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お泊まりと思い出と

お久しぶりです

続きです。


よろしくお願いします。

家の外で

父親と

和奏さんに連絡を終えた俺は

リビングに戻って来たのだけれど

そこでは女子三人組な深刻な顔で

相談をしていた。


なんとなく入り込みにくい雰囲気だったので

声はかけないで

お茶を準備するためキッチンへ行く。


父親との二人暮らしが長いので

多少、料理も出来るし

お茶くらいは手慣れたものだ。


勝手知ったる奏の家のキッチンには

色々な種類のお茶と乾燥ハーブがある。


今回は

その中でも

カモミールベースのハーブティーを入れる事にした。


香りが引き立ち

かつ、飲む直前まで

逃さない様に慎重に

五人分入れ

蜂蜜の瓶もトレーに乗せて

三人の所に持っていった。


「あ、ごめん、話に夢中になっていた

 ありがとう、お茶入れてくれたんだ」



「三人で深刻そうな顔をして話をしていたけど

 奏のことか?」


「うん、……そう」


「なんか、言いずらそうだな

 問題あるなら話さなくてもいいよ

 ま、茶でも飲んで」


四人でお茶を飲むと

部屋中に香りが広がり

皆、少し落ち着いて来た様だ。



「うん、いや、あのね

 今晩からどうしようか話し合っていたんだけど……」


「うん? 」


「奏、さっき寝入っちゃったから

 話できなくてね

 後、瑞樹ちゃんと萌香ちゃんたちはお泊まり駄目だって。

 私は事情を説明したら

 お泊まりは大丈夫だったんだけど……」


「だけど?」



「うん、医療関係に勤めているおばさんがね

 大学病院に知り合いがいて

 状況を話したら、異常があるなら

 早めに精密検査を受けたほうがいいかもって言われて」

 

「うーん、病院に行くのは

 和奏さんが帰ってきてからでもいいんじゃないか?

 俺らで慌てて動いても仕方ないだろ」


「でも……」


「不安になるのはわかるけど、

 奏の今の症状は

 女の子のアレが来たってだけで

 異常はないんだろう? 」


「うん、それは大丈夫そう」


「その、何だ、お股もしっかり女の子だったんだろ?」


言ってしまってから慌てて気がつく

これ、結構、恥ずかしい。

女子を前に話す事じゃなかった。


三人とも

特に千堂さんの顔が真っ赤だ。



「……うん、異常はなかったよ」


「じゃあ、今晩は

 俺と千堂さんとで奏を見て

 もし、異常が起きたら救急車呼ぶってことにしよう」


「そうだね、わかった」


その後、

俺は夕飯の準備をして

三人は代わる代わる

奏の様子を見に行ったりしたけれど


起きる様子はなく

夕飯を食べた後は

佐々木さんと佐藤さんは帰って行き

千堂さんと俺が残される。


「怒涛の一日、いや数時間だったな」


なんとなく

呟く様にそんな感想が

口から漏れた。


「そうね〜、まさかこんなことになるとは

 思わなかったわ」


「まだ少し混乱しているんだよなあ

 奏が女の子になったって実感薄くて」


「まー、そう、ね

 でも、私、しっかり見ちゃったんだよね……」


「う……、そう、だったな」


「……」


「……」


気まずい雰囲気が流れる。



何か

何か別の

話題は無いか?



「……そういえば、こうして三人でお泊まりするのも

 久しぶりだよね」


千堂さんが先に流れを変えてくれた。

た、助かった。


「あ、ああ、そうだな、小学生の

 低学年以来だな〜」


「あの頃はさ、三人でお風呂入ったりもしたね」


「……あ、ああ、こ、子供だったしな」


「三人でお湯掛け合って大暴れして

 すごく怒られたっけ」


「あれは千堂さんが原因だぞ」


「えー、そうだっけ? 」


「俺が奏とふざけて

 洗いっこしていたら『自分も』って

 千堂さんが乱入して来て」


「えー、そうだっけ? 」


「そう、だ、よ〜」


「奏の目に石鹸入って大泣きして」


「あー、そうそう、思い出した

 奏、あの頃から女の子っぽかったよね」


「うん、なんか、千堂さんの妹っぽかったよなあ」


「出かける時はいつも

 私と青藍の後ろについて来て

 たんだけどね」


「変わったのって透さんのことがあってからだよなあ」


「奏、お父さんのことほんと好きだったもんね」


「……だな」


「なんか、あれから感情を押し殺して

 表情も貼り付けたみたいになって」


「うん、そうだったな

 クラスの皆で出来る限り

 『普通に』接しようって話したよな」


「一年くらいは本当に心から笑っていなかったよね」


「だ、なあ、いつの間にかちゃんと笑えていたっけ」


「そうね、ね、青藍、どうしてそうなったか心当たりとかない? 」


「あー、それ、多分、和奏さんの仕事復帰のあたりだな。

 長男の自分が支えなきゃって言ってた気がする」


「そう、なんだ……

 その後、奏って急に頼もしくなって安心したけど

 逆に少し、遠くに感じる様になって

 私もあんまり来れなくなっちゃっていたんだよね」


「そう、だったか? 」


「うん、遊びに行ったり来たりはしたけれど

 お泊まりとかしなくなったしね

 まあ、私の方も佐々木さんとか佐藤さんと仲良くなっていたし

 小学生の高学年になると

 友達関係は男子と女子で別れちゃったりするから

 しかたないんだけどね」


「そうか、それにしては学校では

 奏にいちいち構っていたいた気がするけれど」


「うん、それね、仲良くなりたいって気持ちの反動というか

 不安というか

 そういうのの裏返しでね

 こっちから無理して行かないと

 奏、どっかに行っちゃいうそうだったから」


「あー、うん、なんかな」


「雰囲気がね、深窓の令嬢っぽい?

 病気で若くして……とか」


「おい! それはちょっと今の状況じゃ

 冗談じゃ済まないだろ」


「ご、ごめん、でも、ね

 なんとなくその理由もわかった様な気がして」


「はあ? 」



「これ、私の勘だけど、

 奏は本当は女の子になるのが運命だった様な気がする」


「はあ、なんで? 」


「うん、うまく言えないけれど

 この間までの奏って、強い光の中にいて

 影が薄いというか

 ちゃんと人間していなかったっていうか

 性別不詳っていうかそんな感じだったの」


「ああ、まあ、言われてみればなんかフワフワしていたな」


「でもね、今日の、生々しい奏を見て

 ああ、ちゃんと人間の女の子なんだなって」


「そうか? 俺は、奏は奏で、あまり変わりはない気がするんだけどなあ」


「青藍はほぼ二十四時間奏を見ているから、違いがわからないのよ」


「そうか? 」


「そうよ!もー、この熊は、

 そういうとこ鈍いんだから」


「熊言うな」


俺も千堂さんも二人きりで

深く話すって言うのは

久しぶりで

最初は緊張していたけれど

小学校からこれまでの思い出話を

語り合っているうちに

あの頃に戻れた様な

そんな気がした。


結局、奏はこの夜

起きてくる事はなく

奏の部屋には千堂さんが

一階のリビングには

俺が寝ることになった。


……


流石に三人で同じ部屋で寝るのは

遠慮しないとな。


7月7日で

投稿一周年になります。


チマチマ執筆しながら

細々投稿して来ました。


当時は

三年くらい前から考えていたこのお話を

「なろう」に投稿することになるとは

思っていませんでした。

実は

この前年、命に関わる(かもしれない)事故に遭い

自分が書かなければ

物語は残らないんだと言うことを実感して

文章を書くのが苦手で

拙い内容だけれど

この場をお借りして

物語を残させていただくことにしました。


多分、今

折り返しに差し掛かって

いるあたりと思われます。

(自信ない、だって、みな勝手に動き出すから)


どこまでまとめられるか

分かりませんが

とりあえず

これからも

よろしくお願いします。





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