ばかりで俺のこと気遣ってくれる。
異世界にきて初めて出会ったのが彼らでよかった。
「あの…クロエさん?」
朝の自己紹介から、クロエは一言も喋らない。
パーティメンバー達が声をかけても一言二言しか言葉を発しなかった。
「ごめんなさいね、クロエちゃん、初対面の方がいるといつもこうなの…そのうち慣れると思うから、気を悪くしないでくださいね」
「ごめんな〜、本当はもっとやかましいんだけどな〜」
「誰がやかましいよ!」
「ほら〜ほら〜こんな感じで〜」
「!!??」
ルネにいじられて声を荒げるがジンと目が合い再び黙り込んでしまった。
俺、嫌われてるのかな…そりゃさ、東洋人の顔つきだから他のメンバーと違って美形ってわけじゃないけどさ…
あぁ…辛い
「猫さんは放っておいて〜、ジン〜聞いてもいいか?」
「ん?なんですか?」
隣に腰を下ろしたルネが声をかけてくる。
「史実に残ってるんだけど〜聖人って皆、特殊な能力を持っていたらしいんだけど〜ジンはどうなのかなってさ〜」
「俺もよくわかっていないんですけど「コピー」という能力だと思います」
「「コピー?」」
皆、気になるのか、クロエを除く全員が集まってきた。
「はい、遺跡で目を覚ます前に夢かどうかわかりませんが、神様?みたいな人が出てきて、その能力を授けるって言ったんです。相手のスキルや魔法を模倣できる能力らしいです」
「それは…また強力な力だな…」
「そうですね…一子相伝のスキルとか秘匿された戦術級の魔法とか模倣できるなら、国が揺らぎそうですね…」
「すごいな〜国が知ったら絶対手放したくないヤツじゃん〜」
「ですよね~…」
この能力について、一冒険者ですらこの様な認識を示すのだ…絶対面倒事になるよな。先が思いやられる…
言わなきゃよかったかも…
「よし、そろそろ出発しよう。この先に湖があるからそこで野営する。ジン、もうひと頑張りだ」
異世界転生ものの主人公って、どうしてあんなにうまく立ち回れてるんだろう…
俺の運がないのか?いや、でも現実そんなに甘くないってことなのかな…
ご拝読ありがとうございます。
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