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自称?探偵と助手見習いの事件録  作者: じゃこ
202号室
30/32

26

何故事件に関わっているのか…

分からなくなってきた。

人の過去のトラウマを聞きすぎたのかもしれない。

葉さんにちゃんと伝えなきゃ。



「あの…葉さん。わたし何故この事件に関わっているのか分からなくなっていて。葉さんの容疑も晴れていますし。犯人は警察に任せておけば…捕まると…。」



本心だ。

依頼された訳ではない。

ならば、手を引く事も考えて欲しい。

葉さんは沈黙している。

返答を考えているのか、それとも別の事を。

事務所に着くまで、全く会話は無かった。

夕飯も味がしなかった。



「今日はこれで寝ます。すみません。」



返事もしてくれない。

葉さんは一体何を考えているのだろう。

不安が胸を締め付ける。だけど、どこか安心している。

布団に入るも眠れずに考えを巡らせていた。


しばらくすると、階下から変な音…何かを引きずる様な音が聞こえた。



ずる……ず……ずずっ……



音は段々近づいて来る。



また!?



ず……ずるっ……ぐちゃ…



階段を登る音が聞こえたと同時に家の空気が一気に冷たくなっていく。


この世のものでは絶対にない…


そう確信出来るのは“魔女”と同じ感覚だったから



びちゃ…ずるっ…



ぐちゅ……ひたっ…



部屋の前まで来ている。



べちゃ…べちゃ…



扉に何かが触れている。



ぐぢゅ……



扉を何かが貫通してきている。



ひぃっ!



声にならない悲鳴を上げる。



扉をどんどんとすり抜けて来ている。



部屋の奥、隅にいるが狭い部屋だ。

直ぐに捕まる。

もう何も考えられなかった。



手や体の半分が部屋の中に侵入してきている。

“魔女”と同じ様な何かが。



憎悪や憤怒がこねられて混ぜられたそれは全身が部屋へと侵入していた。



ぎ……ぐちゅ……



と、進む度床には赤黒い染みが出来ていく。



やだやだやだやだやだやだ


死にたくない死にたくない死にたくない



涙が止まらない

声が出ない

無慈悲にもどんどん近付いてくる



ずる…



それは

目の前で止まる



怖くて目をそらせない



それは口と思われる部分を開く



“………ケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラ………”



ぶち…ぐちゅ…ぐちゃ…



人の声では無い笑い声をあげながら、それは自らの腹を手で割いていく




ぐちゃ…ぐじゅ…



腹の中身を取り出すようにねじ込んでいく



“………ハラノ………ナカノ………イシ………ミンナ………シンダ………”



再び笑い声をあげ、中身を出そうとしている



“お前の腹の中は何がある”



その言葉を聞いたと同時に



ぶちっ………



お腹に激しい痛みが走り意識を失った。


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