その1「翌朝」
開いた目。いつも通りの景色…
「じゃあ無いぞッ!!」
俺は開けた目の先にある青く小さなものを見た。
彼の名前はマイア・クオアだ。マイア・クオアとは昨日出会ったのだ。よく知らない奴ではあるが、つまらない日常を塗り替えてくれる。
「ふむふむ…これが朝か。ワガハイ、初めてかもしれぬ。朝を見るのは」
奴が喋った。いやまて、朝を見るのが初めてだと、そう言ったのか。コイツは。
だがそんなことはどうだっていい。今日からこんなことはたくさんあるだろうから。今までの常識なんて通用しないだろう。
「おはよう。マイア・クオアは寝てないのか?」
俺が昨日の記憶を辿っても最後まで活動していたコイツと、今日起きたときに活動していたコイツを見て俺は思った。
「お目覚めか。そうだワガハイたち、魔族は基本寝ないのだ。」
「そんなことより、おい!人げ…魔王!
貴様はこれからなんと呼べばいいのだ?」
なんだぁコイツ!?普通使い魔は魔王のことは「魔王様」と呼ぶべきだろうが! おっと、これ以上は考えない。昨日の反省を活かさねばな.
「俺の名前は龍牙だ。好きに呼べばいい。」
そう答えた。
「そうか龍牙。ところで今日は何か予定があるか?」
今日は日曜日である。部活にも所属してない俺は普段することがない。もちろん今日もだが
「特に無いな」
「そうか、なら、昼から出かけないか?これからワガハイは使い魔として働くので、この辺りの地理や、人間の暮らしなどを観察したい。」
なるほどな…だがコイツと出かけて人目につかないだろうか?
「その点は大丈夫。その程度の魔法、ワガハイでなくても方法さえ分かれば、誰だってできるぞ」
また心が読まれた…。そしてなんて言った!?誰でも使える魔法があるのか!?
「その魔法、俺に教えてくれッ!!」
俺は頼んだ。
「いいだろう。龍牙よ!コレがワガハイから授ける最初の魔法だ…
と、言いたいが、まずは飯を食わせてくれ。」
これから始まりそうな出来事に俺は胸を踊らせた。