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自称?探偵と助手見習いの事件録  作者: じゃこ
202号室
31/32

27

目を覚ますと布団できちんと寝ていた。

あれは夢だったのかな。


ずきっ・・・


お腹のあたりが痛む。

昨日のところだ。

服をめくって見てみる。



ひっ・・・



お腹には縦に引き裂いたような線と縫われたような赤黒い横線の痣ができていた。



「うぅ・・・痛い。」



起き上がるにも痛みが走り、まともに動けそうにない。

お腹の中身を掻きまわされているような感覚もあり、吐きそう。



「誰か・・・助け・・・」



布団でうずくまる。

また、涙があふれてくる。

最近泣いてばかりだ。

辛い。痛い。苦しい。逃げたい。

もう、どうでもいい。

そんな考えをしていると階下から誰かが登ってきた。



「コハルちゃん。おは・・・どうしたの!!」



鈴さんだ。

脂汗と冷や汗をかきながら虚ろな顔をしているに違いない。

心配そうな顔をして覗き込んでいる。

背中をさすってくれているのか、気持ち悪さは少しだけ良くなった。

切れ切れになりながら説明する。



「葉!!葉!!早く!!」



葉さんを呼ぶ鈴さんの慌てぶりをみていると、かなり危険なのかな。



「うぐっ・・・ぇ・・・」



気持ち悪さが限界に達し吐く。

吐き出したものは、どす黒い何か。

人から絶対出てこないような物体。

タールのようにてらてらしていて、うごめいている。



「コハルちゃん!しっかり!」



もう、発狂してしまいそうだった。

痣の範囲も広がってきているのか、先ほどより痛む場所が大きくなった。

目がかすみ頭がぼーっとする。

ぼーっとしている頭でも階段を走って登ってくる足音が一人じゃないことはわかった。



「どうした!?」



葉さんよりも先に等活さんが入ってきた。

その後ろに流さんも。葉さんは見当たらない。

鈴さんは等活さんたちに事情を説明する。

等活さんは眉間に皺を寄せて、ちょっとごめんな。と、お腹を見る。



「まずいな。流、ちょっと。」



呼ばれた流さんは、私を見るや否や等活さんに指示を出す。



「遅かったか。コハルちゃん、今から移動する。気を失ってもいいから。」



「この状態で移動!?」



鈴さんが反論する。が、流さんは急がないとコハルちゃんは死ぬ。と言われ、渋々了承する。

等活さんに負ぶわれながら移動する。

ずっと手を鈴さんは握ってくれていた。大丈夫だからね。と。


等活さんの車に乗りどこかに行く。

葉さんもそちらに居るらしい。



「今から、流の家に行く。そこでコハルちゃんを診る。」



“カンタンニハ・・・イカセナイ・・・”



どこかで声がする。朧げな意識の中、車に揺られて幻聴を聞いた。






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