SIDE 誠1
間が空きました。
少しだけ進んだので
投稿します。
「青藍、最近異常は無いか?」
奏君の家での晩ご飯から自宅に帰った後、息子に確認する。
「特には・・・不審者の影は無い、奏は落ち着いているよ」
「そうか、もう3年だな」
そう、私の同僚だった透
奏君の父親が亡くなってから三年が過ぎた。
透は当時、ある捜査を担当していたのだが、
非番で奏君と出かけているとき、交通事故に遭い、亡くなってしまった。
未だにひき逃げ犯は捕まっていない。
実は、このひき逃げは透の捜査を妨害するため、
仕組まれたものと言うのが
捜査関係者の一致した意見である。
そして、事故が発生した際に奏君は犯人の顔を見ているため、
似顔絵も作成して指名手配も行なっている。
今後、奏君がこのひき逃げ犯から狙われる可能性が無いわけではないのだ。
慎重すぎても問題はない。
「周辺の警戒は任せろ、青藍は奏君を頼んだ」
「言われなくても」
「そうか、危なくなったらすぐ連絡しろよ」
彼には携帯電話を持たせている。
中学校に進んだら奏君にも持たせたほうが良いか・・・・和奏さんと要相談だな。
「了解、ああ、あとお願いがある」
珍しく息子からのお願だ、何だ?
「俺、もっと強くなりたいんだ、効果的な方法をやりたいんだが紹介してくれないか?」
「は、もっとか?今でも十分すぎるほどだと思うぞ」
そうなのだ、この息子、自分の鍛錬のために、
新人警察官が引くほど激しい鍛錬をしている。
小学生なのに、もう既に、大人といい相手、
いや、やり方次第では負かしてしまう実力があると思われる。
「いや、もっと強くならなきゃ、大事な人を守るために」
「・・・・そうか、ただ、成長期に鍛錬しすぎると体に問題が出るからな。
うまくトレーニングできるように聞いておくよ」
「うん、頼む」
少し残念そうにする息子、話を変えるか
「奏君の鍋、絶品だったな」
「そりゃな、あれは特別だぞー」
自分の事のように嬉しそうだ、良かった。
「青藍の嫁に欲しいな」
「いや、男の子だから」
「知ってるよ、でも、違和感ないよな」
「だよなー、男の子でなきゃ俺もう告っているよ」
「だな、でも、男の子同士でも年齢が達すれば日本でも法律上は結婚できるぞ。」
「はあ?」
「知らんのか?手続きとかいろいろあるけどな」
「そーかー・・・でも、奏、俺選ぶかな」
「まあ、今のところは仲の良い幼馴染だけどなあ、青藍ならチャンスはあるんじゃないか?」
「俺さ、変だと思うかもしれないけど、奏が声変わりしたり、
背が伸びたり、男臭くなるの想像できないんだ」
「うん、父さんもそう思うぞ。なんでだろうな」
「俺の中でそういう希望を持っているだけかもしれないけど・・・」
「ま、未来は諦めなければなんとかなるもんだ」
「おお、任せろ」
頼られることは嬉しいが
うちの息子はしっかりしすぎているなあ、と感じる。
少し寂しい、まあ、こうなったのは私の責任でもあるんだが・・・・・・
母親は
青藍が小さい頃に亡くなってしまい、
最近までほとんどの時間、祖父と祖母に育てられた。
透の事件があった後、
なんだかんだで、以前にも増して
奏君の家に出入りするようになったのだが
その頃から息子は変わってしまった。
良くいえば大人びた、悪くいえば子供らしさがなくなってしまった。
それが良いことなのか悪いことなのか・・・・・
親としては、『誰を選ぼうと青藍が幸せであれば』と願うばかりだ。
青藍くんのお父さん登場です。