プロローグ
この男クズで馬鹿でアホで厨二病ですが、どれもリミッターをぶっちぎっていて、いっそ清々しいものがあります。
いきなりで悪いが、少し俺の質問に答えて欲しい。
君たちは「最強」という言葉を聞いたことは?
最強、それは読んで字の如く、最も強いという意味だ。
では何が強いのだろうか?
喧嘩か?スポーツか?それともチェスや将棋?
あるいは投資やトレード?ギャンブル?
と、まぁこのように最強と言っても、分野は様々ということだ。
しかし、どんな分野であれ、皆一度は思ったことがあるのではなかろうか。
一番になりたい。誰にも負けたくない。全員に勝ちたい。 最強になりたい、と。
では、なぜそのような欲求が生まれるのか。
その理由もまた千差万別。
かっこいいから。女の子にモテたいから。目立ちたいから。夢だから。負けるのが嫌だから。人を見下すのが好きだから、等々。
まぁ、いろいろあるわけだ。
しかし、俺がそうなりたいと思ったのは先にあげた理由のどれでもない。
そう、女にモテたいなどという邪な理由からでは断じてない。
安全で平和でハッピーだから。
ん?何が言いたいのかよくわからないって?
ふーむ、では愚かで脆弱な君たちに教えてしんぜよう。
目の前に世界一喧嘩の強い男がいます。
あなたは戦いますか? 戦いませんよねー。
目の前に世界一のギャンブラーがいます。
あなたは勝負しますか? 勝負しませんよね。
と、このように最も強いということはそれだけで無駄な争いやつまらないことに悩まされることが減るのだ。
もちろん、あえて最強に挑みたいというバトルジャンキーや、頭お花畑の厨二病はいる。
しかし、その大半が本気でない時。
いわゆる、相手が遊び感覚で相手をしてくれている時に向かっていくようなものだ。
本気で自分の命や将来がかかった場面では大半のものは、最強にあえて挑むという愚行は犯さない。
つまり、話が長くなったが、俺の言いたいことは一つだ。
最強になれば、大概のことがうまく運び、自身の安全は保証される。
これは俺の実体験だ。
これまで俺は様々な分野で最強になってきた。
ある時は中東最強の傭兵。またある時はラズベガス最強のギャンブラー。またある時はヨーロッパ一のスリ氏。
またまたある時は全米一のハリウッドスター。
またまたまたある時は総資産世界一の企業の社長。
またまたまたまたある時は県内一ののクズ男。
またまたまたまたまたある時は・・・・・・・。
と、このやうに、挙げればキリがないほど様々な分野において、俺は最強という地位を獲得してきた。
はい、先生ー!
うーん、どうしたモブA?
先生って最強になりすぎじゃない?絶対おかしいよー。
ふん、モブにしては悪くない質問だ。
そう、先生は転生者です。
それもただの転生者じゃない。
前世の記憶を持ったまま新たに生を受けるのだ。
しかし、先生、もうかれこれ人生99回目だ。
いい加減飽きてきたよ。
もう、なりたい分野では、全て最強になってしまった。
だから先生は今こうして、君たちに最強になることの有意義さを暇潰しに説いているというわけだ。
先生相変わらずクズいね。
学校一のクズ教師ってお母さん言ってたよー。
うん、お母さんに喧嘩ならいつでも買うと伝えてくれ。
さて、そろそろ授業を始めようか。
バーン!!!!!!(教室の扉が開いた音)
見つけたわよ!!!!!この、、クズ男!!
あなた私を騙したのね!
どうしてくれるのよ!あんな借金私には払えないわ!
もうこうなったら殺してやる。
死になさい!!
グサッ!!
がはっ!!苦しい、意識が飛びそうだ。
あー、まずい。
仮にも今の俺は教師!
生徒を守らなくては、みんな早く逃げろ!
って、みんなもう教室の外にいるんかーい!!
なんて薄情な奴らだ、そんなに俺がきらいかよ。
西暦××××年、3月19日、午後2時38分。
そこで俺の99回目の人生が終わった。
この時は思いもしなかったんだ。
まさか次の人生が最後になるなんて。
そして、その最後の人生をまさか、地球ではない異世界で始めることになるなんて。
長く生きすぎて少々厨二病で馬鹿な奴ですがどうか、温かく見守ってやってください。