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64,バザーの成功と熱っぽい瞳


 私は商品を袋に詰めて持とうとすると、護衛として連れてきた兵士達が代わりに運んでくれた。

 一生懸命に自分の商品を運ぶ子供達と一緒に、広場に準備した出店へと向かうと、そこには子供達を教えてくれた先生達の姿が。

 みんな嬉しそうにそれぞれの先生の元へと駆けていく。


「いい天気だな、ディア」

「本当に! カンディさん、昨日クッキーを作りに来てくれたって聞いたよ。ありがとう」

「本当なら焼き立ての方が良かったんだろうがな。準備があるのに朝から焼くのは難しいから、仕方ねぇわな。でもその分、期待しとけよ」


 カンディさんはニヤリと笑う。

 ん?と首を傾げると、二つ並べられた孤児院の出店の右横にはトゥルガの面々の出店が。

 その反対側にはソエおばあちゃんの出店が準備されている。


「えっ!? ど、どうして?」

「バザーなんだから、俺達も店出しゃいいじゃねぇかってなったんだよ。街の奴らも便乗して、敷物広げて古着とか不用品を売るみたいだしよ。子供達の商品と被らねぇようにしてな」

「わたしゃ見ているくらいしか出来ないけどねぇ。子供だけで対応が大変な時、ちょっとは手伝ってやれるだろう?」


 トゥルガの出店には、私も知っているフロア対応をしていた女性店員が何人か来ていて、こちらに手を振っていた。

 わざわざ駆け付けてくれたのだろう。

 

「みんな……ありがとう」

「水臭ぇなぁ、気にすんなって。本当はエルバが直々に来たかったみてぇだが、そういうわけにはいかねぇからな。それにここで販売するのは食いもんじゃなくて飲みもんだから、あいつらが居れば十分だ」

「飲み物?」


 トゥルガでは勿論ジュースやお酒も置いてあるが、メインは大衆食堂。

 食事が主だ。

 それなのに飲み物とは?と首を傾げる。


「クッキーだけだと口が乾いちまうだろ? クッキーは甘めに作ってあるから、口がスッキリするシトラスドリンクと、紅茶を用意させてんだ。まだ昼間は暑いだろうし、相乗効果で上手くいくだろうよ」

「そんなことまで考えてくれたの?」


 カンディさんは二カッと笑い、子供達へと声をかける。


「お前達、ちゃんと適度に休むんだぞ。水分補給も忘れちゃいけねぇからな」

「「「「はーーい!」」」」


 子供達の元気な返事を聞き、カンディさんは頷く。

 それからみんなで協力して陳列が完了した。

 既に広場には街の人達がうずうずとした様子で待っている。

 その時、時間を知らせる鐘がゴーンゴーンと鳴り響き、ワッと人の波が動き出した。

 その波は一斉に孤児院の出店に向かってきて、子供達はあまりの勢いビックリして全員後退ってしまった。


「ディア様、ハンカチが欲しいのだけれど」

「私はクッキーかしら」

「俺は足にミサンガでも付けようかな。ご利益ありそうだし」

「あら、そこの貴方、それはいいわね!私、ミサンガも買おうかしら」

「ママ、僕、あのお守りほしい!」

「じゃあ私はかごバッグを、貴方にはお守りにしましょうか」

「儂は全部買うぞ!!」


 私が店に立っている手前、みんな商品を散らかすようなことはしないが、もう誰が誰と何を話しているのか全く分からない。

 子供達は私の後ろで、食われるんじゃないかという勢いに震えてしまっている。


「ごめん、ぜんっぜん聞き取れないし分かんないわ。あと、子供達を怖がらせないでよね」


 大聖女の顔だとか、次期王妃だとか、そんな欠片もない素のツッコミを真顔で放つ。

 一瞬シンと静まったあと、ドッとみんなが笑い出した。


「ディア様は……そんな綺麗になってもそのまんまなんだねぇ!」

「元から気も強かったし、しっかりしてたからなぁ!」

「ディア様かっこいーっ!」

「馬鹿もん! これでも随分おなごらしくなったんじゃぞ! 小さい頃もまぁそれはそれは可愛かったがのぅ。なにせやんちゃでなぁ」

「ねぇやめてよ、子供達の前で! 恥ずかしいから!」

「「「「「あはははは!!」」」」」


 店に来ていた大人達だけでなく、両サイドの出店からカンディさんやラモン爺の大きな笑い声も聞こえてきた。アサレアさんまでプルプルと震えて堪えている。本当に勘弁してっ!


「もうっ! いい大人なんだから、ちゃんと並んでよね! ほら、整列整列っ!!」


 私がそう叫ぶと、みんなはカラカラと笑いながら徐々に列を成していく。

 気を取り直した子供達は、私の後ろから顔を覗かせて「いらっしゃいませ」と教えた通りの言葉を発し、対応を始めた。

 大人達は子供達を急かすことなく、子供達を見守ってくれている。


「このハンカチをいただきましょうか」

「あっ! そ、それ……私が作ったの……っ」

「あら、そうなの? とっても上手ね。大切にさせてもらうわ」

「……っ! あ、ありがとうございますっ!」


「みんなで焼いた、甘くておいしいクッキーはいかがですか?」

「ひと袋に何枚も入ってるから、家族で分けて食べるともっと美味しいですよ!」

「まぁまぁ、商売上手ね!」

「せっかくだ、二袋もらおうか。子供達にも食べさせてあげよう」

「「ありがとうございまーす!!」」


 子供達は初々しさやたどたどしさ、何よりも嬉しい気持ちで目をキラキラとさせていて、それを見た大人達は微笑ましげに子供達から商品を買っていく。


「おっ、クッキーを買ってくださった方には、こっちの特製ドリンクを二割引きさせてもらいますよー!」


と、カンディさんもノリノリで営業しながら、クッキーが売れるようサポートしてくれている。

 ソエおばあちゃんは子供達の様子を気にしながら、自分の出店に来たお客さんに子供達の商品を勧めてくれているようだ。


「この籠バッグ、本当に子供達が作ったの? 結構しっかりしてるのね」

「こっちのお守りは?」

「ハンカチ、沢山あって悩んじゃうわ。せっかくだから、もう一枚いただこうかしら」


 それはもう、嬉しい悲鳴とでも言えばいいだろうか。

 入れ替わり立ち替わりでお客さんが流れ込んできて、飛ぶように売れていく。

 年長組が勉強を活かしてお金の計算をし、年少組は「ありがとうございます!」と商品を手渡す。

 しっかりと役割分担もしながら、お客さんの対応をしている。

 

 けれど、真夏は過ぎ去り秋めいてきているとはいえ、サグラードはまだまだ暑い。

 気付けば販売を始めてからもう数時間が経っていた。

 子供達は適度に交代しているようだが、そろそろ一度全員で休ませてあげた方がいいだろう。


「……よし、丁度いいかな」


 私は盛り上がりを見せる出店から少し離れ、神殿へと向かった。


「そろそろお願いしてもいいかな?」

「承知しました。みなさん、準備はいいですか?」

「「「「はーーい!!」」」」


 そう元気よく返事をした子供達はお揃いの帽子を被り、ヒセラさんの後ろをヒヨコのように付いていく。

 巫女に案内され出てきた子供達を見て、買い物に夢中だった街の人達もなんだなんだ?と視線を向ける。


 広場のすぐ横、儀式や演説を行うためのステージがあり、みんなはそこへ上がっていく。

 ヒセラさんは中央に立つと、広場に向かって一礼した。


「バザーにお集まりの皆様。ここに居る子供達は今回、物を作るのではなく、この日限りのステージを披露させていただきます」

「せーのっ」

「「「「聞いていってください!」」」」


 なんとも可愛らしい掛け声に釣られて、街の人達はステージの方へと寄っていく。

 その間に出店で活躍していた子供達には軽食を摘ませたり水分補給をさせ、お昼寝が必要な年少組は一旦孤児院へと戻らせる。


 そうしている間に準備が整ったのか、ステージの子供達は聖歌を歌い始めた。

 神殿で聞く美しい声とは全く違う、子供らしい元気いっぱいの明るい歌声。

 そんな子供達の声を導くように、少し声量を落としたヒセラさんの歌声が支えになっているのか、子供達が少し音程を外してもすぐに綺麗な音程へと戻ってくる。


 一生懸命に歌う子供達を見た街の子供達は「僕もやりたい!」「いいなぁ」と羨ましそうにしている。


(孤児院だけじゃなくて、いつか街の子供達もみんなで出来るイベントがあったらいいのかもしれないなぁ。……実行出来るまでにかなり時間はかかりそうだけど)


 また考えることが増えちゃったなぁと一人苦笑していると、歌が終わったようで広場は大きな拍手に包まれた。

 子供達は頬を火照らせながら、晴れやかな表情でステージを降りていく。

 近くに居た大人達に囲まれ、みんなから「上手だったわ!」「頑張って練習したんだね」と声をかけられていて、とても嬉しそうにしている。


 暫くして人の波がステージから離れていき、子供達も戻ってきた。


「ディア様、どうだった?」

「みんな凄く上手だったよ! 沢山練習したんだね」

「えへへーーっ!」


 私は偉い偉いとみんなを褒めちぎる。

 子供達は満足そうな笑みを浮かべたあと、ヒセラさんに帽子を預けパタパタと出店へと走っていく。

 この子達はさっきまで神殿で休んでいたので、これからは売り子として出店を手伝ってもらうのだ。


「さぁ、後半もがんばるよっ!」

「「「「おーーっ!!」」」」


 


 それからみんなで汗をかきながら商品を売り続けた。

 クッキーや元々数の多くなかった籠バッグ、革のお守りは全て完売。

 元々数が多かったハンカチやミサンガは残っているが、それにしてもよく売れたと思う。

 これまで一緒に協力してきたからか、元からいた子供達も大神殿の子供達も関係なく、物陰でハイタッチをしたりお互いを褒めあったりして喜んでいる。

 打ち解けられたようで何よりだ。


 残ったものは子供達の物にすればいい。

 そう思い、そろそろ片付けをと思った時。


「あっ! あれ、王様じゃない?」

「え? ライ?」


 子供が指差す方へと顔を向けると、護衛を連れたライが手を上げていた。

 街の人達は「ライ……いや、もうライ様か」「あの子が国王様なんてねぇ」と言いながら、しみじみとライを観察している。

 私は慌てて駆け寄った。


「ど、どうしたの?」

「どうしたのって、様子を見に来たんだよ。そろそろ人が引いてるかと思ったのに、まだ結構居るんだな」


 どうやら忙しい中、バザーを見に来てくれたらしい。

 突然現れたライを見て、子供達は「王様だー!」「かっこいいー!」と喜んでいる。


「……まだ残ってんのか?」

「うん。でも、元々数が多かったハンカチとかミサンガだから。子供達が使えばいいと思ってたから、あれくらい残ってても全然問題ないよ」

「ふぅん」


 そう言いつつも、ライはまだ置かれている商品へと目を向ける。

 そこへロンナが「あ、あの……っ」と声をかけた。


「は、ハンカチ……は、いかがですか? その……えと…………っ」


 ぎゅっと目を瞑りながら差し出されたのは、どの商品よりも丁寧に刺繍された一品。

 陳列されていなかったから、恐らく彼女は一番上手く出来た作品を隠し持っていたようだ。


(これは……恋する乙女っていうよりは、尊敬や憧れ……かなぁ? ライがモテるのは今に始まったことじゃないけど)


 私が苦笑を漏らすと、それに気付いたロンナはハッと顔を上げて慌てふためいた。


「ち、違うんです! 決してそんな……やましい気持ちがあるわけじゃなくてっ。その…………王様は、ハンカチを大事にしてるって噂を聞いたことがあって。私も刺繍が上手になれば、こんな私のハンカチでも使ってもらえるのかなって」


 ロンナの手はふるふると震えている。

 元々この子は引っ込み思案で、あまり自分に自信のない女の子だった。

 この子も、孤児としての心の傷がどこかにあって、認められたい求められたい気持ちが消えないのかもしれない。


 ライは手を伸ばしたが、その手はハンカチではなくロンナの頭へと乗せられた。


「……ったく、誰からそんな話を聞いたんだよ。……ハンカチは受け取れねぇんだ。悪いな」

「あ……」


 ライに断られたロンナは腕を下ろし、悲しそうな顔でしょんぼりと俯いてしまう。

 ふと視線を動かしたライは、出店に置かれたハンカチの中から一枚手に取って「俺はこれをもらう」と言った。

 手に取られたそれを見て、私は目を丸くする。


「な……んで?」

「なんでって、これはディアのだろ?」


 ライが手にしていたのは、私が持ってきたハンカチの内の一枚だった。

 私のハンカチが混ざっていたと知った街の人達は「えっ、ディア様の作ったハンカチもあったの?」「どれがそうなの!?」とザワつく。


「いや、なんで分かったの?」

「刺繍でも人の癖って出るんだな。すぐ分かる」


 癖ってなに?という声を発する前に、ライは屈んでロンナと目線を合わせた。


「悪いが俺は、ディアのハンカチしか使わねぇし、ディアのハンカチだから大事にしてんだ。分かってくれるか?」


 ロンナへ向けての言葉だというのに、私は気付けば胸を押えていた。

 それは前々から思っていたことだったけれど、本当にライは私のハンカチしか使ってなかったらしい。

 

「……はい」

「でも、ちょっと練習しただけでこんなに上手なんだろ? もっと頑張れば、仕事ももらえんじゃねぇか?」

「そう……でしょうか」

「あぁ。だからいつかお前も、そのハンカチを大切にしてくれる奴に出会えるといいな」

「……! はいっ!」


 優しく撫でられて、ロンナは瞳を潤ませながらはにかんだ。

 頷いたライは立ち上がり、私の方へと振り向く。


「……くっ、なんて顔してんだよ」

「ライが突然そんなこと言うからでしょ!?」

「俺がディア以外のハンカチを使ってねぇのは、お前が一番よく分かってんだろ?」

「わ、分かってたけど! まさか本当に私の以外持ってすらないなんて、思わないじゃんか!!」


 私が照れ隠しで声を荒げると、ライは楽しそうに笑ったあと、少し意地悪そうな表情を浮かべた。


「まぁでももしかしたら、いずれディアのハンカチだけじゃなくなるかもしらねぇけどなぁ」

「え!? あんなこと言っておいて、今更別のハンカチを使うの?」


 私がギョッとすると、それはもう嬉しそうな顔で私の手を掴んだ。


「もしいつか俺達に娘が生まれて『パパに作ったの!』って言われたら、流石に断れねぇだろ?」

「!?」


 私が顔を真っ赤にして声も出せずに驚いていると、街の人達から「あらあら!」「まぁまぁ!」と笑う声や口笛、更には子供達から「ラブラブだーー!」「チューは? チューはしないのーー?」と囃し立てられる有様で。


「おいおい、マセてんなぁ。まだチビには早ぇだろ」


と、からかった張本人であるライも、予想以上の反応だったのかタジタジと困った様子を見せた。

 それを見た私は繋がれた手をぐいっと引っ張り、その頬に軽くキスをする。


「あ!?」

「「「「キャーーッ!!」」」」


 私とお揃いで顔を真っ赤にしたライと、黄色い悲鳴を上げる子供達。

 大人達が「お熱いねぇ!」「こりゃあ国も安泰だな!」と盛り上がる。


 仕返しとばかりにニッと私が笑うと、目を細めたライは私を担ぎ上げるように持ち上げた。


「えっ!? ちょ、ちょっとライ!?」

「おい、お前ら。バザーの片付けを手伝ってやってくれ。先に戻る」

「「承知しました」」


 ライは片付けを護衛達に任せ、私をポイと馬車に投げ入れた。

 ガチャンと扉が閉められ、私は慌てて身を起こす。


「ちょっと、ラ……んっ!」


 さっきとは反対に私はライに強く引かれ、気付けば唇が重なっていた。

 胸を押すも、後頭部へと回された手で逃れることも出来ない。

 頬にチューなんて、子供でもするような可愛い挨拶だったはずが、まさかこんなことになるなんて。

 

 私は息苦しさから何度かライの胸を押すと、まだ熱っぽい瞳をしたライが、私を渋々解放した。

 あまりの恥ずかしさに、ぷるぷると震えるしかない私を見て、ライは「はぁーーーーーー……」と大きく長い溜息を吐いたあと。


「ディア、結婚したら覚悟しとけよ」


と睨むように言われ、私は「ひぇっ」と竦み上がってしまった。

 どうやら大きく育った猛獣に火を付けてしまったらしい。

 遠くない未来、はたして自分は無事でいられるのだろうか……。

 私は今から冷や汗をダラダラと流すのだった。






 テルセロ様の屋敷に帰ってきて一息吐いた私は、


「子供達にプレゼント渡しそびれてるっ!!」


と悲鳴を上げ、後日、ご褒美にと孤児院全員にお揃いの青いブローチをプレゼントしに孤児院を訪れる。

 けれど、子供達からも街の人達からも、生暖かい目で見られるわ冷やかされるわで、一日中顔を赤らめたまま口を引き結ぶことになるのだが……この時の私はまだ何も知らない。





後日談までお読みいただき、ありがとうございます!

本編61の後書きに記載した『大量に作られてしまったアレ』についてを書かせていただきました!



ちなみに、ちょっとした小話を――。


ライは母親であるセレイ様や乳母マヤさんの過去により、婚前交渉は勿論のこと、そもそもそういった行為自体を嫌悪している節があります。

更に女っ気のない兵士達の中で生活してきたライは、ディアに対してどのように行動していいか分からないところも。

スキンシップに関しては、からかいとしての行動か、ディアを安心させたり労るためか、誰にも奪われまいとする警戒心からか、ディアのリード(単なる突飛な行動ともいう)への反撃で動くようなところが多く、実はあまり自分から行動してはおりません。

……今回のことで、何かのスイッチが入ってしまったのかどうかは……楽しみなところですね!(ニチャア)


いいね、ブクマ、感想やレビュー、評価など

とても励みになります……!

是非とも応援宜しくお願い致します( .ˬ.)"




また、新作のお知らせをさせてください!


本日21:50公開の短編:

【ドアマットヒロインってそういうことじゃないです、お義姉様。】

挿絵(By みてみん)


なんだかんだ初の異世界転生や悪役令嬢のワードを含む短編作品です!


ハイデンライヒ王国でも上位に君臨し、長い歴史を誇る由緒正しきヘルツォーク公爵家の客間。

この公爵家の末娘であるローザダリアや、第一王子のキースベルト王太子殿下、その他、この国の今後を担う令息令嬢と学園教師が集っているというのに、その場はシンと静まり返っていた。

全員の視線は中央に置かれたテーブル……その上に鎮座すべきでないそれへと向けられている。

キースベルトは意を決してローザダリアに尋ねた。


「それで、その……どういうことか説明してくれるかな?」

「……わ、わたくしがリルを……ドアマットに変えてしまったのですわ……っ!」


わっと顔を覆うローザダリアの言葉を聞いたあと、そこに集う全員が呟いた。


「どうしてそうなった?」と――。




作中では1度で2度おいしい、2カップル書かせていただいております!!

「うん、どうしてそうなった?」と思っていただけましたら、是非ともお読みいただけますと幸いです!



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