表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/16

01:今のところ、平和


式降(しきおり)くん。今日の放課後、テラスでお茶会をするんだけど、一緒にどうかしら?」

「いおりーん! 今日のお昼こそっ、絶対に私たちと食べようね!」

「あの、式くん……五限目のグループ発表一緒にやらない?」

「ねえねえ、伊依(いより)くん! 今日の夜、談話室で勉強会やろうよ!」



 キャアキャアと女子高生オーラを遺憾なく発揮しているお嬢様方。今日も今日とて元気なその様子に、私は嬉しさと安堵を同時に感じる。彼女たちがこうしていつも通りにしてくれている間は、きっと私にとっても平穏な日常が続くのだ。そう思うと、自然と笑みが零れるものだった。



「うん。お昼は利加香ちゃん、五限は二楷堂さん、放課後は神乃宮さんで、夜は紫苑ちゃんだね。楽しみにしてるよ」



 私の机を取り囲んでいる彼女たちにそう頷くと、彼女たちは光にかざしたビー玉のようにその瞳を輝かせる。そんな女の子の喜んだ顔を見るのが大好きな私なのだけれど、ひとつ問題があるとすれば、だ。


 やりすぎた。


 頬を仄かに赤く染め、潤みを帯びた彼女たちの表情を見るたびに、そう思わずにはいられない。これは完璧に恋愛対象、またはそれに準ずる対象として認識されている。『女性の魅せる仕草100選』を全て暗記している私が言うのだ、間違いはないだろう。 

 そう内心ヒヤリとするものを感じながら、私はそそくさと席を立ち、適当な理由をつけて彼女たちから距離を置く。その際寂しそうな表情を見せられると、これまでの癖でつい口説きそうになってしまうのだが……我慢だ我慢。


 心の中でため息をつきながら教室を出て、女子生徒の視線に晒される私、式降伊依(しきおりいより)

 今も昔も死亡・恋愛フラグと戦い続ける、れっきとした17歳女子です。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ