美少女戦士マジカル☆キューティー
私、青空ナナ! 甘いものが大好きなごく普通の中学生の女の子だよ!
でも今は訳あって悪の組織「ワルーイ」から世界を守る正義の味方をやってるんだ!
「おはようナナ! 今日も晴れてるポンね!」
私に話しかけてきた足元の白い生き物の名前は「ポコポン」! 私に正義の味方になることを依頼してきた魔法の世界の住人だよ!
だけどさっきも言ったけど私はごく普通の女子中学生。今まで人を殺したことなんて2回しかないし、世界を救うなんて出来っこないよ! って言ったらポコポンはこう言った。
「もしワルーイを撃退してくれたら10億円あげるポン!」
それならやる! クスリの運びでも人殺しでも喜んでやるやるぅ!
それで私は正義の味方「マジカル☆キューティー」の一員になることを決めたんだ!
ちなみに「マジカル☆キューティー」には私の他に四人の仲間がいるから紹介するね!
一人目は神取カンナちゃん!
マジカル☆キューティーで唯一の常識人だよ! だけど関西弁で「やねん」「やねん」うるさいから時々殺したくなるよ!
二人目は毒島 大蛇ちゃん!
かろうじて人間だよ!
人の生き血と断末魔が大好きなとっても頼りになる殺戮者だよ!
怒ったら全員コンクリート詰めにして海に沈めるよ!
ちなみに大蛇ちゃんの家には討ち取られた敵の生首が並べられているんだ!
四人目は代々 誉 ちゃん! お米の一種だよ!
五人目は田中キクコちゃん!(83)
キクコちゃんはゴブリンエビの一種のだよ!
ボケが進んでいて頻繁に徘徊するよ!
この前は学校にお弁当と間違えて核ミサイルのスイッチを持って来ていたよ! 押したよ!
そんな癒し系のキクコちゃんだけど先日人食いワームに食べられて帰らぬ人になりました。
……、でも! でもでも私の胸の中では生きてるし、保険金はがっぽり入って来たから私は前より元気だよ!
四人になっちゃったけど今日もワルーイから世界を守っちゃうんだから!
***
「ナナ! 大変や!」
授業が終わってこれから帰ってゴロゴロしようと思っていたのにカンナちゃんが関西弁で話しかけてきたよ! 調子狂うよね!
「どうしたのカンナちゃん!」
「誉がワルーイに連れ去られたんや!」
「まあ大変! 私たちマジカル☆キューティーの一員でお米の一種でもある誉ちゃんがワルーイに盗まれてしまったの!?」
ワルーイは本当に残虐非道な組織なの! 軒先の花壇の花に勝手に水をやったり、無断で鯉にエサをやったり、土手に生えているツクシをつんだり、公衆トイレのトイレットペーパーの芯を持って帰る悪い奴らなの!
ねえみんな! ワルーイが憎いよね! ムカつくよね! 殺したいよね! この世から消し去りたいって思うよね! ねえ!!!
私はイスから立ち上がった。
「もう許さない! ワルーイの奴ら今回ばかりは生きたままホルマリン漬けにして人体標本にしてやるわ!」
***
私とカンナちゃんと大蛇ちゃんはワルーイが出たという公園に急行したよ!
タクシー代がもったいないからその辺を走ってる車を無理やり止めて刃物で脅して公園に向かわせたよ!
公園にはワルーイの首領「ガンマ」がお米5kg入りの袋を持ってニヤついているわ! ちなみにガンマは無駄にイケメンだよ!
ガンマの他にも全身タイツの戦闘員たちがいるよ! 皆殺さなきゃ!
みんな、変身よ!
「「「マジカル☆キューティー、変身!」」」
みんな可愛い衣装に変身だよ!
私の武器は鎖付き鎌だよ! ブンブン振り回してガンマの首を刈ってやるわ!
大蛇ちゃんは変身してオークになったよ! 変身前とたいして変わらないけどね! あはは!
カンナちゃんだけ見た目も戦い方も普通の魔法少女になったよ! 空気乱すよね! テメェは後で制裁だ。
「ガンマ! 今すぐ誉ちゃんを離しなさい! そうすれば命だけは助けてあげるわ!」
嘘だよ! 離しても殺すよ! 何なら誉ちゃんごと血の海に沈めてあげても構わないんだけどね!
「へっ! てめぇらの言う事なんか信用できるかよ! こいつは俺たちが美味しくいただいてやるぜ!」
そういうとガンマは懐から取り出したカッターで誉ちゃんの袋を切り始めたよ!
どうするのか気になるからもう少し傍観しておくよ!
「ひっひっひっ! いただきまぁす!」
ガンマは素手でお米を食べ始めたよ!
パリパリパリパリ音を立てながら食べるよ! なんて残虐な事を!!
「止めなさい!」
私は鎖鎌をひゅんひゅん振り回しながら言うよ!
「ひっひっひ! ハトにもくれてやるぜ!」
ガンマはお米袋をひっくり返したよ! 土の上がお米で真っ白になったところにポッコロポッコロ鳩が集まってくるよ!
「いやああああ! 誉ちゃん! 誉ちゃん!」
まあ所詮は米だから良いんだけどね。
「もう許さないわ! この鎖鎌で八つ裂きにしてやるんだから!」
2人とも、あれをやるわよ!」
「ん? あれって何や?」
カンナちゃんが首をかしげて聞いてくるよ! テメェその仕草可愛いとでも思ってんのか。
「もういいわ! 大蛇ちゃん、口から超エネルギー砲を放つのよ!」
「ワカッタ」
私の指示で大蛇ちゃんはカパっと口を開くよ!
「うわっ、ヤバいぞ逃げろ!」
ガンマたちは慌てて逃げていくけどもう遅いわ!
空気をつんざく音と共に大蛇ちゃんの超エネルギー砲が放たれ、世界は炎に包まれた。
人々はわずかに残された資源を取り合って殺し合い、地球上は文字通りの地獄絵図と化した。
しかし資源は容赦なく干上がって行き、わずかに残った人類も絶滅してしていった。
それから数千年の時を経て、地球は再び豊かな緑を取り戻し、人間のいない野生動物たちの楽園が出来上がった。
こうしてマジカル☆キューティーの目指す世界平和は達成されたのであった。
おわり
嘘だよ! ポコポンの魔法で元通りになったよ!
お読みいただきありがとうございました!