後悔の原因。
10分くらいで書きました。ありえないくらい短いです。これから物語が加速する(予定)なので大目にみてください。
「と、ところでさ、リリア」
「は、はい、何でしょうか」
平行線をたどり続けた言い合いが一時休戦となり、2人ともぐったりしていた。そのために、お互い椅子やベッドに体を任せてぐでーっと天井を見上げながら話していた。
「僕たちって魔王倒さなくちゃいけないでしょ?」
椅子に背中から倒れ込んでいる僕が話を切り出す。
「はい。倒さなくちゃいけないですね。」
まだ先ほどの言い合いのせいで少し息が荒い様子のリリア。
まぁそれは僕もだけど。
「なんか流れで魔王倒すことになってるよね。」
「は、はい?」
僕が何を言っているかわからず、目を見開くリリア。
いや、実際はお互い天井しか見えてないからあくまでも想像だけど。
「もしかして、魔王は倒さないで、そのまま逃げ出してもいいんじゃないの?」
「……」
黙るリリア。
「えっ、まさか盲点だったりした?」
そう、僕たちには魔王を倒す義務などないのだ。一刻も早く魔王を倒さなければいけないほど危機が迫っていれば話は別だけど、現状はそうでないことを、リリアから聞いているので僕は知っている。
「……いえ、盲点というわけではありません。少し考えただけですが、おそらくそれは無理でしょうね。」
淡い希望を抱いていたのに、一瞬で否定された。驚いてリリアの方に体を起こす。すると、彼女の方もベッドから起き上がっていた。
「何で?」
「理由はいくつかあります。」
そう言って3本の指を立てこちらに突き出してくる。
「1つ目は、私たちの行動が、おそらく町の出入り口にいる衛兵から王へと、逐一報告されているためです。」
「えっ、そうなの?!……まぁでも、言われてみればそれもそうか。」
最初は驚いたが、すぐに納得した。
確かに、邪魔な存在が消えたかどうか、普通は確認するよね。
「2つ目の理由は、逃げ出せば、見つかった瞬間に反逆罪で処刑されてしまうであろうことが明白だからです。」
「しょ、処刑ですか。」
まるで現実味のない言葉だったが、真剣な顔のリリアを見て、彼女の母親は王に処刑されたことを思い出し、彼女が本気で言っていることがわかると同時に、気持ちが暗くなる。
「3つ目の理由は、逃げ出せる場所がないということです。」
「場所がないって、どういうこと?」
「人が生活できる場所は、すでに開拓済みという事ですよ。あとは魔物がはびこる森や湖の中だけ。とても暮らしてはいけません。」
「な、なるほど……」
最初から、完全に退路を絶たれていたことに気づき、一瞬でも逃げ出せるかも、と思ってしまった自分の浅はかさを後悔した。
「でも!」
顔を下げていた僕に、明るい声色の声を浴びせてくるリリア。
「魔王を倒すために活動していれば何もされないと考えればまだ上等じゃないですかね?」
暗い面持ちの僕に、笑顔で語りかけてくれる。
「そ、そうなのかな?いや、そうなんだよね、うん。そう思おう!!」
世界の脅威とされている魔王に喧嘩を売りに行く方が、一国の王から逃げるよりも簡単で、安全だと信じ込む。後になって考えてみれば、どう考えてもおかしな判断だった。でも、この時の僕達は、魔王の脅威というものを甘く見すぎていたのだった。
この時に逃げ出さなかったせいで、僕たちが激しく後悔することになる事を、今の僕達は知る由もなかった。
最近アクセス数が増えてきています。なぜかわかりませんが、とりあえず今後も読んでいただけるとありがたいです。あと、ブックマークしていただけると泣いて喜びます。明日はしっかりと量のあるものを書くつもりなので、読んでくださっている方はお楽しみに!!次回予告〜やっと剣技の練習に入ります。あと、魔法も使います。