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自称?探偵と助手見習いの事件録  作者: じゃこ
202号室
25/32

21

刈郷はとある村でとても権力のある一家で、村の人々からも慕われており、美人な妻と娘たちを自慢に思っていた。

表面上は。

実際のところは刈郷は妻を虐げ見下し、見えないところで暴力をふるっていた。

やせ細り始めた妻を部屋に閉じ込め、村人たちには病気で伏せっていると伝えた。

毎晩のように泣き叫ぶ声と悲鳴、怒声と何かが壁にぶつかる音が響いた。

部屋に様子を見に行くことは許されず、お手伝いさんの話によれば母は身ごもっていた。

感情が溢れ、絶対に復讐してやる。と、決意した。


月日は経ち、妹が生まれた。

生まれた時に父は母に言い放った言葉は忘れない。



“この役立たずめ!男を産めないとは!お前は用済みだ!さっさと消えろ!”



と。出産直後にも関わらず言ったのだ。

母の瞳にはもう目に光は無かった。

虚ろな顔をしてわたしを側に呼んだ。



“あなたは逃げなさい。そして必ず幸せになるの。”



大粒の涙を流し、手を握る。そこには、赤い宝石があしらわれたペンダントがあった。



“このペンダントはあなたを必ず守ってくれる。母から最後の贈り物です。あなたが嫁ぎこの家を出る時には妹に渡してあげて欲しい。”



そう言い、母は側にあったハサミを手に取り深々と腹部に突き立て下に向けて引き裂いた。

無表情でその光景を見ていたと思う。

お手伝いさんたち、助産師さんたちが悲鳴をあげる中、静かに母の怒りと憎悪を引き継いでいた。


母の死は病で死んだ事になり、悲しみにくれる父の演技に辟易しながら過ごした。

その間に兄たちの縁談が決まり長兄は刈郷家に残り、次兄は婿に入った。



長兄も刈郷の男だった。



反吐が出た。

早くこんな家から出て行きたいと。

だが、まだ幼い妹を置いてなどいけなかった。

だから…自分を犠牲にした。





まだ続きます。

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