第19話 テーマ論:なぜ映像化作品は失敗するのか。表のテーマと裏のテーマ、テーマの深度
【1】テーマ
「テーマに良し悪しはない。作品に浅い深いがあるだけ」
作者の『テーマ』に対する理解の深さが、作品の完成度に直結する。
(2)テーマは作品における絶対の王
・作者は、テーマにふさわしいコンセプトを選び、テーマに沿ったストーリーを作り、テーマに相応しいキャラクターを生み出し、テーマが映える世界観を生み出す。
・テーマは、作品を貫く一本の芯のようなもの。テーマからぶれた存在は、読者にとっては違和感にしかならない。
【2】表のテーマと裏のテーマ
表のテーマ:作者が明確に読者に伝えようとしているメッセージ、つまり通常のテーマ
裏のテーマ:表のテーマとは別に、作者がほのめかすメッセージ。メタファーなどで描かれることも多い。
※ただし、あくまで作品内の情報から特定できるものが裏テーマ。作外の情報、例えば作者の来歴や周辺事情を知らないと理解できないモノは、ここでの裏テーマには含まない
【3】テーマの深度
・議論とは、双方の共通認識の土台の上でのみ成り立つ
・あえて土台を壊すことでテーマのより深い部分へと踏み込むことができる場合がある
・例えば「世界最強の格闘技は何か」①という格闘もの。
・作者の設定したルールの上で勝利したものが「強い」という前提の上で初めて成り立つ。
・そこに作者が「そもそも『強さ』って何よ?」②というテーマをぶっこむことで土台が崩壊する。
・②を踏まえた上で①の答えを描くことで、上手く纏めることができれば、良作になる(ただし空中分解しないように)。
【4】映像化作品が失敗する理由
(1)映像化作品の作者が、テーマを理解していないパターン
・コンセプトのみに着目
・ストーリーのみに着目
・キャラクターのみに着目
・世界観にのみ着目
(2)映像化作品の作者が、自身のテーマを盛り込んでしまうパターン
・方向性を見失った作品
・本来のテーマとアンチシナジーな改変
・本来のテーマとアンチシナジーな新キャラ
(3)大事なこと
・創作物の面白さは、テーマを核としたコンセプト、ストーリー、キャラクター、世界のハーモニーにある。