その1「入室」
それは暗雲立ち込める日、俺は一つの出会いをした。
俺の名前は黒天龍牙、高校一年生だ。
その日の朝、七色に輝く扉に導かれて迷い込んだのは
魔王達の会議室。
この運命的な出会いをこれから綴ろうと思う。
俺はいつも通り自分の部屋で宿題を片付けていた。別に簡単でもなければ難しくもない。毎日が退屈だ。そういえば喉が乾いたな、
「茶でも飲むか」
階段を降りようと立ち上がる大地が大きな唸りをあげる。
ゴゴゴゴゴ
激しい横揺れである。思わず、
「くっ…地震か!!」
と、声をあげてしまった。聞いたことがある。地震によりドアのフレームが歪み、部屋から出れなくなる危険性を。
「ドッ…ドアを開けなくては!!」
そして開けたとき、気づいてなかったのかもしれない。ドアが光っていたことに。
ギィ…と古びたドアを開けたような音とともに、異様な光景を目にした。ドアの外には日常とはあまりにもかけ離れた景色。夢でも見ているかの如くの衝撃。自分の部屋の外にはあるはずの廊下などなく、静でいて、それでいて美しい。大理石の床に敷かれた赤いコントラスト、そして丸く、おおきな机を囲む七つの椅子。机の上には5つのくぼみと2つの玉、そして浮かぶ赤く輝く玉に魅了された。
そう…これが出会い。俺は赤い玉を手にした。