15
最悪な目覚めを引きずりながら朝ご飯の支度をしに階下へ。
どんよりした気分を引きずりつつ、台所に入ると先客がいた。
「コハルちゃん。邪魔してる。ってか、顔色悪いが…大丈夫か?」
八地さんだ。隣に葉さんもいる。
今日は非番なのだろうか。ラフな私服だ。センスはかなり良い…と思う。
「あ、大丈夫です!夢見が悪くて…。ご心配おかけしました。」
おお。そうかそうか。と言って、頭をくしゃくしゃにする。大きな手が何だかとても暖かくて優しくてホッとした。
葉さんは何やら思い詰めた顔をしている。
「あの…八地さんはどうしてここに?」
「ああ。様子を見に来た。まだ、容疑者だからな。やってないとは思っているが規則だ。仕方ない。」
確かにそうだ。まだ、容疑は晴れてないし、疑問も多い。目撃情報は一体誰が?それと、葉宛の手紙の謎。
「そういえば、お前宛の手紙の内容少しおかしくないか?狼がどうとか、娘がどうとか。」
「僕にもさっぱりだよ。」
と、首を振る。
八地はお前も解らないのかー。困ったな。と、頭をぼりぼりかく。
狼?娘?
「あの…全く関係ないかもしれないんですが…夢でその単語聞きました。」
八地がキョトンとした顔で見ている。葉はへぇ。と言いながら出窓に腰掛けた。
話終わると、葉さんはなるほどねぇ。と言い、麦茶を飲み干した。
八地さんはガタガタと震えて少し涙目だ。怖い話は苦手らしい。
「コハル。その昔話みたいな夢に映像はあったかい?例えば、地名や村の名前、地主の名前とか。」
「いいえ。そうゆうのは特に…あ、でも特徴的な物はありました。小さな赤い宝石がついたペンダントが。」
ガタガタ震えていた八地が突然立ち上がり、両肩をがっしりと掴み質問する。
「コハルちゃん!確かにペンダントを夢で見たんだね?間違いないね?」
「は、はい。凄く特徴的なペンダントだったのではっきり覚えてます。」
と、近くにあった紙にペンダントを書いてみせる。
八地は深くため息をつき、続ける。
「地主の名前わかったぞ。刈郷だ。そのペンダント、行方不明の孫の娘が着けていたそうだ。行方不明になる当日。学校帰りに母親から譲り受けたと友人に見せていたと証言もある。ただ、今回の被害者の娘が手に持った状態で死んでいたんだよ。宝石は割れていたんだがな…行方不明の子のペンダントをどうしてだろうな。」
わたしは思いついたことを紙に書いてみることにした。