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自称?探偵と助手見習いの事件録  作者: じゃこ
202号室
21/32

17

外に“魔女”がいる。

顔のような部分がこちらを向いて目が合った気がする。



「ひっ…」



こちらを見ている…?

目は無いのに見られている。

動けない。

金縛りにあったみたいに視線しか動かせない。

ぶわっと冷や汗が滝のように溢れる。

カチカチと歯がなり、呼吸が出来ない。

窓をすり抜けて“魔女”が来ている。

アレの手が出窓に座っている葉さんに触れる。

葉さん!危ない!

叫ぼうにも声が出ない。

震えが止まらず、涙が溢れた。




「コハルちゃん?どうした!?」



八地さんの声にハッとした。

窓には“魔女”の姿は無く、何事も無かったように日常が広がっていた。

葉さんもキョトンとした顔をしていた。



「今…そこに何か居ませんでしたか…?」



何とか声を絞り出した。

まだ落ち着かずが上手く呼吸が出来ない。



「いや。何もいなかったぜ?コハルちゃん、顔が真っ青だ。部屋に戻った方が良い。一人で行けるか?」



フルフルと首を振る。

自分で歩けそうにはなかった。

まだ、震えていた。

すると、八地さんは軽々と私を背負い部屋まで運んでくれた。

布団を出してもらい横になる。



「ありがとうございます。すみません。」




「あんまり無理はしないようにな。」



頷くと、言葉に甘え布団に潜る。

今さっきまで見ていた光景を忘れたく目を瞑った。

いつの間にか眠っていたらしく、窓の外は夕日が半分落ちていた。



「寝ちゃったの…か…」



ぼーっとした頭を振り顔を叩く。

しっかりしなきゃ。

葉さんの容疑はまだ晴れてないじゃない。

助手としての役目だけは果たさなきゃ。

起き上がろうとして、気付いた。



「ここ…何処…?」



洋間に豪華な家具や調度品がずらっと並ぶ。

ふっくらとした布団に滑らかな質感の寝間着を身につけていた。

慌てて起き上がり、扉へ向かうが辿り着くことが出来なかった。



「足…枷?」



足にはきつく足枷と鎖が繋がっていた。

扉にあと一歩という所までしか、行けないようになっている。

どう動いてもあと一歩が届かない。指先が扉に届くも爪で引っ掻くのが精一杯だ。



「ダメだ。届かない。」



一体ここは何処なのだろう。

ふと、夕陽に反射した鏡が目に止まり覗き込む。



ああ。良かった。自分の顔…



と、思ったがそこに映っていたのは半分だけ“魔女”に成り果てた娘の姿だった。

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