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変調 SIDE青藍くん

続きです

書きあがりましたので

よろしくお願いします。

十日ほど前から

親友の奏が体調を崩して休んでいる。


奏のお父さんの事もあり

この時期は休みがちになる事が多いため

今回もそのうち復帰するのだろうと

軽く考えていた。


いつもと異なる兆候は

新人戦が終わった直後からあったのにも関わらず

俺はそれを見逃していたのだ。



一人でいるときに

ぼーっとしている時間が長くなり

男子生徒達が話している『第二次性徴』の実体験の話が出ると

ぎこちなく笑顔で無理に接していたり

見えないところでイライラしていたりと

明らかに様子がおかしかったのだが

新人戦やテストで

『疲れているのだろうな』程度に考えてしまい

気にとめることはなかったのだ。



微熱が出て

病院へ行ったと言う時も

ただの風邪という話を聞いてからは

俺もクラスメイトの皆も

『一週間もすればまた学校に出てくる』

と話していた位なのだ。


だが、今朝

奏の顔を見てからは

ずっと心がざわざわする感じがしているのだ。


うまく言葉で言い表せないのだが

根本的に病気とは違う

何かが起きているではと言う不安とでも言うのだろうか。


そのため今朝に限っては


「俺も休んで一日中側にいてやろうか? 」


と、とんでもない

言葉が出てしまったのだが

奏は


「大丈夫、少し風邪が長引いているだけだから

 熱も高くないし」


と笑っていたけれど

その時の彼の

何かとても大きな不安を隠している様は

大丈夫とは程遠く

深く俺の心の中に残ってしまった。


もうすぐお昼休みも終わりの頃

教室でぼーっとしながら

そんな奏のことを考えていると


「スキあり、えいっ! 」


と音楽部仲良し女子三人組のうちの一人

千堂さんが俺の頭にチョップを入れてきた。


「痛いな」


本当は痛くないのだが

一応抗議をしてみる。


「硬った〜、相変わらず攻撃した方がダメージうけるわね、

 どしたの? 晩御飯でも狩りに行く熊の様な顔をして」


俺の言葉はスルーでした千堂さんは

そんな失礼なことを言ってくる。

心の中でため息をついてから

今朝のことを話す。


「奥さん病気なんだよね、旦那さん朝晩毎日通っているんだっけ? 

 で、病状そんなに悪いの?」


『奥さんってお前なあ』という言葉は

言うだけ無駄なので話を進める。


「あ、いや、

 微熱と腹痛だから薬は飲んでいるんだそうだが

 あまり効いていないらしいんだよ

 顔色も良く無くてなあ」


「そうなんだ。クラスのみんなも休みが少し長いなあって話してたよ

 早く元気になるといいよね」


「だな」


「そうだ、今日は私も奏くんの家に行くよ。

 奏くんのお母さんが帰ってくるの一週間先だし

 ゴミや洗濯物も片付けなきゃならないだろうし

 帰りに二人で必要のものを買って行こうよ」


「あー、うん、すまん、正直助かる」


同級生の皆は、風邪が感染して広まらない様に気を使い

俺だけ見舞いに行っていたけれど

正直、何が必要なのか良くわからないから

食事なんかはここのところ同じ様なものばかりになっている。

この申し出はすごく助かる。


結局、俺と千堂さんは部活を休んで

奏の見舞いに行くことにしたのだが

この判断に救われることになるとは、この時は思いもしなかった。


物語が徐々に動き出します。


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