掌編小説集2 (51話~100話) カップル 作者: 蹴沢缶九郎 掲載日:2016/02/02 僕には彼女がいる。イタズラ好きな彼女が言う。 「ほら、早く私を捕まえて。」 彼女はゆっくりと僕から逃げる。 「何で逃げるの? 僕の事が嫌い?」 「大好きよ。でも逃げるの。ほら、早く。」 僕は彼女を逃がすまいと急いで追いかける。 「待ってよ。」 「待たないわ。ほら、早く早く。」 あと少し、ほんのあともう少しで彼女に追いつく。そして、僕は追いつき、イタズラ好きな彼女を抱き締めた。 長針が短針と重なり、時計の鐘の音はお昼の十二時を告げた。