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漸く落ち着いた鈴さんを客間に寝かせ、葉さんと事務所で今日の話をしていた。
まず、織乃さんの事と織乃さんのお祖母様とお母様の事、お母様の妹さんの事と、その娘さんの紬さんの事が聞けたと伝えた。
葉さんはふむふむ。うんうん。と、紙に書き出していた。
葉さんたちは刈郷の村の元住人たちに話を聞いたらしい。
刈郷の村は現在は廃村である。
村にいた人は刈郷の長男が権力を握った後すぐに殆ど引っ越していた。
刈郷家は息子二人と娘二人。
夫婦はとても仲が良く、奥様は流行病で亡くなり、旦那様は失意のどん底になり息子に後を任せ隠居。
娘のうち姉は守郷へ嫁ぎ、妹は不明。
長男が実権を握ると刈郷家はどんどん転落していった。
転落していく事に耐えられなかっ妻は離縁を突きつけた。
長男が発狂し、村や妻、屋敷の人たちを惨殺した。
「食い違いがあるな。」
「そうですね…。どちらの話が正しいのか…わからなくなりそうです。」
息子二人に娘二人は聞いた話と同じ。織乃さんの母と叔母の事だ。
両親の仲が良かった事は食い違う。暴力をふるったりしていた。と。表面上は仲が良かったとも言っていた。
惨殺事件が遭ったことは間違いないみたい。
葉さんと共に頭を捻る。
食い違いが多すぎて余計にわからなくなった。
「とりあえず今日はこの辺りにして休もうか。」
「そうですね。何だか疲れましたー…おやすみなさい。」
重たい体を引きずり自室へと戻る。
色々な話を聞くだけでも、こんなに疲れるのか…
ばふっ
布団に顔から倒れる。
…葉さんの容疑を晴らすだけでこんなに大変なのか。
ん?
今何で刈郷家について調べてるんだろう?
容疑を晴らすだけなら調べる必要は無いんじゃない?
また、いつもの悪い癖で事件を解決しようとしてる!?
勢いよく飛び起き、階下の事務所へ向かう。
扉を力に任せ開け、葉さんに向かって問い詰める。
「あの!葉さんの容疑晴らすのに、刈郷のこと調べる必要ありましたか!?」
葉は目を真ん丸にして、資料を纏めている手を止めた。
「びっくりした。扉はゆっくり開けてね。あと、容疑はもう晴れてるよ?等活に聞いてなかった?」
「………。えーーーー!!」
「今、刈郷を調査しているのはアパートで刈郷関係の人たちが不可解な死に方をした理由が知りたくて。」
事務所にも探し人の依頼が来ていたし、まだ探し人見つけてないからね。と、少し苦笑いを浮かべていた。