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自称?探偵と助手見習いの事件録  作者: じゃこ
プロローグ
3/32

3

カランカラン



「ごめんくださいまし!急ぎの患者さんを診察してください!お願いします!」



扉を鈴が開け奥に向かって叫ぶ。

鈴が開けた扉を足で止め体を滑り込ませる。

背負っている少女は起きる気配はない。



「誰かいる?」



と、聞いたと同時くらいに奥から恰幅の良い初老くらいであろう男が出てきた。

白衣を着ているところを見ると医者なのであろう。



「どうなさいましたかね?」



ゆったりと落ち着いた口調に鈴はイラつきを覚えたが、少女の診察をお願いした。


こちらにと。隣の部屋の扉を開け少女を診察台に寝かせる。

状態はあまりよくはなさそうだが、先程までより呼吸は落ち着いている。


ほっとするも医者の様子がおかしい。


医者は傷を細かくみていくが、消毒とあて布をし包帯を巻いていくだけだ。


「ちょっと!傷の手当てとしても縫いもしないの!?頭の傷も包帯だけ?」



鈴が苛立ちはじめた。

無理もない。

医者の対応は深手を負っていてなおかつ意識もない患者に対しての処置ではなかった。


医者が手を止める。

ボソリと小さな声で呟いた。


「あんたら、この子を連れて今すぐ出ていってくれ。関わり合いになりたくないんだ。」



なっ!!という鈴の表情を見た葉は何か事情があるのかも知れない。と、たしなめた。

むっとした鈴は医者を睨みつけているが、医者は応急処置だけはした。と、奥に引っ込んでいった。


鈴は診察台に腰掛け少女の頭をそっと撫でる。


「ごめんね。ちゃんと治療させてあげれなくて。あれ?…葉?」



足音を立てずにそっと後をつける。1番奥の部屋に入る所を廊下から伺う。扉が締まりきり鍵がかかる音を聞き、扉の前まで近づく。

慎重に扉に耳を当て中の様子を聞く。

途切れ途切れではあるが、誰かと電話している声がした。



「……女………今……ここに…」



葉は素早く診察室に戻り、鈴に少女を連れてここを離れると伝えた。

葉の緊迫した表情から鈴は何かを察し頷く。

少女を背負う準備をし、気持ちばかりのお代を机に適当に投げ病院を後にする。


向かうは大通り。

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