入部の話2(side 奏君)
お久しぶりです。
驚愕のデータ全ロス後、
私生活でも体調を崩して
長期のお休みをいただいておりました。
現在も療養中ですが
体調が戻って来たので
再開したいと思います。
間が空いてしまい
大変申し訳ありません。
よろしくおねがいします。
「えっと……」
「私、二年で剣道部の高田 明日菜、こっちが同じく二年で剣道部の小森 瞳。
女子の新入部員はいつでも大歓迎だよっ」
目の前には学校指定のジャージではない女子生徒二人がキラキラした目で立っている。
一人は背が少し低いけど、胸が主張してる、活発そうなショートボブの女の子。
もう一人は、胸は控えめ、髪が短めで、背が170センチメートル近くあり、
とても目鼻立ちが整っているイケメンな女の子だった。
高田先輩が、僕に
「剣道部の練習を見学していたから、入部希望だと思ったのだけれど
違うの?」
と少し残念そうに首を傾げていて
その様子がハムスターに似ている。
えっと、何から話でば良いかな?
「僕、親友の入部にくっついてきただけで、入部とかはまだ……」
「じゃあ、見学だけでも、で、帰るときにこれに名前だけで良いから書いて行ってね」
「いや、それ入部届じゃないですか」
「うん、お願い、助けて」
「しかも、女子の欄にしっかり丸が付いていますけど、僕、一応男子ですよ? 」
「ほへ? 嘘」
「いや、だから男子ですよ」
「うっそだあ〜、こんなに可愛いのに?肌綺麗なのに? 」
と高田さんは僕の体をペタペタ触りだした。
これ、セクハラ?
「ちょ、待って、どこ触っているんですか? 」
下半身に手がかかりそうになったので
慌てて体をよじると小森先輩が後ろからがっしりと僕を捕獲して呟いた。
「高田氏、続きは部室で」
いつの間に後ろに、気配を感じなかった。
忍者か?
「了解、すぐに連行せよ」
「御意 」
僕の「ちょっと待って」の声は
目が座っている二人の先輩には届かず
そのまま『柔剣道部 女子』と書かれた部屋に
連れていかれるのだった。
部室はロッカーが並んでいて
その奥にはなぜか応接セットと冷蔵庫?
テーブルの上にはお菓子とお茶がおいてあって
部屋の奥にはシャワー室への扉もある様だ。
ただロッカーが並んで着替えるだけの部屋を
想像していたのだけれど、イメージとだいぶ違って
面食らってしまった。
えっと怒涛の勢いで連れてこられたけれど
まず挨拶しなきゃ
「僕、1年の星奏です。今日は親友の入部の付き添いで来ました。
あと、一応オスです」
「えっと、なんかごめんね、改めて、私二年の高田明日菜、剣道部の副主将です」
ハムスター先輩が申し訳なさそうに言うと
「小森瞳、二年、部員です」
と、忍者先輩も頭を下げて来た。
「で、星奏くん、呼び名、奏くんでいいよね、
なんで神社の巫女さんやっているの? 」
「ええっ、入部の話じゃないんですか? 」
「そっちは置いといて、確か、小学校の卒業式の謝恩会? とか、あの神社の
ポスターとか、ネットですごい話題になっていんだよ」
へ、へえ〜、そうなの?知らなかった。
若干遠い目になる。
「『どこの美少女だ! 』とか、『うちの劇団に』とかあったらしいけど知らな
いの? 」
「ええ〜、知らないです。ネットとかあまり興味なくて、と言うか、
神社のポスターの巫女さんが、なんで僕だってわかったんですか? 」
「? 見ればわかるよ」
高田先輩が首を傾げている。
「いや、高田氏のは特殊能力」
「普通、見ればわかるじゃん、目の間隔とか、目と花の位置とか
メイクしたり眉毛とかいじっても、そう言うのは変えられないんだし。」
「だから普通はわからない」
「そうかなあ? 」
僕も小森先輩に激しく同意だ。
巫女さんの格好をしていた時は
カツラも被り、メイクもしていたので
自分の顔を見ても『誰? 』って感じだったのだ。
本人が本人じゃないと認識しているのに
他の人に見破られるのは釈然としない。
「で、何で巫女さん? 」
小森先輩がグイグイ来る。
仕方ないので
一連の事情を正直に話すと
二人ともなぜかとてもスッキリした
良い顔をしていた。
説明で喉が渇いたのでお茶を飲んでいると
小森先輩が
「質問良い? 」
と手を挙げた。
「はい、どうぞ? 」
「奏氏は剣道の経験者じゃろ? 」
まさか見抜かれると思わず、少し驚いた。
「え、なんでわかるんですか? 」
「足の動き? 」
「瞳のだって特殊能力だよ、相手の力量とかすぐわかるんだよね
私から言わせると、それでなんで副部長やらないのって感じなんだけど?」
「めんどくさいから」
確かに僕はお父さんが亡くなるまで剣道をしていたけれど
かなりの間やっていないんだよなあ
この特殊能力を持つ先輩二人は
本当にすごいなと思いながら
「僕が剣道していたのは小学校三年生までですよ」
どうせ嘘を言っても仕方がないので
正直に言った。
「「よし、女子剣道部、経験者ゲット」」
「いや、まだ入るって言っていませんし、僕、オスだし」
「剣道部、部員少ない、今年、一年生が入部しないと終了」
小森先輩がうなだれる姿が哀愁を誘う。
「お願い、女子でも、男子でも、あと二人入ってくれれば続けられるから」
と、言うことは
僕と青藍が入れば剣道部は存続できるってことだろう
青藍は妖刀先輩が引っ張っていて協議中だけど
おそらく剣道部は入部決定だろうから
あとは僕だけ入れば
部は存続できると言うことか……
目の前にいる先輩二人は
とても真剣な目で僕を見ている。
これは
僕も正直に答えなきゃ駄目なんだろう
今の状況と、僕の希望を伝えて
それでも良いならと考え
言葉を絞り出す。
「僕、家庭の事情で部活の参加は免除されていて
一応、音楽部は助っ人で参加することに決めていました。
でも、剣道も昔やっていたので本当はやりたい気持ちはあるんです。
もし、時間が許す時で、先生許可も出るのであれば両方できたら嬉しいかな
……と」
「「うーん」」
二人とも頭を抱えてしまった。
「音楽部って、週何日くらい出られそう? 」
高田先輩が聞いてきた。
「親の仕事の状況にもよるけれど、週に四日、水曜日と土日は駄目かな?
平日は、お迎えがあるから午後5時までなら大丈夫です」
途端に先輩二人の表情が明るくなる。
「この学校の部活って、先生の働き方改革? ってやつで
部活は5時までに終了しなければならないから、
帰りの時間は大丈夫そうだね、あとは、音楽部とのローテーションだね」
「それは先生に要相談、じゃ、早速行く」
と、
僕は再び小森先輩に拘束され職員室へ連れていかれるのだった。
……でも先輩
職員室に連れて行くのに
お姫様抱っこは勘弁してください。
職員室では丁度
柔道部と剣道部の顧問の先生が
青藍の話を終えた所だったので
そこに音楽部の先生も参加し、僕の入部相談が始まってしまった。
掛け持ち入部については、生徒の自主性と長所を伸ばすと言う校風のため
特に問題ないとの事だったけれど、問題になったのは
何曜日にどの部に行けば良いのかと言うことだったので、
そこは剣道部と音楽部の顧問の先生に任せることになり
連決まったら連絡してくれることになった。
結局、僕は再び
小森先輩にお姫様抱っこで部室に戻ってきたのだった。
来たのだったが……
妖刀先輩はわかるけど
青藍と三浦くん、
一年女子数名がついて来た。
え、妖刀先輩、入って良いの?
三浦くんも一年女子数名も入部希望者?
剣道部も女子の部室の方が広いから
話しをしやすいと言うことで
お茶でも飲みながら自己紹介することになったけれど
高田先輩が嬉しさのあまり変なテンションになっている。
小森先輩、その踊り何?
結局、自己紹介後は、
入部希望者がたくさん来てお祭り騒ぎになった
剣道部女子の部室で
部活動のお話一割、恋話三割、悩み相談と雑談六割で終わってしまった。
雑談中に
三浦くんが、入部特典が欲しいって言い出し
一年女子が
なぜか小森先輩のお姫様抱っこを希望して
その特典を受けた
何名か鼻血を出してしまって大変だった。
ちなみに
青藍と三浦くんは、入部特典に
『僕をお姫様抱っこする』って言ったけど
即、妖刀先輩に阻止されそれは叶わず泣いていた。
ひとまず
入学と入部のお話も落ち着いて
僕の中学校生活はスタートしたのだった。
本日はこの後
もう一本掲載の予定です。
現在、推敲中です。




