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超能力少女
少女は、かつて超能力者だった。
スプーンを曲げることは朝飯前、ティッシュやリモコンといった小物を引き寄せることも出来たし、短い距離なら一瞬で移動することさえ出来た。
それでも彼女の実父母は、気味が悪いとおもわず親としての愛情を溢れんばかりに注いでくれた。元気で明るく、人前では能力を隠していたため、友達にも恵まれた。超能力をコントロール出来たことが幸いした。
人とは違っても、幸せを噛み締めながら伸び伸びと少女は育っていった。そして、彼女がちょうど八歳の誕生日を迎えた頃。
超能力者という個性が、彼女に最悪の別れを運んで来た。だがそれは、最愛との出逢いの序章でもあった。