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SIDE おまけ 五年生女子

やっと書きあがりました。


短めです。

今日は春休みのクラブ練習で

校庭で走り込みをしていたら

音楽室からピアノの音が聞こえて来た。


発声練習の後、

音階を一音、一音、確かめるような歌声が続く。


その後、録音したものに合わせて

なぞるように、いや、その上を行く、お手本より上手な歌声。


それを聞き、校舎や校庭にいる生徒は全員の動きが止まる。


皆でこっそり音楽室を覗きに行くと

そこには天使・・・・じゃなかった

一学年上の先輩、奏君がいた。


滅多に聞けない幻の天使の歌声。


昨年の合唱コンクールでの逸話は

この学校のみんなが知っている。


音楽の時間に録画したものを見せてもらい感動してしまった。


その奏君が生で、一人で練習している。


これは物凄く期待してもいいのでは?

と、ドキドキしながら様子を伺っていると

始め、一歩一歩慎重にピアノの音を辿っていた歌声は

一通り確かめ終わった所で、

立ち上がるように

徐々に、奏君の透明な、それでいていろいろな形の世界を持ち、広がる。


周囲に染み込むように広がる世界

その音が染み渡ったと思われた時、

透明な声は、色々な色彩を帯びてさざ波のように広がる。


脳の奥まで響き渡る、その気持ち良い奏君の声の世界に

「ふわああああ・・・・」と思わず声が出そうになり

隣の子に左手で口を塞がれた。


そして私の口をふさいだ子は自分の口も声がでないように

懸命に右手で塞いでいた。


どのくらい経ったのか?

ピアノではなく、彼の独唱が始まった辺りからの記憶が曖昧で

ただ、心が

彼の気持ちいい声の海に漂い浮かんでいて

歌が終わり、声が途切れ、目から液体が漏れ出しているのに気がつき

現実の世界に引き戻された。


少しだけ余韻の残る中、もう少し聞いていたかった、残念と思っていた所を

同級生に早く離れなきゃと手を引かれた。


悪いことはしていないはずだけど

無断で覗いていたため、

奏君と顔を合わせるのはちょっと気まずい。


こっちを向いて立ち上がりかけた奏君を見て

皆、急いで音楽室から逃げ出してしまった。


・・・・って、見物人多すぎっ!?


よろしくお願いします。

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