帰還日六日め
あれから食事を囲むのがいやで、いつもその時間にフミと近くの公園でバレーをするようにした。
「大会近いから練習できんのはいーけどよー」
サーブの打ち合いをしながら、フミは言う。
「お前メシの時間じゃねぇの?」
フミ家は共働きなので、俺の家と比べて夕食が遅い。
いいんだよ、と呟いて、強めにサーブを打ち込んだ。
夜の街灯に負けて星が霞んでいる。心のもやもやを吐き出すように、白いボールを夜空に打ち上げた。
「よぉ夏月ー、待ってたぞぉ」
ひとしきり打ち合った後、家に戻ると玄関で春雪と鉢合わせてしまった。もっと遅く帰れば良かった。
能天気な笑顔に苛立つ。
「……なに」
「あっからさまに嫌うなよぉー、同い年の仲じゃんか!」
…ちく。
胸が痛い。
「あれぇ、夏月ってバレーやんの?」
片手に持ったバレーボールを見つけて、瞳が輝く春雪。
「俺もやってたんだよー!
うわ久しぶりだぁ。ちょっと嬉しいなぁ。
明日さ、一緒にやろーよ」
何故か、嫌だと言えなかった。
少し興味があったのだ。
もし……
もし、あの時の兄さんとやったら、俺は勝てるのか。
兄さんより、強くなっているのか。
「…疲れてなきゃな」
「約束だぞ!へへっ楽しみになってきたわぁー。
じゃ、また明日なぁ!」
手を振り、春雪は黒い車に乗っていった。
夜空の下の道は、暗くて先が見えない。
まるで未来みたいに。




