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今、警察署にいる。
殺人の容疑で取り調べを受けた後だ。
2刻は缶詰だったと思う。
疲れた。
辺りを見回し適当な椅子を見つけ乱暴に座り休む。
まぁ、容疑をかけられたことは何回もある。あったらあまり良くないのだろうが。
執拗に調べられるのはもう慣れたとはいえ、やはり疲れる。
何故と聞かれる度に、以前依頼されて調査した。内容は依頼主以外は機密。と言っても聞いて貰えなかった。全く頭が固い。
項垂れながら迎えを待つ。
そこに座っている椅子よりも大きな影が近づいた。
「お前さぁ。何回目だよ。」
頭の上から聞き慣れた声が降ってくる。
等活の声だ。
彼は鬼族という事もあり体格や声更に身長もデカい。
鬼角も生えている。二本。
顔も強面だが人気ある…らしい。知ったこっちゃないけど。
「知らないよ。何回目なんだ?」
「まぁ、お前はなんと言うか。タイミングが良すぎるのか悪すぎるのか。」
はぁ…。と、無駄に大きなため息を吐かれた。
ため息をつきたいのはこちらだ。
勘弁して欲しい。
「んで、コハルちゃんが迎えにくるのか?俺的には鈴さんの方が!!」
こいつは…。頭の中花畑か?
1度鈴にこっ酷くフラれた方がいいんじゃないかと思う。
まぁ、最近は忙し過ぎるのか顔を見てすらいない。
「鈴が来るわけないだろう。コハルが身元保証人として来る。」
等活は頭をボリボリと掻きながら、そうか。と呟く。
等活の後ろから流が顔を出す。
流も幼なじみであり、この警察署の署員だ。
淡い長い赤髪をひとつに括り、ピシッとしたシャツの上に白衣を着ている。
「葉。君は何故こうなんだ?」
こちらが知りたい。
何故、殺人の容疑をかけられたのか。
被害者とは面識はあったが、三ヶ月も前の話であり依頼事項が終わった後は会ってすらいないのだから。
部屋から君宛の手紙と指紋が見つかっているし、前日に被害者と争っている目撃情報も上がっている。
と、言われても。知らないものは知らない。
「いや、知らないから。目撃情報って本当に僕なの?」
「さぁ?捜査情報はまだ…」
流が答えようとした時、ハイヒールの音と草履の音がこちらに向かって走ってきた。
「葉!!…って、何その顔。心配して来たのに。」
うわ。厄介な人が来てしまった。
と、露骨に顔に出ていたのか鈴は声を不機嫌にした。
等活と流はこの世界でも珍しい種族の鬼です。
赤鬼、青鬼と主流があり、等活は青鬼。流は赤鬼です。
ですが、流は少し特殊で赤鬼族と樹花族のハーフ。
なので、角ではなく耳がお花(椿)となってます。(ちゃんと聞こえるよ!)