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最強の殺し屋 弟子をとる  作者: 松花 陽
1/2

最強の殺し屋は容赦なし

新シリーズです。前々から考えていたやつです。

少女「私を……あなたの弟子にして下さい!」


それは、突然のことだった。

目の前の少女は、僕に銃口を向けられながら、突然そんな言葉を口にした。


「何を言ってるんだ、お前??」


少女の言っている事に、僕は終始理解できないでいた。


「こんな汚れた仕事に、お前は自ら進もうって言うのか??一度染まれば、もうまともな人生を送れないかもしれない、そんなレールを進むんだぞ。……お前はそれを望むと言うのか……?」


少女「はい、もともとそのつもりです!」


少女は、首を縦に振りながらそうハッキリと口にした。

僕は片手で顔を覆い溜め息を吐きながら……。


「……どうしようか」


……と、本気で悩むのだった。


□□□


僕は、殺し屋だ。

誰かを殺して、そして生きている。この行為が悪い事だと、そう叫ぶ人間もいるだろう。

ただ、それはそんな道を辿らなくて済んだから言える発言なのだ。僕は……この道しか選べなかった。殺し屋という、そんな道しか。

だから僕は、この仕事で今日も生きていく………このけがれた手と共に。


僕の名前は、伊太智佐津いたちさつ、殺し屋だ。と言っても、僕は少しだけ普通の殺し屋とは違う。だが、そんな事は今どうだっていい。

僕は今、ある女から部屋に呼び出されていた。


佐津「なんの用だ」


??「私が呼び出してるってことは、要件なんてわかりきってるんでしょ?」


目の前にいるこの女の名前は、アイミー=ケイング。……僕の所属しているこの機関のトップに位置する女だ。


アイミー「殺しの依頼よ……それも、貴方にしか出来ないような難易度の高い依頼」


佐津「……また仕事、か」


僕はふところにしまってある銃を取り出しながら……。


佐津「最近、僕を働かせ過ぎじゃないのか?もうそろそろ、休みくらいくれてもいい頃合いじゃないのか?」


アイミー「え、貴方は逆に休みが必要ない人間だと思っていたのだけれど……違ったの?」


佐津「なわけねえだろ、欲しいに決まってんだろ」


アイミー「そうなんだ、昔の貴方は休みなんて必要ないと言わんばかりに仕事をしていたのに」


佐津「僕だって人間の端くれだ、休みはいる。……てか、わざわざ昔の事を掘り返すなよ」


因みにだが、僕とこいつはかなり長い関係になる。コイツとは小さい頃からの付き合いだ。だからアイミーは僕の事を一番理解しているし、きっと同時に僕もこいつの事を一番理解している。だから、僕をこうやって呼んだって事は。


佐津「また、僕にしかできない殺しの依頼か」


アイミー「そういうこ・と。……とりあえず、ターゲットの情報を見せるわね」


そう言って、アイミーは束になった数枚の書類を僕に見せつけた。

……どれどれ。


佐津「えっとなになに……?伊太智佐津ボーイズラブ同人誌……」


アイミー「ちょっとからかっただけだからそうやってすぐに銃を突き付けるのやめてくれる??」


佐津「いつの間にこんな物を捏造ねつぞうしやがって……!」


アイミー「だって、貴方のその反応が面白いんですもの。普段無表情でクールで冷たそうなその表情が崩れるその顔が見たくて、ついつい捏造しちゃったのよ」


佐津「ふざけんな!!」


思わずそれをビリビリに破る。

……これで何とか一難去ったか。


アイミー「あ、一応言っておくとそれコピーだからオリジナルを消さないと永久的に消えないからね」


佐津「……だったら僕も何かしらの対抗手段をとらなくちゃいけないわけだ」


アイミー「そんなことよりも、さっさと仕事をしてくれる?」


佐津「だったらさっさと標的の情報を渡せよわかんねぇだろうが!!!」


そんな漫才のようなコントをアイミーとする。


アイミー「悪かったから、そんな叫ばないでよね。……というわけで、はいこれ」


と言いながら、またさっきと同じくらいの枚数の書類を僕に渡す。


アイミー「これが、今回のターゲットの情報。……そいつらを殺せば、仕事完了よ」


佐津「おいおい、コイツら全員ヤクザじゃねえか。しかもただのヤクザじゃねえ……極道崩れのヤベェ奴ら」


アイミー「そうよ、それがどうかしたの?まさか、極道が怖いからとかそんなみっともない事を言うんじゃないでしょうね」


佐津「……別にそう言うんじゃねぇけど」


極道といえば、ケジメをつけるために小指を落としたり、証拠隠滅の為にドラム缶に入れて海に流すというのがあるため、僕はそれが少し恐ろしくて苦手だった。だが、別に怖気付くほど怖いわけではなかった……だって。


佐津「コイツらって、前に解散した北星会っていう元ヤクザの組織のだろ?極道崩れの癖に、惨めったらしく北星会の後釜を目指してる時点で、まだまだコイツらは小物だよ」


アイミー「ふふっ……その通りよ、コイツらは極道崩れの割にはそこまで強くないチンピラばかりの集団よ」

「こんな事がわかるだなんて、さすがは最強の殺し屋さんね」


佐津「何、ただの勘だ。てか、僕はそんな大層なもんじゃないぜ。……厳重な場所だったら流石に殺せるかどうかわからんぞ……」


アイミー「それでも殺すの、わかった??」


有無を言わせない圧で、アイミーはそう言った。僕は大きく溜め息を吐いて……。


佐津「まぁ、やるだけな……」


と、言っておいた。


アイミー「因みに、今回の依頼人はこの私よ」


佐津「……は??」


僕は彼女のその一言に、思わず目を見開いてアイミーの事を二度見した。


佐津「……なんで?」


純粋に疑問に思った僕は、まだ目を見開いた状態でそう唖然とした口調で聞いた。彼女は、笑いを必死に堪えながらその理由を説明した。


アイミー「なんでって、そりゃ私たち機関にとって目障りだからに決まってるじゃない」

「奴らをそのままにしておくと、いずれ私たちにも不利益を生む。いや、正確に言えばもう不利益を生んでいる」

「生かしておく価値はないから、だから貴方に殺して欲しいってわけ……勿論、私のお金でそれなりの対価を支払うつもりよ」


その書類には、今回の仕事の報酬金も書かれてあった。


佐津「おいおい、五人まとめてたったのこんだけかよ。ケチだなお前……」


アイミー「あのね、私の財布から金を取るって事はこの機関の資金をむしり取るようなモンなんだから仕方ないでしょ。それに、それなりに高い金額でしょ、100万は超えてるんだし」


佐津「まあ、そうだけど……」


ここの仕事の報酬金は案外豊富だ。100万もいくものもあれば、億越えの報酬金がもらえる仕事だってある。流石に億越えはないが、大体それくらいの大金を僕はほぼ毎日もらっているので、それなりに貯金は貯まっていた。それに、僕は滅多に金を使う人間ではないので、どうしても無駄に貯まっていくのだ。なので、僕は彼女にこう言ってやった。


佐津「今回は別に報酬はいいよ。今腐る程持ってるし、全然お金に困ってないからな」


アイミー「……え、いいの?」


彼女は、耳疑う言葉だった為か、再度確認するようにそう告げた。


佐津「いいよ別に、それに僕とお前の仲だ。これは貸し一つってことにしといてやるよ」


アイミー「やっぱり一つ貸しになるのね……わかった、いつか返すわ」


佐津「……楽しみにしておくよ」


と言いながら、僕はそのドアを開けて……


佐津「いってきます」


……と、言うのだった。


□□□


とりあえず標的のいるアジトに向かったわけなのだが……。


佐津「おいおいなんだこれは……」


そこは随分とデカい組織だった。いや、うちの機関と比べればまだ小さい方だが、それでも大きい方だった。塀の外回りには数人のチンピラが蔓延り、身周りをしているようだった。こんなデカい組織に行くのは僕自身初めての経験だった。やれやれ!どうやら面倒な仕事を引き受けてしまったようだ。


佐津「これで百なんぼって……いくらなんでも対価が安過ぎるっつーの。……これだったら貸し一つどころか二つくらい付ければよかったぜ」


こういう時、素人であれば人数で立ち向かうのだろうが。殺し屋というのはそんな生半可なものではない。人数を増やせばそれだけリスクを負うし、無駄死にをさせてしまう。だから、殺し屋は標的を一発で仕留めなければならない。


佐津「まあ、やるだけやってやるかな」


幸い、思ったよりも監視の目は緩く、案外あっさりと侵入に成功した。やれやれ、よくこんなのでここまで組織をでかくできたものだと……そこだけは、正直僕は感心した。

そうして、やっと僕はそこに辿り着いた。

運良くそこには、今回の標的である五人のヤクザが固まっていた。


鉄「なんだお前は、今私たちは会議の途中なのだが…?勝手に入ってこないで貰いたいね」


会議っという事は、多分ここにいるターゲット全員は幹部かそのリーダーなのだろう。一応この部屋の前に見張りはいたが、それは全て僕が全員一旦眠らせている。


西坡「おいおい組長オヤジ。見張りを付けてたはずでしょう?どうしてこんな男がここにいるんですか??」


さっきの男の隣に座っていた男が、立ち上がってそう言葉を口にした。なるほど、前にいる奴がここのリーダーというわけか。ヤクザ独特のオヤジ呼びをしていたからな、簡単にわかった。


佐津「あーあれな、そいつらなら今絶賛眠ってるところだ。安心しろ、殺してはいない」


東建「なんだと!?私の右腕であるアイツらがそんな簡単にやられるわけが……??」


北関「これだから筋肉脳のアンタの部下には頼りたくなかったんだ!」


東建「なっなんだと〜!」


南朝「落ち着けテメェら〜!!……今俺達がやるべきことは、この男を追い出す事や!」


一番手前に座っていたそいつが、そう大きな声で怒鳴ると同時に、他の奴らが黙り込んだ。そうして、組長以外の奴らが全員その場で席を立ち、僕の前に立ちはだかってきた。


南朝「悪りぃけど、俺らは小僧の相手をしとる暇はないんや。帰ってもらおうか」


その男の言葉に、僕は表情を一切変えずに鼻で笑いながら……。


佐津「悪いけど、僕も仕事で来ていてね。……ここで黙って帰るわけにはいかないんだよ」


次の瞬間。僕は相手が言葉を返すよりも先に、懐から銃を取り出して、その男の首を撃ち抜いた。轟音共に鮮血が飛び散る。首を撃たれたそいつは、白目を向いた状態でその場に倒れ込んだ。

それを後ろで見ていた他の幹部たちは、慌てふためいたり、怒り狂ったりしていた。すると、もう一人の男が僕に拳銃を向けながら……。


北関「死ねぇーー!!」


と叫びながら発砲した。だが……僕はそれを条件反射で避けて、その男の脳天に向けて銃を放った。勿論命中、すぐに死んだ。


西坡「……弾を避けるなんて、人間じゃねぇよこいつ……」


そいつは驚愕して足を震わせていたが、もう一人の男は違っていた。


東建「…お前にできるなら、俺にも出来るはずだーうおぉぉぉーー!!」


とまさに脳筋といった行動をしてきた。僕は、そいつに敢えて銃を使わず、その男の拳を受け流して、ナイフで後ろのセキズイを切りつけた。神経をやった為、体を動かそうにも脳から体に信号が行き渡らないようにしたので、抵抗する事はできないだろう。そのうち死ぬと思った僕は、そいつをほっといてもう一人の男の方に近づいた。


西坡「ひぃぃ〜〜!!」


僕がその男に銃口を向けた瞬間。


鉄「おっと……もうこれ以上俺の大事な子供たちを手にかけないでもらえないでしょうか?」


その組長は、後ろから僕に拳銃を向けながらそう告げた。僕は冷静にこの場の状況を整理しながらタイミングを待つ。


西坡「おっオヤジ……!」


鉄「大人しくさっさと殴られとけば、半殺しで済んだのに……俺の可愛い部下をこんなにして覚悟はできてるんやろうな?」


佐津「はっ……ここに忍び込んできた時点で元々殺すつもりだったんだろ、組長さん」


鉄「よくわかってるなお前は……その通り、ここに忍び込む奴らなんて、闇社会の奴以外他にいないからな。殺す対象になるのは必然的になるわけよ」


佐津「…なるほど」


僕は、わからない程度に笑みを浮かべながら、そう呟いた。


鉄「それじゃあ、まずその銃を手放してもらおうか」


僕は、言われた通りにゆっくりとその銃から手を離した。銃は重力に従って下へと落ちていく。組長の目が、落ちていく銃に目が入ってる数秒の間に、僕は一瞬で反撃に転じた。


鉄「なっ……早い?!」


すぐさまその男の手から拳銃を奪い、一秒の隙も与える事なく、ゼロ距離でその組長の額に風穴を開けてやった。

そして、残りの怯える男にも拳銃を向けながら……僕は。


佐津「これで、ミッションコンプリートだ」


と告げながら、冷徹な顔で発砲するのだった。

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伊太智佐津いたちさつ

青色の髪をした殺し屋。歳は27歳で、どんな仕事も依頼されれば必ずこなす最強の殺し屋。依頼された標的しか殺さないこだわり持った殺し屋で、標的に外敵しない者は殺さないというルールを自分の中で立てている。

ほとんど無表情な感じ。

時に優しく、時に厳しく、時に真剣になる。

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