末路
足早に学校を後にし、近くの公園を通ると後ろからぎゅと手を捕まれた。
「!?」
振り替えると司がいた。
「司さん!」
「茜、面白いところに連れていってやる。」
司は有無を言わさず私を引っ張って行った。
司に連れて行かれた先は、夢で見た谷口の家の前だった。
「ここは…」
デジャブだと感じながらボーとしていると、中から谷口が出てきた。
「僕空大好き!」
谷口の様子はおかしかった。まるで子供に逆戻りしたように、空を見ながらはしゃいでいた。
「もういい加減にして」
すぐ後から母親が出てきて、谷口を家の中に引っ張って行った。
しかし、また谷口が外に出てきて騒ぎ、母親が何度も彼を連れ戻した。
私達が離れるまでその流れは続いた。
「あれは、幼児化だな。嫌なことがあると、希に幼児に逆戻りすることがある。」
司が笑いながら言った。
「何があったんだろうね…」
「人に嫌な事をすればその分自分にかえってくる…恨みが大きければ大きいほど。谷口は他人にそれだけ恨まれていたのだろう。」
司の目には憎しみしかないように感じた。
「恨みっていうか…事故か何かあったらしいですよ。」
私がボソッと言ったことに対して司が聞いてきた。
「茜はアイツに恨みはないのか?」
「えっ?そんな別に…う~ん…恨みまではいかないかな。」
「!?」
司は少し驚いていた。
「だって、谷口より山崎のが許せないから。谷口はまだましに見える。」
私はちょっと声を張って言った。
「なるほどそういうことか、それなら理解できる。私はキレイ事を言う人間が死ぬほど嫌いだ。茜がそっちの人間でなくてよかった。」
司は何故か安心していた。
「谷口に何があったかどうかはどうでもいい。人を見下すようなヤツの末路など私には関係ない。そうは思わないか茜?」
「私にも関係ない。アイツがどうなろうと!時間もったいないから帰ろ!」
私はそう同意したが、司にキレイ事を言って嫌われたくないという思いの方が強かった…
「なぁ茜…人は味わったことのない痛みは分からない。だから制裁が必要だとは思わないか?」
司は遠くを見つめて言った。
「そうだよね。」
私も同意し、二人で帰った。
司と別れ、一人で家に向かう道すがら私は司のことを考えていた。時おり見せる司の冷たい表情、憎しみそんなものを感じ取っていた。
きっと司も嫌な思いをしてきたのだろう…そんなことを思いながら。
一方私と別れた司は
「そろそろ仕上げに入るか…なっ、山崎」
不適な笑みを浮かべていた。




