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自称?探偵と助手見習いの事件録  作者: じゃこ
202号室
5/32

1

―――――――――!!


またこの夢。

最近見る回数が増えてきた気がする。

誰かに追われて…

現実にあった事なのかわからない。

わたしには10歳より前の記憶が無い。

あるにはあるのだろうが、ショックな事が重なり、心が耐えられなくなり記憶に蓋をしたのかもしれないとの事だった。

無理矢理思い出そうとして、頭が痛くなったり突然泣き出したり、吐いた事もあった。

それぐらいショックな事があったのだと、わたしを助けてくれた葉さんや鈴さんが言っていた。

無理に思い出そうとしなくても良い。ゆっくり思い出していけばいいと。


あれから5年。

わたしは葉さんの自宅兼事務所に居候をさせてもらっている。

傷が治ったら出ていくつもりだったが、働き手が欲しいと言われ恩返しのつもりで今に至る。


名前はわたしがうわ言でコハルと言っていたので、コハルになった。名前も覚えていなかった。

どこの誰かもわからないわたしを置いてくれている事に、感謝してもしきれない。



「さて!悪い夢はお終い。準備しなきゃね。」



顔をパンパンと叩き、冷や汗を拭って布団を押し入れへとしまう。

窓を開け、着替えをしようと箪笥を開ける。



「うーん。今日はこれかなぁ♪」



この前、鈴さんに貰った夏用のワンピース。小花柄にシンプルなデザインで裾がふわっと広がる素敵なワンピース。

コハルちゃんに似合うと思って、デパートで買ってきちゃった。との事で。

ウキウキで袖を通し、姿見の前で回ってみる。

鈴さんに見せたらきっと喜んでくれるだろう。


鈴さんにもとてもお世話になっている。

今や大女優で多忙にも関わらず、1ヶ月に1回必ず会いに来てくれ、年の離れた妹が出来たみたいで嬉しい。姉さんと呼んでくれて構わないからね!などと、言ってくれる。

だけど、わたしは恐れ多くて呼べていない。世の男性ならず女性の憧れである鈴さんの妹としては相応しくないと自覚している。


気にしなくていいのに!と、言われるが、記憶がなく、しかも“角・耳なし”のわたしだ。

やはりはばかれる。

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