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自称?探偵と助手見習いの事件録  作者: じゃこ
202号室
18/32

14

その日の夜。

不思議で怖い夢を見た。



むかしむかしある村にとても美しく聡明な少女が住んでいました。

彼女には二人の兄と姉がおり、父親は地主で不自由のない裕福な生活をしておりました。

兄たちは働き者で村からの信頼も厚く頼られる存在です。

姉も美人で博識であり、父親の自慢の娘でした。

ある時、姉に縁談が舞い込みます。

父親は最初は反対していたのですが、自分の地位が高くなる事を知り強引に姉を嫁がせました。

妹は姉が嫁いで行く日、泣きながら行かないでと縋りました。

すると、姉は袖から何かを取り出し首へとかけてくれました。


「いいかい。××。悪い狼に食べられそうになった時はこの御守りを握るんだよ。これは、亡くなったお母さんがわたしへ渡してくれた御守りなの。これを私やお母さんと思って、肌身離ささず持ち歩きなさい。約束よ。」



と、小さな赤い宝石があしらわれたペンダントをくれました。

それから毎日ペンダントをつけ、母と姉を想い過ごしていました。





数年が経ち、娘は姉よりも美しく育ちました。

兄たちも自立し家庭を持ち、幸せに暮らしています。

長男は跡継ぎとして、父親に厳しく指導されていました。



そんなある日。

娘に縁談の話が次々と来ました。

ですが、全て父親が断ってしまいました。

美しく育った娘を手放したく無かったからです。

姉は地位の為に手放しましたが、姉よりも美しく自慢の末娘は誰にも渡すことはしませんでした。

そして、娘は次第に外に出ることすらも許されなくなりました。



「村の男どもが襲ったりしてきたら大変だ。お前は部屋に居なさい。いいね。」



と、言われ部屋に鍵をかけられ出ることさえも禁止されたのです。

お手伝いさんも入ることを許されず、父親が食事の世話などするように。

そんな日々が数ヶ月も続き娘の心は少しずつ壊れていきました。

姉から貰ったペンダントを握りしめている時が唯一の安心できる時間と救いでした。


そして、事件は起きたのです。

とても寒く雪がしんしんと降る夜の出来事でした。


深い眠りについていた娘の部屋に突然狼が襲いかかってきたのです!

娘は抵抗しましたが叶わず絶望し狼に食べられてしまいました。

姉から貰ったペンダントを血が出るほど強く握りしめ、嫌悪と憎悪、殺意を膨らませていきました。

狼が娘を食べ終わると部屋を後にします。

娘は自分の身体を掻きむしり、引っ掻き傷つけた。そして、世界に絶望し全てを憎む魔女へと変わっていました。



世界に絶望し憎む魔女が昨日の昼間見たアレに似ていて…

目覚めは最悪だった…




童話みたいな昔話みたいな

そんな夢。

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