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掌編小説集2 (51話~100話)

カップル

作者: 蹴沢缶九郎

僕には彼女がいる。イタズラ好きな彼女が言う。


「ほら、早く私を捕まえて。」


彼女はゆっくりと僕から逃げる。


「何で逃げるの? 僕の事が嫌い?」


「大好きよ。でも逃げるの。ほら、早く。」


僕は彼女を逃がすまいと急いで追いかける。


「待ってよ。」


「待たないわ。ほら、早く早く。」


あと少し、ほんのあともう少しで彼女に追いつく。そして、僕は追いつき、イタズラ好きな彼女を抱き締めた。


長針が短針と重なり、時計の鐘の音はお昼の十二時を告げた。



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