Side新入生目線 引っ越してきた 三浦知之君
遅くなりました。
お久しぶりです。
部活の話でしたが閑話、入ります。
「まあまあだな。」
体育館に集まった入学式前の
新入生の顔ぶれを見て余裕のふりして
少し上から目線で眺めてみる。
父親が勤務地である県庁所在地の市ではなく、
隣町に念願のマイホームを購入し、
学区が変わった事により
卒業した市内の中学校ではなく
より田舎町の中学校に通う事になってしまったのだが
女の子は可愛いし、男子も自分より美形な奴はいない模様だ。
これならこの学校でもクラス委員長として、
上級生になれば生徒会長として、トップとして君臨できる。
なんにしろこの学校、女の子のレベルが高く可愛い子が多い。
大事なことなので何度でも言う!!
可愛い子が多い。
田舎の学校だと思って舐めていたがこれは本当に、
大変幸運なことだ。
特にあの熊のような大きな生徒と一緒にいる女の子達が、かなりレベルが高い。
胸の大きい子は生意気そうだがお姉さん気質っぽい感じだ、
メガネの子は知的で踏まれたいタイプだ。
少し癖毛のぼーっとした女の子もなかなか良い。
そして、一緒にいるショートカットのちっちゃい女の子、
彼女だけなんだか特別だ。
無茶苦茶可愛い。
何度でも言おう、
無茶苦茶可愛い!!
ひと目でほかの子と雰囲気が違う。
なぜかスカートではなく男子と同じズボンを履いているが、それがまた
彼女のボーイッシュな活発さを表しているのがもうたまらない。
絶対お友達に・・・いやそれ以上になってやる。
と、拳を握り締めていたら鼻血が出ていたみたいで
その子が「大丈夫ですか?はい」と言ってハンカチを渡してくれた。
ふわああああああ、声も可愛いぞ、
『鈴を転がすような』っていう表現が似合う、
でも、高すぎず、落ち着く不思議な声だ。
よし!これは神が与えたもうたチャンスだ!!
「ああ、すまない、ちょっと緊張してしまって」
と、落ち着くため、少し目にかかった前髪を手で払いながら、
少し低めの声で礼を言ってハンカチを受け取った。
「!!」
手、てぇ?、急接近されて焦った。
彼女の手が僕の額にいきなり触れ、僕の顔をのぞき込んでくる。
平常心平常心・・・・・・
「もしかして少し熱あります?入学式出られそうですか?保健室行きます?」
彼女にそう言われるが
いきなりの事で思考が停止してしまった。
そして、顔が近い。
彼女の心配そうな表情がしっかり細部までわかる。
黒く深い色の髪と白い肌、長いまつげ。その奥には少し潤んだ黒い瞳。
何だこれは?
天使か?
女神か?
なんかいい匂いがするし・・・・
思考が別の世界に行きそうになるところ、なんとかこらえた。
「だ、大丈夫。入学式で緊張したんだよ。心配してくれてありがとう。」
「あ、もしかして隣の市からの入学ですか?知らない人多いですもんね」
「あー・・・うん、ちょっと僕人見知りで・・・」
思わず素で答えてしまった。僕のイメージが・・・・
「うん、大丈夫ですよ。小さい学校だし、皆いい奴ばかりですから。
あ、僕、星奏って言います。あっちのおっきいのと女の子三人は友達で、
彼ら共々、同じ隣の小学校からの入学です。よろしくお願いします。」
もの凄く良い笑顔で挨拶されまた意識がどっかにイキそうになるのをぐっと堪える。
「えっと、僕は市立天正寺小卒、三浦知之って言います。
親の都合でこっちの学校に入学することになりました。よろしくお願いします」
なんとか笑顔で挨拶することができた。
ハンカチで鼻を押さえているから少しかっこ悪いけど・・・・
あ、手離すんだ・・・・・
もう少し当てていて欲しかった。
彼女の手は冷たくてなんだか安心出来る。
と、そこに熊と他三名の女子が来て挨拶をしてくれた。
「「「千、佐、佐!」」」女の子三人の声が見事に被った。
物凄く気が合うね、キミ達。
コントかな?
声が被った三人が顔を見合わせたあと頷いている。
「佐、千、佐!!」
うん、コントだな。
必死に笑いをこらえていると
奏ちゃんが紹介してくれた。
「この大きいのが宮内青藍、大きいけど新入生、
この女子三人は右から千堂葵さん、佐々木瑞樹さん、
佐藤萌香さん。みんな、同じ小学校卒業で同級生です。」
「宮内です、皆には熊とかグリズリーとか竜神様とか呼ばれている。
好きなので呼んで良い」
と熊・・・
いや、宮内君が体に似合わない小さな声で挨拶をしてくれた。
なんだかちょっと纏うオーラが怖いぞ?
宮内君に少し怯んでいると
「やほー千堂だよ。」
「佐々木、よろしく」
「佐藤です。よろしくです。」
と女子三人組も軽い感じで続く。
ああ、何かこのノリいいなあ。
前の学校はこんなに気楽じゃなかった気がする。
だから、つい
「えっと、千堂さんたちはお笑いコンビ目指している?」
と、つい口から漏れると
「「「ええっ?音楽部だよ」」」
と三人から
息もぴったりに突っ込まれてしまった。
やっぱり仲良しだな。
それを見て笑う奏ちゃん・・・・天使だ。
なんだか気合を入れて、
上から目線で考えていた自分がバカみたいに思えてきた。
おかげで緊張も解け、肩の力も抜けたみたいだ。
・・・なぜか鼻血は流れ続けているけど。
奏ちゃんには感謝だ、
そして、勉強一筋で
彼女いない歴十ウン年の僕に目標ができた。
ぜひ奏君に彼女になってもらえるよう
中学校生活頑張ろうと密かに決意するのであった。
投稿ペースが上がらない。
次も投稿できるといいな。




