表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自称?探偵と助手見習いの事件録  作者: じゃこ
202号室
22/32

18

鈴さんは寝る時も一緒に居てくれた。

客間に用意していた布団を部屋に持ってきて隣に敷いた。



「コハルちゃんは先に寝てていいからね。」



と、声をかけてくれる。

誰かと一緒に寝るなんて…久しぶりだな。

…久しぶり?

ここに来た時からわたしは一人で寝てたはず…。

わたしは昔誰かと一緒に寝ていたんだ。

一人ぼっちじゃなかった。

少しだけ、ほんの少しだけ過去を取り戻した。



「コハルちゃん、葉とちょっとお話してくるね。長くなりそうだったら先に寝てて。」



鈴さんは階下へ降りていく。

葉さんとお話ってなんだろう。

あ、八地さんが夕方言っていた事かな。

刈郷紬と花菜、村について調べる事を話していたのを思い出した。

気になってしまい、こっそりと事務所の廊下で聞き耳をたてた。


…よく聞き取れなかった。けど、部分的にだけはわかった。



「…僕も…村……紬…調査…コハル……」



「……わかった。コハルちゃん……」



多分、葉さんはわたしを置いて一人で調査に行こうとしている?

留守は鈴さんと一緒にいろということかな。

足早に部屋に戻る。



「…コハルちゃん聞いていたわね。」



「そうだな。で、明日の事なんだけど、コハルとこの人の話を聞いてきてくれ。」



差し出された封筒を受け取り、コハルの部屋に戻る。

そっと扉を開け、中の様子を窺う。

コハルは寝ているようだった。が、バレバレだ。



「寝たフリをしてもバレバレよ?」



もそもそと布団が動き、顔を出す。



「すみません。さっき、話を少しだけ聞いていて…あの!」



鈴さんは、わたしに封筒を差し出した。



「葉からの頼まれごと。わたしとコハルちゃんで調べて欲しいって。良かったわね。助手さん!」



封筒の中身を布団に広げ見る。

写真といくつかの資料が入っていた。

まず、写真。

写真には初老の女性がうつっている。

裏に刈郷紬の同級生 村山と書かれている。

村山さんが花街で隠居生活をしている事。隠居先の住所と連絡先が書いてある紙が入っていた。



「明日、わたしと一緒に聞き込みに行きましょう。その為には早く寝なきゃね。」



と、鈴さんに言われ中身を封筒に戻し枕元に置いて目を閉じた。

鈴さんから凄く良い香りと安心感に包まれて、久しぶりの穏やかな眠りについた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ