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The Sealed Saviour ~シズカミとカイメツザのハイブリッド後継者、ただの平穏な日常を守るために全世界を相手に戦争を始める~ 【一挙掲載】

掲載日:2026/04/26

本作をお読みいただきありがとうございます。

この作品は、単なる序章プロローグではありません。


最強の力を持って生まれた赤子の**「誕生」。

それから「1000年後」の過酷な世界。

そして「息子のサーガ」から、全てを揺るがす「再覚醒リ・アウェイクニング」**まで――。


現在、10万文字を超えて連載中の本編『The Sealed Saviour』の壮大な旅路を、一つの物語として凝縮した特別版です。


一人の救世主が歩む、数千年の時を超えた孤独で激しい戦いの記録を、ぜひ最後までお楽しみください!

ビュンッ! ガキンッ!


王族の馬車に鮮血が飛び散る。

シン・ヒが陣痛の激痛に悲鳴を上げたその瞬間、暗殺者たちの奇襲が車列を襲った。


「持ちこたえろ!」

身重の妻を抱き寄せ、シン・ゼンスが咆哮する。

『ブツリシリツ』!


ドカンッ!


灼熱のシン・ノアが彼の硬化した血管を爆発的に駆け巡る。

大地を穿ち、彼は深い森の奥へと姿を消した。


凍えるような洞窟の中で、その子は産声を上げた。

いや、泣いたのではない。爆発したのだ。


ズドオォォォォンッ!!


純粋なシン・ノアの巨大な柱が洞窟の天井を消し飛ばし、夜空を貫く。

大陸中のSランク戦士たちが膝をつき、赤子が放つ重圧オーラに窒息しかけていた。


赤子のウツワが内側から引き裂かれ始め、ひび割れた肌から黄金の光が漏れ出す。

彼がゆっくりと目を開く——右目はカイメツザの血のように赤い瞳、左目はシズカミの幻影のような緑の瞳。


『タマシリツ』!

シン・ゼンスは目にも留まらぬ速さで印を結ぶ。

『フォービドゥン・シール:ブラックボックス・サイレント・プリズン』!


漆黒の渦が赤子の胸に現れ、世界を終わらせるほどの混沌の力を猛烈に喰らい尽くしていく。

シン・ゼンスは崩れ落ち、荒い息を吐いた。

「生き延びたか……だが、この子の体がこの恐るべき負荷に耐えられるのは、たった五年だけだ」


ジェネラル・カズキが到着する。

最高指導者は護衛たちを鋭く睨みつけた。

「この事を口外してみろ。貴様らの血脈を消し去るぞ」


伝説のハイブリッド・アノマリーとなった我が子を見つめ、シン・ゼンスは絶望的な決断を下す。

「真実は隠す」

彼はシン・ヒに囁いた。

「デイ・オブ・サルベーションの翌日に生まれたことにするんだ」


厳重に警備された首都へと馬車が滑り込む。

街では、古き血脈の憎悪と奇襲の噂が市民たちの間で囁かれていた。


突如、群衆が息を呑む。

遥か上空で、神聖なるコンディショナル・バリアに亀裂が走ったのだ。

「予言だ!」と学者が叫ぶ。

「救世主が世界を癒すために力を解放し、そのウツワが耐えきれずに死んだのだ!」


馬車の中で、シン・ゼンスは静かに息をする我が子を見つめていた。

「お前が死んだと思わせておけ。奴らに知られるわけにはいかない」


ドスンッ!


宮殿の門が重々しく閉ざされ、王族は息の詰まるような作られた沈黙の中に封じ込められた。


シン・ゼンスが馬車から降り立つ。その鋭すぎるオーラに、使用人たちは影へと後ずさる。

分厚い絹の布で隠された赤子を、檻のように両腕で守りながらシン・ヒが後に続いた。


カツ……カツ……カツ……。


玉座の間で、ジェネラル・カズキが跪き、飢えた「ただの野盗」がキャラバンを襲撃したと報告する。

シン・ゼンスは身動き一つせず、氷のような瞳でその都合の良い言い訳を聞いていた。

偶然見つかったのではない。追跡されていたのだと、彼は分かっていた。


ゴーン……!


朝が訪れ、デイ・オブ・サルベーションが幕を開ける。世界は「救世主の犠牲」と、シン・ノアの集団覚醒を祝福していた。


何千ものエリートたちが集結し、シズカミとカイメツザという二つのアルファ・クランが、緊張感漂う歴史的な共闘の場として立つ演壇に熱い視線を注いでいる。


パチ……パチ……パチ……。


「私の息子、タカシ・シズカミは今朝生まれた」

シン・ゼンスの刃のような声が群衆のざわめきを切り裂いた。

少年の誕生という恐るべき真の時系列を葬り去るための、絶対的な嘘だった。


世界は新たな後継者の誕生に歓り沸く。彼の服の下で脈打つ、ブラックボックス・サイレント・プリズンの存在など知る由もなく。


ピキッ。


タカシのオーラが完全に空虚であることに気づき、貴族たちの間に失望の波が広がる。

「不運な」

「呪われている」

「悪魔だ」

毒のような囁きが突き刺さる。


カズミ・カイメツザはブーツで大理石を踏み砕き、その殺気を妻のツグミが必死に抑え込んでいた。


ダンッ!


秘密裏に行われた首脳会議で、世界各国の指導者たちは人類の95%が覚醒した事実を悟る。

彼らはこの高まる力の波を統制するため、インターナショナル・オーソリティとエリート・ユニバーシティの設立へと動いた。


旧世界のテクノロジーは厳格に禁じられ、二度目の世界崩壊を防ぐため、違反者は存在の抹消という罰が下されることになった。


コン……コン……。


宮殿に再び夜が訪れるが、その静寂は取り乱した使用人によって打ち砕かれる。

正体不明のレジェンダリー・マスターが、前触れもなく門前に姿を現したのだ。


シン・ゼンスは残像すら残さぬ速度で部屋から掻き消え、訪問者が待つ影へと疾走する。


ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!


世界が震える。

最高指導者ハヤトは、レジェンダリー・マスターを厳重に封印された地下金庫へと引き入れ、あり得ない真実を明かした。

息子のタカシが破滅的な誕生を生き延びたこと、そしてその力を封じるブラックボックス・プリズンが、あとちょうど五年で砕け散ってしまうという事実を。


バチバチバチッ!!! ドカンッ!!


マスターは脆弱な赤子に『スレット・テレポーテーション……シリツ』をかける。

これは、タカシが死の淵に瀕した時、瞬時にマスターの元へ転移させる複雑な安全結界だった。


「彼の中に、レジェンダリー・ディバイン・スピリット……『ウルフ』を封印するのだ」

マスターは命じ、唯一の解決策を提示する。


彼はハヤトに、グランド・フォレスト・オブ・モンスターズに潜むXランクの獣を狩るよう指示した。その計り知れない再生能力だけが、崩壊していくタカシの肉体を継続的に癒すことができるのだ。


バサッ!!


大規模な世界会議の場で、ジェネラル・カズキは人類の爆発的な覚醒を抑え込むための世界の新秩序——シリツ・スプリーム・カウンシルと、エリートたるドミニオン・ユニバーシティの存在を発表する。

旧世界の兵器は固く禁じられた。


ビュオッ!!


自由奔放で誰からも愛されるジュン・シズカミが帰還する。

ハヤトは弟を冷酷な現実に引き戻し、古の破壊的な派閥が影から台頭していると警告した。


その重い責務を理解したジュンは立ち上がり、満場一致で新世界システムの最高位、スプリーム・チャンセラーに任命される。


五年が経過した。

人類は適応しつつあったが、『シンセイ』と呼ばれる幻影のテロ組織が出現し、暴動を煽り、ウェスト・ランドを恐怖で汚染し始めていた。


全てを支えきれなくなったハヤトは、究極かつ絶望的な任務をジェネラル・カズキに託す。彼はレジェンダリー・ウルフを狩るため、深い森へと姿を消した。


タカシは五歳になった。

静かな哀しみの仮面の下に隠れた彼は、二色の髪、色が異なる左右の瞳、そしてオーラが完全に欠如していることから、「無力の悪魔」として他の子供たちから容赦なく嘲笑されていた。


シンセイが流す戦争の噂を叩き潰すため、のけ者であるタカシと、彼の従姉妹であるアイラ・カイメツザとの間で、大規模な政略結婚が発表される。


五周年の記念祭の最中、子供たちがタカシを悪意たっぷりにいじめていた。

しかし、アイラが彼を見つける。皮肉なことに、彼女は彼のその「奇妙な」特徴にすっかり夢中になっていたのだ。彼女は純粋に輝くような好意を胸に、彼に向かって全力で駆け出した。


「ターカシィィィッ!」


シュバッ!


強烈な照れと恥ずかしさの波に飲み込まれたタカシは、クルッと背を向け、猛ダッシュで逃げ出した。


ドサッ!


アイラは芝生に転がり込む。完全に呆然としながらも、彼のシャイな逃走劇に顔を真っ赤にして歓喜し、彼女は父親に「私、本当にあの人と結婚するの?」と尋ねた。

「ああ」という返事を聞くや否や、彼女はへらへらとした笑顔を浮かべたまま、至福の表情で両親の腕の中に気絶した!


ズズズズズ……。


首都は五周年記念の祝賀に沸き立つ。

歓声に揺れる垂れ幕の下で、五歳のタカシとアイラは、シンセイの戦争の噂を消し去るための政略結婚を果たした。

純粋な喜びに打ち震えるアイラ。一方でタカシは、無力の呪いとして世界中から嘲笑される深い痛みを隠し、感情を死滅させた仮面を被り続けていた。


「耐えろ。自らを鍛え上げろ。お前の血の滲むような努力は、奴らの侮辱よりも遥かに大きく響き渡る」


静寂に包まれた中庭で、ハヤトは息子にそう諭した。


だが、閉ざされた扉の向こうで、ハヤトはエマに恐るべき真実を明かしていた。

『ブラックボックス・サイレント・プリズン』の五年というタイムリミットが尽きたのだ。それは今、この瞬間にも砕け散るかもしれない。


ジェネラル・カズキが、彼らの唯一の救済となる存在を発見したという。

『レジェンダリー・ディバイン・スピリット・ウルフ』だ。


「ダーリンッッッ!」


シリツ・アカデミーの門前。アイラの歓喜に満ちた絶叫にタカシは羞恥で死にそうになり、新しい教室へと猛ダッシュで逃げ込んだ。


得意げな顔をしたイジメっ子たちが即座に彼を取り囲む。

「空っぽ」の少年を嘲笑うかのように、指先でシン・ノアの小さな火花を散らしてみせた。


バーンッ!


アイラが教室に踏み込んでくる。

彼女の無邪気な笑顔は消え失せ、代わりにカイメツザ・クランの血のように赤い、恐るべき『ナイトメア・モード』が発動していた。


『イタズラシリツ:テラー』


ビキッ。


彼女が床を踏み鳴らすと、純粋な物理的エネルギーによって石の床に蜘蛛の巣状の亀裂が走る。

凍りつくような空気がイジメっ子たちの首を絞め上げ、麻痺を伴う幻影で彼らの精神を乗っ取った。

警告を終えると、彼女は再び甘い笑顔を取り戻し、全く動じていないタカシの隣に嬉しそうに腰を下ろした。


ギィィ……ドンッ。


傷だらけの教官が入室し、550年前の世界崩壊についての講義を始める。

彼は、スコーピオン、フェニックス、そしてウルフ(シンロウ)の精霊たちが、自らを犠牲にして巨大な『コンディショナル・バリア』を構築した歴史を語った。


タカシが静かに手を挙げる。

彼は、バリアが血液を燃料とする巨大なウツワであり、ウルフが超速の細胞再生を用いて毒素を能動的に濾過しているという事実を、鮮やかに推論してみせた。


ポキッ。


教官はチョークを折った。五歳児の恐るべき知性に、底知れぬ気味悪さを感じていた。

彼は戦闘物理学へと話題を変え、肉体は単なるウツワに過ぎないと説明する。真の力とは、三つのシリツの法則を用いてシン・ノアを兵器化することから生まれるのだ、と。


「タカシがクウシャだってことは、誰だって知ってるぜ!」

イジメっ子の一人が残酷に笑い、18歳から20歳という絶対的な成長限界セイチョウゲンを指摘した。


教室が爆笑の渦に包まれる。

その劇的な皮肉は、息が詰まるほどだった。彼らは、世界を終わらせるほどの原初の光の海をその身に宿した、予言されたZ+ランクの救世主を嘲笑っているのだから。


キーンコーンカーンコーン……。


侮辱の言葉を完全に無視し、タカシは淡々と鞄を片付けると、太陽の光が射す外へと歩き出した。

彼の過酷な道は、まだ始まったばかりだった。


ヒュンッ。


秘密裏に、ハヤト、ジェネラル・カズキ、そして五歳のタカシが首都を抜け出した。

『ブラックボックス・サイレント・プリズン』の五年という限界は、すでに迎えている。

ハヤトは、Xランクの『レジェンダリー・ディバイン・スピリット・ウルフ』を狩るため、恐るべき『グランド・フォレスト・オブ・モンスターズ』へと足を踏み入れた。愛する息子を救うため、彼はかつて血に染まった『ウォー・デーモン』の力を解放する覚悟を決めていた。


一方、首都では、エマ、ツグミ、そしてジュンの妻の胎内で、三つの新たな命が静かに育まれていた。


閃刃ッ!


薄暗く、魔物が蔓延る森の奥深くで、ハヤトは雷光の如き速度で上位ランクの獣たちを切り裂いていく。

『トラッカー・アイズ』を駆使し、彼は遥か彼方の頂に存在する、純粋なエネルギーの巨大な山を特定した。


頂上に到達する。

巨大な洞窟の前に、『レジェンダリー・ディバイン・スピリット・ウルフ』が立っていた。息も絶え絶えになるほどのXランクの威圧感を放っている。

人間を憎悪するその獣は、侵入者を追い払うために一歩前に出た。目の前の敵を見くびったまま。


『イタズラシリツ:セレニティ・モード』


ハヤトは狼のシン・ノアの律動を打ち据え、決定的な一秒間だけ、その獣の動きを完全に凍結させた。


『シール・バインディング・ソウル・トランスファー・シリツ』!


彼は激しく抗うXランクの精霊を、タカシの『ブラックボックス・サイレント・プリズン』の真上から強制的に封じ込めた。


「アアアアアッ!」


封印が融合し、タカシが絶叫を上げる。

狼の巨大な力が猛烈な勢いで吸い取られ、崩壊していく少年の肉体を継続的に再生し、安定させていく。

今や、彼らの命は縛り付けられた。狼は自身が生き残るため、この少年を生かし続けなければならない。


ハヤトは狼の途方もなく重いコア(肉体)をブラックボックスに封じ込め、新たなヨリシロとなった息子にそれを手渡した。


ドスッ!


背後から、一本の刃がハヤトの心臓を貫いた。

彼は凍りつき、血を吐き出す。背後に立っていたのはジェネラル・カズキだった。その目は狂信的な狂気に燃え滾っている。


「精霊に貴様を殺させ、お前の物語を終わらせるつもりだった!『シンセイ』が全て教えてくれたぞ……貴様が戦争を再開し、世界を征服しようとしているとな!」

テロ組織に完全に騙されたカズキが絶叫する。


最も信頼していた友の裏切りに、ハヤトは悲しげに微笑んだ。

「無垢な心では、決して国を統治することはできないんだ、カズキ……お前もすぐに理解するだろう」

彼は、震えながら泣きじゃくる息子に視線を移す。

「決して、自分の道を見失うな」


カズキが血塗られた剣を振り上げ、タカシを処刑しようとする。


だが、ハヤトは息子を抱き寄せると、そびえ立つ山頂から、轟音を立てる奈落の底へと身を投げた。


恐るべき速度で落下していく中、ハヤトの魂は薄れ始めていた。

しかし突如として、タカシの中にいるウルフがハヤトの魂を内側へと猛烈に引きずり込み、理由は不明なまま、『ウォー・デーモン』を少年の奥深くに封印したのだ。


ドザアァァァンッ!


二人は激流へと激突した。

満足したカズキはその場を立ち去る。ハヤトの肉体は遠く離れた凍てつく荒野へと流され、永遠に氷の下へと葬り去られた。


意識を失ったタカシの体は、『グランド・フォレスト・オブ・モンスターズ』のまさに中心へと漂着する。

ウルフの力が、彼を急速に治癒していく。


五歳の少年がようやく目を覚ました時、彼は変貌を遂げていた。

瞳は澄み切った青色に変わり、髪は完全に真っ白に。そして額には、白く輝く狼の刻印が浮かび上がっていた。


一度も剣を握ったことのない脆弱な王子が今、世界で最も暗く、最も死の香りがする森の中に、たった一人で立っていた。


ガサッ。


息が詰まるほどの絶対的な暗闇の中。六歳になったタカシは、激流のそばで野生の果実をかじり、生き延びていた。

父の死から、一年が経過していた。


愛する家族や、彼を熱狂的に慕っていた従姉妹のアイラから遠く離れ、彼は恐るべき『グランド・フォレスト・オブ・モンスターズ』を彷徨っている。

彼の中に封印された『レジェンダリー・ディバイン・スピリット・ウルフ』のオーラに麻痺し、獣たちは彼から逃げ惑っていた。


ウルフは冷酷な同伴者であり、彼の人としての弱さを絶えず嘲笑っていた。

タカシの記憶は薄れゆく。しかし、裏切り者カズキに対する燃え盛る復讐心だけは、彼の魂に深く刻み込まれていた。


首都では、カズキが大衆に完璧な嘘を吹き込んでいた。ハヤトは力に飢えた悪魔であり、ウルフに殺されたのだと。

謎の組織『シンセイ』がその恐怖を煽り立て、民衆はカズキをウェスト・ランドの『スプリーム・リーダー』として公式に戴冠させた。彼がシンセイの単なる操り人形に過ぎないことなど、誰も知る由もない。


その知らせに、エマの精神は崩壊した。

スプリーム・チャンセラーであるジュン・シズカミは、深い絶望に打ちひしがれた。世界戦争を引き起こすことなしに、この捏造された怒りの渦を止める術はなく、ジュンは辞任し、完全に姿を消した。これにより、世界の力の均衡は崩れ去った。

激怒するカズミ率いる強大なカイメツザ・クランは、エマを救出してイースト・ランドへと撤退し、来るべき避けられない衝突への準備を始めていた。


年月が流れ、壊れゆく世界に新たな命が誕生していく。

だが、六歳のアイラは悲しむことを拒絶した。行方不明となった夫の遺産を守るという使命に突き動かされ、彼女は『ブツリシリツ』に憑りつかれたように打ち込み、自らの肉体をSランクの力に匹敵するまで痛めつけていた。彼女は、家族の安全を完全に保証するため、新たなスプリーム・チャンセラーの座を目指していた。


シャアァァァァッ……!


森の奥深く。災厄をもたらすSSSランクの『レッド・アンド・ブラック・アナコンダ』が、タカシを喰らおうと飛びかかってきた。

少年を殺さずに戦うことができないウルフは、パニックに陥る。


バチバチバチッ!!


『スレット・テレポーテーション・シリツ』が起動した!


タカシはポータルを抜け、『レジェンダリー・マスター』の目の前へと直接落下した。


ドゴォォォンッ!


マスターの姿を見るなり、何世紀にもわたる憎悪でウルフは狂乱した。

タカシの肉体を乗っ取り、ウルフはマスターを山ごと吹き飛ばし、己の居場所をハヤトに密告した裏切り者め、と咆哮を上げた。


引き裂かれゆく少年のウツワを救うため、マスターは自らの意志を共有する相棒、『レジェンダリー・ディバイン・スピリット・ゴールデン・ライオン』を召喚する。

衝突は一瞬だった。タカシの脆い肉体は限界に達し、彼は意識を失って倒れ込んだ。


タカシが目を覚ますと、そこは平和な国境の村だった。

彼は言葉の話し方を忘れていた。マスターは彼に温かい人間の食事を与え、優しく祖父のような存在として寄り添った。


マスターがハヤトの名を口にした時、その無感情な仮面が遂に砕け散った。

一年間に及ぶ息の詰まるような恐怖が爆発し、タカシは激しく泣きじゃくった。彼を縛り付けていた重いトラウマの鎖が、少しだけ解けたのだ。


「昔話をしよう」

疲労困憊した少年の隣に座り、マスターは静かに語りかけた。

「私が初めてお前の父親と出会った時のことを……そして、彼がどうやって私の人生を変えたのかを」


ヒュウゥゥ……。


冷たい風が吠える中、レジェンダリー・マスターは六歳のタカシに恐るべき歴史を明かした。

六百年前、マスターは親友と戦った。その親友は、世界を終焉に導く『ブラック・ドラゴン』のヨリシロとなっていたのだ。その激闘により力を使い果たしたマスターは、150年間の眠りについた。


彼が目覚めた時、世界はすでに戦争によって破壊されていた。

絶望し、影に隠れ潜んでいた彼は、ある日、血まみれで死にかけている二十歳のハヤト・シズカミを見つけた。


ハヤトは執拗にマスターに修行をつけるよう迫った。

マスターは畏敬の念を抱きながら、その『ウォー・デーモン』が古代のシリツを極めていく過程を見守った。そして、いずれ必ず復活するブラック・ドラゴンから世界を救えるかもしれないと、再び希望を取り戻したのだ。


マスターは、自分がハヤトに『ブラックボックス・プリズン』を教えたのだと説明する。

これを聞いたタカシの中の『レジェンダリー・ディバイン・スピリット・ウルフ』は、ついに自らを縛る封印の意味を理解し、その古き怒りを鎮めた。


奈落の底で一年間を生き延びた六歳の少年の虚ろな目を見つめる。ウルフの再生能力によって、少年の血は強制的に「絶対毒耐性」へと進化していた。

マスターは深い痛みを覚える。タカシは家族も、クランの名も、カズキに対する血に飢えた復讐の誓い以外の全てを忘れてしまっていた。


少年のZ+ランクという破滅的な誕生が、眠っていた宇宙の恐怖を呼び覚ましたことを知るマスターは、彼を宇宙を救うための究極の兵器へと鍛え上げることを誓う。

彼は少年に新たな身分を与えた。単なる平民、『タカシ』という名を。


「生き残りたければ、お前が持っているものを使いこなすことを学べ!」

マスターが咆哮し、ドンッと鏡を叩きつけた。


ガシャンッ。


タカシは衝撃で鏡を見つめる。

恐ろしい火傷の痕は消え去り、代わりに神々しく白く光る文様が浮かんでいた。色が違った左右の瞳は澄んだ青色になり、髪は純白に染まっている。


タカシは目を閉じ、己の魂の漆黒の深淵へと飛び込んだ。

ウルフが咆哮し、力を明け渡すことを拒絶する。獣を完全に無視し、タカシは純粋なシン・ノアを暴力的なまでにシリツの律動へと押さえ込み、体から漏れ出していたBランクのオーラを完全に封殺してみせた。


ドサッ。

彼は意識を失い倒れ込んだ。だが、それは勝利の証だった。


ズガァァァンッ!


数日後。マスターはウルフの山のように重いコアを封じ込めていた、小さなブラックボックスの封印を解く。

自らの相棒である『レジェンダリー・ディバイン・スピリット・ゴールデン・ライオン』の力を借り、彼らはその半分が白、半分が黒の石を溶かしていった。


カァァァァッ!


マスターが鍛え上げたのは、一見すると何の変哲もない小さなポケットダガーだった。それはタカシの血と結びついており、彼が思い描くあらゆる武器へと姿を変えることができる。


二年が経過した。タカシは八歳になった。

毎日40キロの重しを仕込んだ服を着続けたことで、彼の肉体は規格外の強靭さを得ていた。拳一つで大地にクレーターを穿つほどに。

心の闇は少しずつ晴れつつあったが、外の世界に対する強烈な不信感だけは、依然として消えてはいなかった。


遥か遠く。八歳になったアイラ・シズカミは、首席でアカデミーを卒業した。

家族を守るための絶対的な盾となるべく自らの肉体を追い込み、タカシが帰還した暁には、彼を脅かす全ての者を殺すと誓っていた。


西の地では、強欲なカズキが、双子の子供たちに『シー・サーペント』を封印するというシンセイからの提案を盲目的に受け入れていた。

彼自身が、世界を終わらせる陰謀のただの駒であることなど知る由もない。


ピピッ!


地元の『スプリーム・カウンシル』支部。タカシは自身の怪物じみたXランクのオーラを重く抑え込み、公式にCランクのシン・ウォリアーとして登録を済ませた。

受付嬢は、彼の手の届かないような美しさに魅了されていた。粗野な戦士たちの姿に震えるふりをしながら、彼は部隊への参加を拒否し、完全にただ一人で世界へと足を踏み出した。


マスターは温かく微笑んだ。

ただ戦うことだけを教えれば、タカシは血に飢えた怪物になってしまうと分かっていた。

だからこそ、彼に社会性を身につけさせ、弱者を助け、人類を再び信じる方法を学ばせなければならないのだ。かつて、ハヤトがマスターにそう教えてくれたように。


ドスッ! ドガァァァンッ!


究極の血塗られたロマンスの回想によって、大地が砕け散る。

エマとハヤトの歴史的な死闘は、決して戦争などではなかった——それは、熾烈な愛の告白だったのだ。

しかし、エマが全力で一撃を放つことを強いられた時、ハヤトは防御を拒否した。


ズドォォォォンッ!


彼は森の奥深くまで吹き飛ばされたが、マスターによって救い出された。そして、彼らの結婚を決定づけることとなる二年間の平和が訪れたのである。


年月が流れる。

十歳になったアイラ・シズカミは、『ブツリシリツ』の達人となっていた。彼女の筋肉はまるで生きた鋼のようだ。

傷ついた心を慰めるため、彼女は新世代である四歳のアラシ、ケンシ、そしてイヤシに、自らのことを「義姉バービ」と呼ばせていた。


『ドミニオン・ユニバーシティ』にて、彼女はウェスト・ランドの双子、ユナとユマ・ミズシと強制的に同じ部隊スクワッドを組まされる。彼女は二人を激しく嫌悪していた。


ウェスト・ランドの深い闇の中で、『シンセイ』は強奪した『レジェンダリー・ディバイン・スピリット・シー・サーペント』のコアを分割する。


旧世界の禁断の科学を用い、彼らはその世界を終わらせる力を十歳のミズシの双子に封印した。二人を瞬時に『トリプルSSSランク』へと押し上げるために。

スプリーム・リーダーであるカズキは勝利の高笑いを上げる。自分の子供たちが、シンセイの世界を終わらせる陰謀の単なる実験台に過ぎないという事実に、完全に目を塞がれたまま。


カッ!


平和な国境の村で、十一歳になったタカシがため息をつく。

三年間、彼は純黒の炭素でできた『ブラックボックス・プリズン』の生成に「失敗」し続けていた。


「見せてみろ!」

マスターが短く命じる。


タカシは空気を圧縮し、恐るべき圧力で大気中から炭素を引き剥がす。

目が眩むような、まばゆい光が彼の手のひらから爆発した。

彼が作り出したのはブラックボックスではない——傷一つない、純粋なダイヤモンドの煌めく立方体だった。


マスターは腹を抱えて大笑いする。この無邪気な天才は、基礎を完全にすっ飛ばしたのだ。

彼はこのあり得ない大気圧縮を利用し、目に見えない『エア・アーマー』と、破壊不可能な『ダイヤモンド・シールド』を鍛え上げる方法をタカシに教え込んだ。


そこから、訓練は悪魔的なものへと変貌する。

マスターはタカシを煮えたぎる火山や、凍てつくツンドラへと放り込んだ。少年に毒を盛ることもあったが、五歳の時に深淵の植物を食べていたタカシが、あらゆる毒素に対して「絶対免疫」を持っていることが判明しただけだった。


目隠しをされた状態で、タカシはシン・ノアの流れを「視る」ことを学ぶ。

少年の欠点のない完璧なポテンシャルに身震いしながら、マスターはついに、彼がウルフの力だけに頼らなくても済むよう、0.5秒で周囲のエネルギーを吸収する『ネイチャー・モード』を伝授した。


その頃、イースト・ランドでは、眠りについていた『レジェンダリー・ディバイン・スピリット・フェニックス』が覚醒の時を迎えていた。


魔物の森で遊んでいた、野生児で無鉄砲な四歳のアラシが、その鳥の『ヨリシロ』になることを承諾したのだ。


ゴオォォォォッ!


地獄の業火がリング状に広がり、数キロメートルに及ぶ鬱蒼とした森を瞬時に灰燼に帰した。


恐怖に駆られたケンシがカズミに知らせる。イースト・リーダーは灰に覆われたクレーターへと駆け込み、意識を失いながらも無傷の甥を発見した。

宮殿に戻ると、カズミは視覚的なシリツを起動させる。真紅の瞳が回転し、少年の体内に宿る巨大でまばゆい炎のオーラを目の当たりにした。


「出てこい」

カズミが要求する。


荘厳なるフェニックスが実体化し、命に代えても子供たちを守ると温かく誓った。

カズミは深く、安堵の息を吐き出す。彼の家族は今、伝説の絶対的な庇護を得たのだ。


十五歳になったアイラ・シズカミは、ドミニオン・ユニバーシティにおいて、息を呑むほど美しく、致命的な捕食者となっていた。

新世代が入学してくる中、彼女とミズシの双子は無事に昇級試験を通過し、自らの部隊スクワッドを編成する権利を手にする。


村では、レジェンダリー・マスターが十五歳のタカシに最終試験を受けさせるべく準備を進めていた。

激突を前に、彼は600年前の失われた技術を授ける。


シュンッ!


彼は『ファントム・クローン』と、禁忌の『ブラッド・クローン』を教える。実際の血液から生み出される、呼吸し生きている分身。ウルフの怪物じみた再生能力によってのみ維持が可能な代物だ。


グチャッ。


タカシはブラッド・クローンの生成を試みて気絶するが、すぐに回復した。

続いてマスターは、最高位の治癒能力と、血継限界である『ファントム・アイズ』を教え込み、タカシにこれらを人前で使うことを固く禁じた。


「オーラを完全に消し去れ」

マスターが命じる。


タカシが自らのエネルギーを完璧な虚無へと抑え込む。

その瞬間、彼の変装が解けた。

髪は半分黒、半分白に戻り、瞳は血のように赤い色と、幻影のような緑色に変わる。

呪われた王子が、その姿を露わにした。


彼が寸止めで拳を突き出す。


ドォォォォンッ!


純粋な風圧だけで、600歳のマスターは後方へと吹き飛ばされ、地面に深い溝を刻み込んだ。


「……二度とオーラを消すな」

マスターは息を呑んだ。

「さあ……外へ出るぞ」


イースト・ランドの荒涼とした山中の奥深く。最終的な力試し(パワー・テスト)が幕を開ける。


ガキンッ!


マスターの重い大剣が、タカシの形状変化ダガーと激突する。

マスターは全力を要求し、タカシに叩き潰すような一撃を見舞った。タカシは反撃に出る。岩盤のように高密度な筋肉が、『ブツリシリツ』の速度で躍動する。

彼が意識的に放った最初の一撃はマスターの胸当てを粉砕し、歴戦の老兵を巨大な木々を何本も貫通させて吹き飛ばした。


マスターが立ち上がる。その両目は燃え盛っていた。


カァァァァッ!


まばゆい光が彼を包み込む。

『ゴールデン・ライオン・フォーム:イニシャル・ステージ』。

ライオンがテレパシーで、この少年を追い詰めればウルフを解放することになると警告するが、マスターは手加減を拒否した。


彼はタカシに猛烈なラッシュをかけ、少年を数本の木々に叩きつけ、さらに硬い岩肌へと激突させる。

タカシの目に見えない風の障壁は砕け散り、彼のAランクのエネルギーは完全に底をついた。


他に選択肢はなく、タカシは目を閉じる。

『ネイチャー・モード』。


彼は森の周囲のエネルギーを暴力的に吸い込んだ。

そして、100キログラムの修練用の重り服を引き千切る。


ズドォォォンッ!


脱ぎ捨てられた服が地面に激突し、局地的な地震を引き起こす。

マスターも自らの鎧を脱ぎ捨て、600年分の戦いの傷跡を晒け出した。


タカシのダガーが巨大な大剣へと変形する。

彼は前へとダッシュした。


凄まじい激突!

エネルギーが砕け散る——だが、それは『ブラッド・クローン』だった。


本物のタカシが上空から容赦なく襲いかかり、マスターをひび割れた大地深くへと叩き込む。

衝撃波が山々を駆け巡って悲鳴を上げた。


マスターの瞳が血のような赤に染まる。

『イタズラシリツ』。

彼は物理的にタカシの血を沸騰させようと試みた。だがタカシは瞬時にカウンターを放つ。瞳が純粋なシズカミの緑に輝き、麻痺をもたらす精神的な圧力を、暴力的にマスターの魂へと跳ね返したのだ。


二人の中で、血に飢えたカイメツザの遺伝子が着火する。

彼らはもはや手合わせなどしていなかった。殺戮を楽しんでいたのだ。


マスターが、回転するエネルギーの巨大な金色の丸鋸を振り回す。タカシは『ダイヤモンド・バリア』を展開した。


ガァァァァンッ!


金色の波が絶対防御のダイヤモンドを粉砕し、タカシを泥土へと吹き飛ばす。

マスターは致命的な振り下ろしの処刑撃を放つべく突撃する。


瞬時に、タカシの武器が重い鎖へと変形し、毒蛇のようにマスターの疾走する足に巻きついた。

マスターは顔面から地面に激突し、彼が落とした剣が巨大な地震を引き起こして、遠くのモンスターたちを恐怖で逃げ惑わせる。


マスターが体を起こした時、彼は戦慄の光景を目の当たりにした。

少年の中で、恐るべき内なる戦争が勃発していたのだ。


タカシの体の半分が、暴力的に『ナイトメア・モード』へと変貌していく。

漆黒。獣の耳。

カミソリのように鋭い狼の爪。ウルフが乗っ取りを始めている。


半変身状態の少年が跳躍し、大地に底なしのクレーターを穿つ。

彼はマスターの胸のど真ん中に着地した。


ズグッ。


黒い爪がマスターの風の防御をいともたやすく引き裂き、古代の戦士の肉体に無残に食い込み、粉砕された大地よりさらに深くへと彼をねじ込んでいく。


極度の衰弱という一瞬の隙を突き、レジェンダリー・ウルフがタカシの肉体を暴力的に乗っ取った。

それは、少年の究極の禁忌技を放つ。

『タマシリツ・テクニック:ダイヤモンド・プリズン・ボム』。


シュウゥゥ……。


傷一つないダイヤモンドの立方体の中に封じられた、極限まで圧縮された不安定な赤いエネルギー球が、疲労困憊のマスターに向かって投げつけられた。

古代の戦士は、この致命的な一撃を回避すべく必死に身を投げ出す。


カッ……ズドォォォォォォンッ!!


爆弾は四つの巨大な山を一直線に貫通した。

発動条件が満たされ、半径数百キロメートル以内の全てを瞬時に蒸発させ、息が詰まるほどの濃い煙へと変える。

恐怖に慄くシンセイの組織員を含め、世界中の人間が、麻痺したような沈黙の中でその黙示録を見つめていた。


ウルフはマスターの胸に、致命的な黒い爪痕を残す。

緑色のシズカミのエネルギー探知と、赤いカイメツザの遅延知覚——タカシの『ハイブリッド・アイズ』を組み合わせ、獣は『直接転移ダイレクト・テレポーテーション』と『時間停止タイム・ストップ』のあり得ないコンボを発動させた。


ガシャンッ!


最後の一撃が放たれる直前、『シール・バインディング』がウルフを暴力的に引き戻した。

タカシの変身が解け、彼は意識を失ってマスターへと激突し、その勢いで遠くの山が真っ二つに割れた。


マスターは急いでタカシを『ブラックボックス・プリズン』に隠す。

パニックに陥った戦士たちやシンセイの偵察部隊が到着すると、マスターは嘘をつき、この破壊をSSSランクの『コクシノアナコンダ』のせいにした。

命の火が消えかける中、彼は廃墟となった小屋へと転移して戻る。


ドサッ。


マスターはスプリーム・カウンシルの緊急会議を要請し、タカシの封印を解くと、致命傷によって限界を迎えた古い肉体ごと床に崩れ落ちた。


タカシが目を覚ますと、祖父が死にかけていた。

彼は狂乱してDランクの治癒エネルギーを、そして『ネイチャー・モード』を傷口に注ぎ込むが、マスターの砕け散った臓器は再生を拒んだ。


ウルフが蠢き、タカシを兵器に変えた人間を助けることを悪意に満ちて拒否する。


「もしじいちゃんが死んだら……俺は今すぐ、このウツワを終わらせる!!」


タカシが咆哮する。そのエメラルドグリーンの瞳は、恐るべき自死の決意に閃いていた。


ブォォォォッ!


少年の決して折れない意志に真底驚愕し、ウルフは屈服した。

鮮やかな緑色のオーラの巨大な柱——『エメラルド・レゾナンス』がタカシから噴出し、屋根を粉砕してフォー・ランズ(四つの大陸)全体へと広がっていく。


半径100キロメートルに及ぶ奇跡の治癒の波が、マスターの引き裂かれた肉体を瞬時に再生し、大陸中の無数の平民や戦士たちの傷を癒した。

完全に力を使い果たし、タカシはマスターの胸の上で意識を失い倒れ込む。


ダンッ!


深い影の中で、シンセイの最高幹部である『ゼニス・アッセンブリー(頂点会議)』が招集される。

彼らはマスターの嘘を簡単に見抜き、ゴールデン・ライオンの600歳のヨリシロがまだ生きており、ディバイン・ウルフが覚醒したことに気づいていた。


「この地球の隅々まで奴を捜し求めたというのに……私から逃げおおせるとは」

会議の長が、古の怒りに震えながら吐き捨てる。

彼はエリート部隊に全ネットワークを展開し、いかなる犠牲を払ってでも全てのディバイン・スピリットを狩り出すよう命じた。


小屋では、完全に傷が癒えたレジェンダリー・マスターが目を覚ましていた。

自身の物理的なウツワがこれ以上ライオンの力に耐えられないと悟った彼は、眠っている孫に手紙を残す。

彼はゲートを開き、恐怖に慄く世界の指導者たちと対峙するため、パニックに陥るシリツ・スプリーム・カウンシルへと直接転移した。


バーンッ。


シリツ・スプリーム・カウンシルの巨大な扉が開け放たれる。

レジェンダリー・マスターが歩み入ると、混沌としていた部屋は静まり返った。

ウルフの覚醒を隠すため、彼はSSSランクの災厄『コクシノアナコンダ』を迎撃したと、完璧な嘘をつき通す。


「私は退任する」

マスターが宣言した。

議事堂は純粋なパニックに包まれる。カズキが『シンセイ』の長を後任に据えようと試みるが、マスターは唯一の絶対不可侵の候補者を指名した。

『ウォー・プリンセス』、エマ・シズカミを。


後刻、マスターの私室にアラシが進み出る。


ゴオォォォォッ!


真紅と黄金の炎が燃え上がり、『レジェンダリー・ディバイン・スピリット・フェニックス』が少年の肉体を乗っ取る。

古の鳥は、世界の周囲のエネルギーの封印が解かれたことを確認した。

「救世主が、自らを犠牲にしたのか?」


「ああ」

少年の秘密を守るため、マスターは滑らかに嘘をつく。


それを聞いたエマ・シズカミは膝から崩れ落ちた。

魂を削り取るような咽び泣きが彼女の喉から漏れる。ウォー・プリンセスは絶対的な、砕け散るような絶望に打ちひしがれ、「死んだ」息子タカシのために、ただひたすらに慟哭した。


心が壊れたエマを玉座に就かせるため、マスターはハヤトに対する彼女の過去の愛を利用する。

義務の重圧に押し潰され、彼女は『サード・スプリーム・チャンセラー』の称号を受け入れた。


カァァァァッ!


マスターは自らの光り輝くコアを召喚する。

彼は自らの意志で、『レジェンダリー・ディバイン・スピリット・ゴールデン・ライオン』と巨大な大剣を、呆然とするアイラ・カイメツザへと譲渡した。

マスターの金色の瞳は瞬時に、定命の者の色であるクリムゾンレッドへと血のように染まる。彼はもはや、不死ではなくなったのだ。


「私の役立たずな、Cランクのヒーラーの孫をお前の部隊スクワッドに入れてやってくれ」

定命の者となったばかりのマスターがアイラに頼み込む。

彼女は敬意を払って承諾した。自分が今、予言された自身の夫を部隊に引き入れたことなど、全く知る由もない。


ドクン……。


数マイル離れた場所で、タカシは完全に傷が癒えた状態で目を覚ました。

自身の正体がアラタ・カイメツザであることを明かしたマスターは、アナコンダとの戦いの手柄を全て自分が引き受け、少年に重圧となる罪悪感を与えまいとする手紙を彼に渡した。


アラタは過去に苛まれながら、少年を見つめる。

六百年前、アラタは親友であるジロウ・シズカミが『ブラック・ドラゴン(コクリュウ)』で世界を滅ぼすのを止めるため、自らの息子を処刑しなければならなかった。

今、アラタは戦争を終わらせるため、タカシを鍛え上げなければならないのだ。


『スプリーム・シティ』の悪辣な政治からタカシを守るため、アラタは彼の母親がミズシ・クランの出身であるという偽の経歴を捏造する。

この嘘は、タカシの瞳のサファイアとエメラルドの色合いを完璧に隠し、禁忌である『シズカミ・グリーン・アイズ』を隠蔽するためのものだった。


「時間の構造そのものを遅らせるとは……」

少年の先ほどの戦闘を分析し、アラタは呟いた。

タカシは『ブツリシリツ』、『テレポーテーション・ゲート』、そして自身の追跡・遅延視覚能力である『ハイブリッド・アイズ』をシームレスに融合させ、文字通りの『時間停止ジカンテイシ』を発動させてみせたのだ。


アラタの厳しい視線の下で、タカシは『ダイヤモンド・プリズン・ボム(コンゴウロウバクダン)』と、高速で斬り刻む『ローテーティング・ダイヤモンド・プリズン』を創り出したことを白状する。

アラタは底知れぬ恐怖を隠した。この少年は、瞬き一つの間に生命を消し去ることができるのだ。


ゴトゴト……。


木製の馬車が進む。孤立の時代は終わった。

Cランクの平凡なヒーラーに変装したタカシは、ドミニオン・ユニバーシティという獅子の檻へと真っ直ぐに向かっている。


ギィィ……ゴトゴト……カチャカチャ……ヒヒーン!


『シンセイ』はディバイン・スピリットを狩るため、12人のエリートメンバー全員を配備した。

迫り来る危険など知る由もなく、タカシは世界を経験しろという祖父の命令を忠実に守り、豪華な王室の馬車に乗ってスプリーム・シティへと向かう。


息を呑むほど装飾された首都に足を踏み入れたタカシは、そびえ立つ超高層ビル群を純粋な畏敬の念で見つめていた。


ドンッ。


彼は誰かと衝突した。

彼の顔は、ウェスト・ランドの不可侵の青髪の姫、ユナ・ミズシの信じられないほど柔らかい胸に直接埋もれてしまったのだ。


激怒し、深く辱めを受けたユナは、『トリプルSSSランク』の力を解放する。

『シー・サーペント(カイリュウ)』の圧倒的な粉砕力と、雷光の如きスピリット・リズムを融合させ、至近距離からタカシの胸を殴りつけた。


パリンッ!


タカシの『インビジブル・エア・バリア』が砕け散る。

だが、彼は一寸たりとも動かなかった。


ボキッ。


ユナの腕が完全に砕け散った。

しかし、彼女が見上げた瞬間、痛みは消え去った。

彼女は彼の神秘的な美しさに心を奪われていた——青みがかった瞳に流れる光、白い文様、そして黒いウルフの刻印。

猛烈に顔を赤らめた彼女は、そのまま彼の腕の中へと気絶した。


激怒した彼女の兄、ユマ・ミズシが妹を奪い返す。

ユマは戦慄した。この少年が何者であれ、その揺るぎない肉体は、想像を絶する力の前兆に他ならない。


ドクン……ドクン……ドクン……。


皇室の医務室で、ユナは熱を帯びた、陶酔するような赤面と共に目を覚ました。

Cランクのオーラだけで自身のSSSランクの一撃を耐え抜いた謎の少年に完全に執着した彼女は、激怒する父親、カズキ・ミズシに対し、誰にも攻撃などされていないと嘘をついた。


カズキが怒って部屋を出て行くと、ユナは祖父のダイスケ・ミズシに絶対的な執念を囁いた。

「私、あの人と結婚する。何が何でも」


一方、完全に状況を理解していないタカシは、スプリーム・カウンシルに到着する。

重武装の護衛たちは、「おじいちゃん」であるアラタ・カイメツザに面会したいと尋ねる彼を、容赦なく嘲笑った。


突然、重厚なオーク材の扉が開いた。

アラタ・カイメツザ、レジェンダリー・マスターが姿を現す。


「おじいちゃん!」

タカシが嬉しそうに叫ぶ。


護衛たちの顎が外れそうになる。絶対的な恐怖で麻痺した彼らは崩れ落ち、大理石が割れるほど深く平伏した。


タカシは壮大な戴冠式を気ままに見学する。

突如、息を呑むほど美しい金髪の戦士が通り過ぎた。アイラ・シズカミ。

彼女の新たな金色の瞳——ゴールデン・ライオンの証が、時間を止める。


ドクン……ドクン……ドクン……。


タカシは暴力的に打ち鳴らされる心臓を抑え込んだ。

ぼやけた、断片的な記憶が閃く。彼女を知っている。


その後、タカシは恐怖に怯える護衛たちを気にも留めず通り過ぎ、チャンセラーの私室の扉を押し開けた。

中にはアイラ、彼の祖父、そして新たなスプリーム・チャンセラーであるエマ・シズカミが立っていた。


「おお、タカシ!」

マスターが微笑む。


その名を聞いて、アイラの顔はトマトのように真っ赤になった。彼女が振り返って彼を見る前に、圧倒的な衝撃が彼女を襲う。


ドサッ。彼女は気絶した。


エマ・シズカミは心臓が止まるのを感じた。

その少年は、亡き夫ハヤトの生き写しだった。だが、論理が彼女の絶叫する心に抗う。彼の髪は銀色で、瞳は青く、顔には「死んだ」息子のあの恐ろしい火傷の痕がない。


「どうして彼がカイメツザなのですか?」

エマは声を詰まらせ、クリムゾンレッドの瞳に涙を浮かべた。


嘘を信じ込ませるため、マスターは密かにタカシに指示を出す。

一瞬のうちに、タカシは『ファントム・リズム』を起動した。彼の瞳が血のようなクリムゾンレッドに染まる。

絶対的で麻痺するような恐怖が部屋に降り注ぎ、エマに彼がカイメツザの血を引いていると確信させた。


アイラが目を覚ました時、彼女は自身の亡き夫と同じ名、同じ悲劇の運命を背負う、この「弱い」呪われた少年に深い同情を抱いた。


「私が、彼をしっかり守ります」

アイラはマスターに約束した。自分が、己の夫を守ると誓っていることなど全く知る由もなく。


マスターはタカシを市内の新しい宮殿のような邸宅へと連れて行く。「メイド」たちは実際には彼らを護衛するために選び抜かれたエリート・シン・ウォリアーだった。

タカシは彼女たちを下がらせ、嬉しそうに新しい、途方もなく重い修練用の服に着替える。平和な生活が、ついに始まったのだ。


その後、ダイスケ・ミズシがアラタの元を訪れ、息子のカズキがシンセイと不審な会合を重ねていることを警告する。

だが、ダイスケの関心は他にあった。タカシが、孫娘が執着している「ミズシ」の少年であると気づいたダイスケは、絶対的な決断を下す。ユナ・ミズシとタカシの結婚を直ちに固める、と。


ドスッ。


純粋で混じり気のない喜びに打ちのめされ、ユナ・ミズシはベッドに倒れ込んだ。祖父のダイスケが、タカシとの政略結婚を確定させたのだ。

極めて危険な任務に出発する間、忍び寄るシンセイの脅威から孫を守るため、アラタ・カイメツザは同盟を結んだ。タカシがすでに、法的にはアイラと結婚しているという事実を完全に無視して。


「おじいちゃんの言うことなら何でも聞く。でも、俺を置いていくな!」

翌朝、アラタが任務の危険性をほのめかした時、タカシは目に涙を浮かべて咆哮した。

アラタは滑らかに嘘をつき、結婚に同意させるためのただの冗談だったと言う。納得したタカシは途方もなく重い服を着込み、ドミニオン・ユニバーシティへと向かった。


大学の門前で、ユナとアイラ・シズカミが激しい口論を繰り広げていた。

ユナは得意げに、美しい新入生は自分の婚約者だと宣言する。アイラは「死んだ」夫の記憶を猛烈に擁護し、口を慎むようユナに警告した。


タカシが到着する。張り詰めた空気に全く気づいていない。彼は優しくユナの砕けた腕を取った。


ブォォォォッ!


鮮やかなエメラルドの光が彼の手のひらから噴出する。

数秒で、彼は彼女の骨と肉を完璧に再生させた——トリプルSSSランクのヒーラーにしか不可能な離れ業だ。

群衆はショックで凍りつくが、この奇跡は600歳の祖父から教わった秘密の技なのだと簡単に納得した。


ユナの双子の兄、ユマ・ミズシがタカシを攻撃しようと飛びかかるが、妹のユナが「タカシは愛する婚約者よ」と囁いたことで凍りついた。

妹の怒りを恐れ、ユマは震えながら身を引いた。


その間、シンセイはアラタ・カイメツザを抹殺すべくエリート暗殺者を派遣し、ブラック・ドラゴンを復活させて世界を『指導者のいない世界リーダーレス・ワールド』に突き落とそうと企てていた。


迫り来る戦争の影を知らぬまま、大学は『グランド・トーナメント』の準備を進めている。

廊下で、ユマは父親の計画を友人に傲慢に自慢していた。血脈を融合させ、アイラと強制的に結婚するというのだ。


パーティションの向こう側で、アイラは全てを聞いていた。

「シズカミ」の名を奪われること——タカシへの究極の献身を否定されることは、彼女の正気を完全に砕き散らした。


彼女のSランクの力が、眠っていたゴールデン・ライオンの力と暴力的に絡み合う。

彼女はXランクの壁を突破し、右拳に終末的なエネルギーを凝縮させた。


ドガァァァァンッ!


アイラの拳が壁を粉砕する。

爆発的な一撃がユマの胸に直撃し、彼を重厚なオーク材の扉ごと、複数の教室を突き抜けて中庭まで吹き飛ばした。


ユマの肋骨は粉々に砕けた。『シー・サーペント』のコアとシンセイの結界による多重防御がなければ即死だった。

物理的な反動がアイラの腕を引き裂き、彼女は自身の血の海の中に崩れ落ちた。


瞬時に、タカシがそこにいた。

彼のエメラルドのエネルギーが波打ち、アイラの裂けた肉体を即座に再生させ、ユマの砕けた胸を安定させる。「Cランク」のヒーラーのあり得ない力に、中庭の誰もが息を呑んだ。


この事件がもたらす政治的な影響は破滅的だった。

スプリーム・チャンセラーであるエマ・シズカミは、直ちに両部隊をスプリーム・カウンシルの最高議場へと召喚する。

雌獅子が目覚め、巨大な政治の嵐が今まさに吹き荒れようとしていた。


ドミニオン・ユニバーシティにおける絶対的な破壊の痕跡は、数分で隠蔽された。

スプリーム・チャンセラー、エマ・シズカミの直接の命令の下、土属性のエリート・シン・ウォリアーたちが粉砕された壁と抉れた大地をシームレスに修復する。

厳重な部屋の中で、エマはアイラとユマを沈黙させた。もしカズキ・ミズシが、息子のプライドのせいでここまで叩きのめされたと知れば、イーストとウェスト・ランズの間の脆い平和は暴力的に砕け散ってしまうからだ。


影で、アラタ・カイメツザはタカシとユナの王室結婚式の予定を、トーナメント直後に直ちに執り行うことで無事に確定させる。

孫の未来を確保し、レジェンダリー・マスターはシンセイを狩り出すため、全力を解放する準備を整えた。

しかし、シンセイもまた彼を狩ろうとしていた。スプリーム・シティに潜む4人のエリート暗殺者が、アラタとゴールデン・ライオンのヨリシロを孤立させる完璧な瞬間を待ち構えている。


『グランド・ランキング・トーナメント』が、ついに幕を開ける。


歓声を上げる群衆にとっては、壮大な力の誇示だ。だがエマ・シズカミにとっては、それは脅威評価、相性把握、部隊の信頼性を試す、残忍で複雑な心理的な罠——三層構造の指導者試験だった。


爆発的なライバル関係を終わらせることを拒否し、部隊長であるアイラ・シズカミとユマ・ミズシは、意図的に互いを指名した。


待機エリアで、アイラは戦略を最終決定する。

彼女はユマの水属性に対抗するため、アラシ(フェニックス・スピリット)を送り出す。小さなユミにはイヤシをぶつける。

そして重い心で、彼女は「弱いCランク」の夫、タカシを、自身の天才の弟であるケンシ・カイメツザにぶつけることを決めた。

世間から見れば、致命的な『血液操作ファントム・リズム』を操る純血のカイメツザにCランクが挑むなど、数学的に死を意味する。


一方、ユナは兄の指示を強引に上書きした。

彼女はアイラとの対戦を要求した。後でタカシにわざと負け、愛する少年に傷一つつけさせないようにするために。


10分のタイマーがゼロになる。


プリンセス・ユナ・ミズシと、スクワッド・リーダーのアイラ・シズカミが、真っ白なアリーナへと足を踏み入れた。


一言の言葉も交わすことなく、二人は前方へと駆け出した。


ズドォォォォンッ!


激突が耳を劈くようなソニックブームを巻き起こす。

暴力的な衝撃波がスタジアムを駆け抜け、補強された壁に激突し、恐怖に慄く観客たちから息を奪い取った。二人の少女は純粋なXランクの力を放っている。しかも、いまだ『ディバイン・レジェンド・スピリット』を起動すらしていないというのに。


アイラは血に飢えた悪魔のように戦っていた。

息を呑むような二色のオーラが彼女の周囲で暴力的に渦巻く——『ゴールデン・ライオン』のまばゆい『ゴールデン・エナジー』が、カイメツザの凶悪な『クリムゾン・レッド・エナジー』と複雑に絡み合っていた。


彼女は完璧な『ブツリシリツ』を駆使し、ユナに張り付いて、破壊的なまでに重い近接打撃を叩き込む。

猛烈に忠実な未亡人の怒りをもって彼女は戦う。ユナが「死んだ」夫を愚弄した記憶がフラッシュバックするたび、彼女の血は沸騰していた。


対するユナは、タカシとアイラの親密さに対する盲目的な嫉妬に支配されていた。

自身の『ブルー・オーラ』である『ミズヘキ』を必死に維持しながら、ユナは残酷な防戦を強いられていた。彼女の専門は完全に『タマシリツ』にある。だが、アイラの容赦ない物理的猛攻が、術を放つために必要な距離を一切与えようとしないのだ。

鉄壁の如く強化されたアイラの肉体に対して『シン・ノア』を浪費するのは、致命的なミスとなる。


賭けに出るしかないと、ユナは悟った。


バチィッ!


一瞬の隙を突き、アイラの拳が胸を陥没させる直前で、ユナは『ミズヘキ』を解除した。

そして即座に再構築し、至近距離から『スアツ・シリツ』を解放する。

爆発的に噴き出した間欠泉が暴力的にアイラに直撃し、彼女を後方へと吹き飛ばす。ユナが喉から手が出るほど欲していた距離が、ついに生まれた。


ユナの手がブレるほどの速度で古の印を結ぶ。

彼女は高密度で渦巻く水の球体を召喚し、そこにパチパチと弾ける雷を暴力的に注ぎ込んだ。


「『スイキュウデン:イナズマ』!」


彼女は極めて破壊的で致命的なその弾丸を、アイラに向かって一直線に投げ放った。


アイラは防御する代わりに、瞬時に『マボロシ・ブンシン』を起動する。


完璧な光学迷彩の幻影を前方へと投影し、アイラ自身はシームレスに横へと滑り出た。

電撃を帯びた水球が、無害にクローンの体をすり抜けるまで、ユナはそれに気づくことすらできなかった。


『スイキュウデン:イナズマ』は幻影を通り抜け、補強された闘技場の壁へと暴力的に激突する。


ガシャンッ! バキィィィッ!


電流が猛烈な勢いで石の表面を走り抜け、闘技場の側面に激しい水しぶきが降り注いだ。


物理的な質量を持ち、独立して戦い、そして膨大な量の実際の血液を消費する伝説の禁忌『ケツエキ・ブンシン』とは異なり、『マボロシ・ブンシン』は単なる光学的な蜃気楼に過ぎない。


はるか上空の影の中では、4人のシンセイの暗殺者たちが沈黙の中でこの殺戮劇を見下ろし、襲撃の機会を計算していた。


群衆は絶対的な恐怖に縛られながら見守る。これは、全く同じ一人の男を巡って戦う二人の恋敵による戦争なのだ。その宇宙的な皮肉に、誰も気づいていない。

そして、彼女たちの真の速度と『ディバイン・スピリット』の変身による究極の激突は、まだ始まってすらいなかった。


ブォォォォッ!


激突の爆発的な衝撃波が、アイラ・シズカミに距離を取らせた。

彼女の金色の瞳がユナ・ミズシを捉え、姫の体内にある液体そのものを標的に定める。


「『ケツエキ・ソウサ:フットウ』!」

アイラが命じた。


瞬時に、ユナの血管を流れる血液が灼熱の溶岩へと変わる。

激痛に喘ぎながら、ユナは完璧な『ミズノタマシリツ』を実行した。微細な水の粒子を顕現させ、それを毛穴から直接血流へと注入する。コアを暴力的に冷却し、致死的な体温を安定させたのだ。


相手の隙を突き、ユナは反撃を解き放つ。


「『ウミヘビノホウコウ』!」


巨大で神秘的なシー・サーペントの水クローンが彼女の背後に実体化する。

耳を劈くような衝撃波と爆発的な水圧が、アイラを空中から吹き飛ばした。


ドォォォォンッ!


アイラは補強された闘技場の壁に激突し、クレーターを穿った。


その壊滅的な衝撃が、アイラのカイメツザの血を着火させた。

まばゆい光の爆発と共に、彼女は完全に『ゴールデン・ライオン・フォーム』へと変身を遂げる。シー・サーペントの純粋な力を感知しつつも、そこに魂が結びついていないことに気づき、古のライオンは変身を強制した。人類が死んだ精霊のコアを兵器化したことに恐怖を覚えながら。


息が詰まるような黄金の重圧に追い詰められ、ユナも瞬時にそれに対抗する。彼女は猛烈な間欠泉へと姿を変え、『シー・サーペント・フォーム』へと移行した。


群衆は絶対的な恐怖で麻痺している。VIPバルコニーは騒然となっていた。


アラタ・カイメツザは目を細めた。

彼はシンセイが、カズキ・ミズシの子供たちを実験台として利用していることを悟る。

彼は冷酷で政治的な決断を下した。自身が組織を完全に殲滅する前に、ユナの安全を確保するため、彼女を絶対に自身の孫と結婚させなければならない、と。


眼下の闘技場では、少女たちが雷光の速度で交錯していた。

アイラは自身の純粋な力を完璧な『ブツリシリツ』へと収束させ、破壊不可能で重い打撃を放つ。ユナは水と電気の流動的なリズムに乗って動いた。


ガキンッ!


アイラのゴールデン・ライオンのコア・ウェポンが、ユナの『アンセストラル・ミズシ・カタナ』と激突する。

身の毛もよだつような金属の絶叫が空気を引き裂いた。絶対に折れないはずの刀が、真っ二つに砕け散ったのだ!

運動エネルギーの衝撃がユナを後方の壁へと吹き飛ばす。


空中でユナは自身の『シン・ノア』を操作し、折れた刃を水と純粋なエネルギーでシームレスに繋ぎ合わせた。


変身は定命の者の限界を超えて加速する。

アイラには黄金のライオンの耳と牙が生え、ユナの口内では蛇の牙が鋭く伸びた。


絶望的な賭けに出たユナは水を蒸発させ、致死性の『ウミヘビノドク』を空気中に混ぜ込んだ。

呼吸をするたびに見えない毒がアイラの肺に侵入し、彼女の神経系を即座に麻痺させていく。


同時に、アイラは究極の禁断の瞳術を解き放った。

彼女の金色の瞳が、深く発光するクリムゾンレッドへと血のように染まる。


「『イタズラシリツ:ケツエキ・ソクバク』!」


ユナの血流が強制的に停止し、彼女の肉体は逃れられない内なる牢獄へと閉じ込められた。


疲労困憊し、麻痺し、窒息しながら、二人の少女は膝から崩れ落ちた。審判が引き分けを宣言する。


瞬時にユマ・ミズシが駆け込み、『ミズノチュウシュツ』を用いてアイラの血流から有毒粒子を引き抜く。反対側では、11歳の天才、ケンシ・カイメツザが、ユナを麻痺させていた恐るべき血の縛りを軽々と解除してみせた。


10分のタイマーがリセットされる。


次の試合が始まる。アヤシ・シズカミ(姿を消したジュン・シズカミの娘)が、ユミ・ミズシと対峙するために歩み出た。

どちらの少女もSSSランクに迫る11歳の天才だ。


だが、彼女たちは親友同士だった。戦うことを拒否した。


「あなたが攻撃して」

ユミが促す。


「できないわ!」

アヤシが首を振る。


完璧に息を合わせ、二人は同時に手を挙げた。

「棄権します!」


当惑した審判が二人を失格にすると、観客は爆笑の渦に包まれた。


観客席の上部ではカズキが怒りに煮え繰り返っていたが、父親であるダイスケの恐ろしい睨みによって沈黙させられた。

だが、次の試合がアナウンスされると、笑い声は消え失せた。


11歳の歩く災厄同士の究極の激突が、今まさに始まろうとしている。アラシ・シズカミ 対 ユマ・ミズシ。


ドォンッ。


タイマーがリセットされる。究極の、歴史的な試合がアナウンスされた。

11歳の天才にして「歩く災厄」、ケンシ・カイメツザ 対、伝説の英雄の15歳の孫、タカシ・カイメツザ。


VIPバルコニーで、スプリーム・チャンセラーのエマ・シズカミはパニックに陥り硬直していた。

ケンシの血の術が、単なるCランクのヒーラーを惨殺することを知っている彼女は、試合を止めるようアラタ・カイメツザに懇願した。


だが、アラタは絶対的な自信に満ちて座っていた。

彼はタカシに対し、力を抑え、緑色の瞳を隠し、潔く負けるよう厳命していた。ケンシの攻撃など、タカシのダイヤモンドのような高密度の肉体の前では無傷で跳ね返されることを、アラタは知っていたのだ。


ブゥゥゥン……。


試合が始まる。ケンシの瞳が即座にクリムゾンレッドに染まった。


「『イタズラシリツ:キョウフ』!」


「Cランク」のハーフが逃げ出すことを期待し、彼は闘技場をAランクの精神的圧力で満たした。だが、タカシは瞬き一つしない。


苛立ち、ケンシはさらに段階を引き上げる。

ギザギザの黒い模様が彼の赤い虹彩に刻み込まれた。


「『アクム:イタズラシリツ』!」


彼はタカシを、最悪の記憶の幻覚の中に閉じ込めようと試みた。だが、タカシの不可視の『エア・バリア』が、その精神的な侵入を完全に弾き返す。タカシの内に眠る終末的な力は、ピクリとも動かなかった。


自分の幻影が「ヒーラー」に対して通用しないことに激怒したケンシは、二本の短いダガーを引き抜き、そこに『クリムゾン・レッド・エナジー』を超圧縮して注ぎ込んだ。


彼は目にも留まらぬ速度で突進し、タカシの腕に向かって直接斬りつける。


パキィィッ!


ダガーが暴力的に粉々に砕け散った。

タカシの皮膚の持つ岩盤のような圧倒的密度が、『シン・ノア』を込めた鋼を粉砕したのだ。


ケンシが極めて複雑で致死的な技の準備に入るのを見て、エマは恐怖の絶叫を上げる。


観客席で、タカシは祖父と視線を合わせた。

『もう十分だ。終わらせよう』


タカシは自発的に不可視の障壁を解除し、ダイヤモンドのように高密度の筋肉を完全に弛緩させた。


ズバッ!


ケンシが駆け抜け、残ったダガーでタカシの腕を切り裂く。


数滴の血がこぼれ落ちた。

1ミリ秒にも満たない時間で、その傷は完璧に再生した。観客はそれを見逃したが、影から見守っていた4人のシンセイの暗殺者たちは、あらゆる生物学の法則を無視した再生速度を認識し、背筋の凍るような恐怖に凍りついた。


ケンシの顔に悪魔のような笑みが広がる。彼の目から血の涙が流れ落ちた。

彼はダガーを口元へ運び、タカシの血を舐めとる。


「『ケツエキ・ソウサ:ニクタイ・シハイ』!」


瞬時に、タカシは自身の神経系がこの11歳が編み出した究極のオリジナル技——スピリットとファントムの恐るべき融合術——に乗っ取られるのを感じた。


「手を挙げて降参しろ」

ケンシが命じる。


タカシは何気なくそれに従い、試合を終わらせた。


だが、5秒後……。


ドサッ。


ケンシが激しく膝から崩れ落ちた。

11歳の「歩く災厄」は、突如として絶対的で麻痺するような恐怖に震え出し、全身を冷や汗でぐっしょりと濡らしていた。


ケンシが自身の意識をタカシの血とリンクさせた時、彼は意図せず、この年上の従兄の魂を覗き込んでしまったのだ。

漆黒の深淵の奥深くで、巨大で古の『ブラック・ウルフ』が目を開き、少年の精神を睨みつけていた。


『分を弁えろ』

世界を終わらせるような声で、その獣は轟いた。


精神が崩壊するほどの恐怖に駆られ、ケンシは完全なる精神的消滅を避けるため、自らの術を強制的に破壊した。彼の部隊の仲間たちが駆け寄り、震える体を運び出していく。

スタジアムの誰一人として、なぜ勝者が純粋な恐怖に震えているのか理解できなかった。


バルコニーでは、カズキ・ミズシが密かに狂喜していた。未来の義理の息子が容易にコントロールできる存在であることを期待して。


鐘が鳴る。10分のタイマーがリセットされた。


次は、ディバイン・スピリット同士の究極の激突だ。

アラシ・シズカミ(フェニックス)対 ユマ・ミズシ(シー・サーペント)。

真の兄弟 対 義理の兄弟。


そしてカズキ・ミズシは、アラシが死ぬような「事故」が起きることを祈っていた。


10分のタイマーが急速にゼロへとカウントダウンしていく。


待機エリアで、ユナ・ミズシは双子の兄であるユマに激しく警告していた。

不適合な彼の肉体の中では、シー・サーペントの力は極めて不安定だ。もし限界を超えれば、獣の古の憎悪が彼の精神を乗っ取り、彼を凶暴な獣へと変えてしまうだろう、と。


ユマは彼女を冷たく突き放す。彼の精神は、父であるカズキ・ミズシの残酷な要求に圧殺されかけていた。

カズキの絶対的な命令が、ユマの頭の中で反響している。

『いかなる状況下においても、アラシ・シズカミに負けることは許さん。奴を消し去れ』

シズカミ・クランを完全に根絶やしにしようとするカズキの狂気じみた野望に押し潰され、ユマは苛立ちに満ちた、憎悪に燃える少年となっていた。


タイマーがゼロになる。

二人の傲慢な王子が闘技場へと足を踏み入れた。


試合が始まる。


「『ゲキドノカキュウ』!」

アラシ・シズカミが掌を突き出し、超高密度に圧縮された深紅の炎の球体を放つ。

アラシの均整の取れた性質——正式な炎の訓練と、彼に適合するカイメツザの血の融合——は、彼をフェニックスの完璧かつ安定したヨリシロにしていた。


「『ミズヘキ』!」

ユマが手を上げる。超高圧の水の壁が噴出し、瞬時に火の玉を鎮火した。

水属性はユマに圧倒的な自然の優位性を与えている。

間髪入れず、ユマは恐るべき速度の『スイキュウデン』を投げつけた。


ドガァァァンッ!

運動エネルギーがアラシを後方の闘技場の壁へと吹き飛ばす。


アラシが体勢を立て直す間、ライバル同士は苦々しい言葉を交わす。

ユマは両家に対する憎悪を叫び、彼らの追放と自身の父親の狂気を招いたのは、アラシの父親ハヤトの強欲さのせいだと非難した。


激怒し、アラシは凍りついた。

その言葉は、彼の魂の奥底で制御不能な怒りを着火させたのだ。


ゴオォォォォッ!


恐るべき深紅の炎の柱がアラシから暴力的に噴き出す。

彼は『フェニックス・モード』へと変身し、額には荘厳な刻印が燃え上がった。周囲の熱気で空気が歪む。

VIPバルコニーから恐怖の息を呑む音が漏れる。シンセイの工作員たちが、標的に狙いを定めた。


これに直接呼応するように、ユマもまた猛烈な間欠泉へと姿を変え、『シー・サーペント・モード』へと移行した。


カズキ・ミズシは傲慢なプライドで胸を張るが、アラタ・カイメツザは目を細めた。

彼は、直ちにタカシとユナの結婚を確定させ、その後、自身の手で直接シンセイを根絶やしにすることを決意する。


ユマが両手を叩きつける。

「『タキノシリツ』!」

巨大な間欠泉が闘技場を水没させ、炎を抑え込む。


アラシは宙に浮かぶ無数の炎の剣の弾幕で反撃し、ユマの首を刎ね飛ばしかける。

両方の少年は後戻りできない一線を越え、彼らの血脈を定義づける究極の技の準備に入った。


「『キョダイカイテンカキュウ』!」

アラシが咆哮する。


「『キョダイスイキュウデン:イナズマ』!」

巨大な水球にパチパチと弾ける雷を注ぎ込みながら、ユマが絶叫した。


観客席上部で、ダイスケ・ミズシとユナが恐怖で立ち上がる。

この制限された『シリツ』は間違いなく致死的だ。相反する属性が、アラシの骨を瞬時に粉の塵にするだろう。

エマ・シズカミが悲鳴を上げ、息子を救おうと必死に席から飛び出した。カズキは悪魔のような、勝利の笑みを浮かべている。


ズドォォォォォォンッ!


終末的な球体同士が激突する。

ユマの攻撃がアラシの炎を暴力的に喰らい尽くし、凍りついた少年へとロケットのように迫る。エマは間に合わないと悟り、泣き崩れた。


バチィッ!


1ミリ秒にも満たない瞬間に、タカシ・カイメツザがアラシの真正面に直接転移テレポーテーションした。

完璧な同期シンクロと共に、5体の『ケツエキ・ブンシン』が実体化し、巨大な『ダイヤモンド・バリア』の後ろに控える。


ガシャンッ!


巨大な水球がダイヤモンドに激突する。

ダイヤモンドは弾性を全く持たないため、鈍器のような衝撃波がその内部のへき開面を暴力的に引き裂き、絶対防御の障壁を脆いガラスのように粉砕したのだ!


水は突破し、瞬時に5体の『ケツエキ・ブンシン』を水滴へと消滅させた。


球体の残りは、タカシのオリジナルボディに直接激突する。

しかし、彼の物理的なウツワは山よりも高密度であるため、彼は衝撃を容易く吸収し、一寸たりとも動かなかった。


スタジアム全体が信じられないというように静まり返る。

フェニックスがテレパシーでアラシを落ち着かせ、「あの親父」が介入しなければお前は死んでいたぞと警告した。


だが、危険は去っていない。

膨大な力の行使が、ユマの脆い精神制御を砕き散らしていた。彼の瞳孔が縦に割れる。彼は完全に野生の獣と化していた。


ユマは自身の『ブツリシリツ』を両足に集中させる。


「『センコウスイリュウ』!」


爆発的な轟音と共にユマは姿を消し、雷と水の残像だけを残した。


彼の野生の標的はアラシだったが、その行く手にはタカシが立ちはだかっていた。


グチャッ!


ユマのダガーが、タカシの腹部に深く突き刺さる。空中に血が飛沫を上げた。


同時に、ダイスケ・ミズシが全く同じ『センコウスイリュウ』を使用し、野生化した孫の背後に実体化すると、正確な気絶の一撃を見舞って彼を現実へと引き戻した。


大混乱が巻き起こる。

ユナは兄のために泣きじゃくった。

バルコニーでは、エマ・シズカミがカズキを睨みつけている。母親の純粋な怒りが、彼女の究極の精神術を引き起こした。

『イタズラシリツ:キョウフ』。

カズキの得意げな笑みは消え失せ、彼は原始的な、息が詰まるような恐怖に震え上がった。


エマは闘技場へと飛び降り、タカシに向かって駆け出した。


だが、世界中が恐怖で息を呑む中、タカシは静かに柄を握り、ダガーを引き抜いた。

刃が肉から離れた瞬間、致命的な傷は数秒で完璧に治癒し、傷跡一つ残さなかったのだ。


シンセイの工作員たちは血の気が引くのを感じた。

彼らは、アラタが少年に禁忌の回復の『シリツ』を施していると誤解し、自分たちの使命を暴力的に再認識した。この怪物どもは殲滅されなければならない、と。


観客席で、アラタは重いため息をつきながらこめかみを揉んだ。

タカシは今、自身のあり得ない治癒能力を全世界に暴露してしまったのだ。


恐怖に慄いた審判が、ランキング・トーナメントを唐突に終了させる。

群衆は終末的な力を恐れて逃げ惑った。シンセイは再び影の中へと溶け込んでいく。


立ち去る前に、アラタとダイスケは無言で重々しく頷き合った。彼らの秘密の会合の時が来たのだ。


ザワザワ……ヒソヒソ……。


ドミニオン・ユニバーシティの壮大な回廊は、不気味なほどに重苦しい空気に包まれていた。

ランキング・トーナメントの突然の中止を受け、息の詰まるようなパラノイアが学生たちを飲み込んでいる。彼らはタカシの隠された殺意と、アルファ・クランの後継者たちが振るう終末的な『ディバイン・スピリット』について囁き合っていた。


カツ……カツ……。


タカシはその混沌の中を、感情から切り離された絶対的な冷静さで歩いていた。彼は自分自身の真の力がどれほど深いものなのか、全く理解していない。

隣では、アイラ・シズカミが純粋な興奮と共に微笑み、今日教えられる歴史を暴き出したくてたまらない様子だった。


カツ……カツ……カツ……。


巨大な円形階段教室で、彼らは席についた。


バンッ!


重厚なオーク材の扉が乱暴に開かれた。傷だらけの厳格な教授が足を踏み入れる。


ドンッ!

彼は埃を被った重い分厚い本を机に叩きつけ、黒板に巨大なドームを描いた。


「今日、我々は『ジョウケンツキケッカイ』の残酷な現実を解剖する」

教授のしわがれた声が轟く。


彼は世界の恐るべき歴史を細心の注意を払って解き明かしていった。


・550年前:『レジェンダリー・ディバイン・スピリット・スノーマン・イエティ(ヒョウゲン)』が、終末の残酷な予言をもたらした。傲慢さと『シン・ノア』の高揚感に目が眩んだ人類は、それを無視した。


・350年前:人類は自らの兵器を用いて世界を灰へと焼き尽くした。有毒な死の灰は、全ての生命を終わらせかけた。


・神聖なる犠牲:人類を救うため、『ディバイン・スピリット』たちが毒された空気を濾過する『ジョウケンツキケッカイ』を構築した。『スコーピオン』は基礎を築くために自らの命を捧げて死んだ。『フェニックス』は自身のコアの中に自らを封印した。『ウルフ』だけが、純粋にその『キョウダイナサイセイ』能力によってのみ大災害を生き延びた。


「だが、その古代の予言の絶対的な核心は……『キュウセイシュ』の誕生だった」

教授は静かに続ける。

「ちょうど十六年前、その赤子が生まれた。最初の呼吸と共に、彼の神聖なる力の途方もない終末的な重みが結界を砕き、我々の世界を解放したのだ。しかし、自らの伝説のようなウツワに耐えきれず、救世主は即死した」


三列目で、タカシは熱心にノートを取っていた。

『なんて絶対的な伝説なんだ』と彼は思う。

その悲劇的な無垢さゆえに、タカシは運命を背負い、殉教した救世主が自分自身であるとは全く気づいていないのだ。


一人の学生が手を挙げ、対立する二つの頂点のクランの特性を完全に均等に併せ持つ完璧な『ハイブリッド・イジョウ』が、生物学的に可能なのかと尋ねた。


「絶対に不可能だ!」

教授が吠える。

「宇宙は、そのような存在を許さない。もしそのような怪物が存在すれば、それは両親の力を合わせたものを暴力的に凌駕するだろう!」


それを聞いたアイラは、自身の「死んだ」夫の、あのあり得ないほど完璧で色が異なる左右の瞳を思い出し、苦痛に満ちた悲しみで視線を落とした。

その隣で、タカシは祖父に真の緑と赤の瞳を隠すよう警告されていて良かったと、密かに安堵の息をつく。

それでも、彼の胸の中には虚ろな悲しみがこだましていた。自分にも、記憶に残るような両親がいればよかったのに、と。


ゴーン! キーンコーンカーンコーン!


講義が終わる。タカシが大理石の柱にもたれかかっていると、ユナ・ミズシが緊張した面持ちで近づいてきた。兄の凶行を、必死に謝罪するために。


ガサッ……。


翌朝、アヤシ・シズカミとアラシ・シズカミが到着し、邸宅のメイドたちが深くお辞儀をする。

アヤシは、命を救ってくれたタカシに感謝するため、アラシを無理やり引きずってきたのだ。


アラシは攻撃的に目を逸らす。

「……サンキュ」と彼は呟いた。


「オヤジ」と呼び続けられた復讐を果たそうと、タカシはニヤリと笑う。

「何だって?オヤジにも聞こえるようにもう少し大きな声で言ってくれよ」

タカシがからかう。


アラシの顔が怒りで燃え上がる。

「誰がお前なんかに教わりたいかよ!俺はレジェンダリー・マスターに教わるんだ!お前はたかだかCランクの力しか持ってないじゃないか!俺は直系の王子だ!今日から、お前は俺の公式のライバルだ!」


表向きは皮肉を言いながらも、タカシは自身の胸の中で、これまで感じたことのない深い温かさが花開くのを感じていた。

『友達ができるって、こういう感覚なのか?』


アヤシがタカシに、人生の究極の目標は何かと尋ねる。


「俺は……ただ普通の生活がしたいだけだ」

タカシは絶対的な誠実さで答えた。


アラシは嘲笑して爆笑する。

「最後までオヤジかよ!なんだよその目標は?」


ブゥンッ!


タカシの忍耐の糸が暴力的に弾け飛んだ。

「冗談じゃない!」

彼は咆哮する。


ブォォォォッ!


部屋の周囲の重力が跳ね上がる。

息の詰まるような『シン・ノア』が彼の体から漏れ出し、空気が泥のように重く感じられる。タカシの脳裏には、血まみれの廃墟と、あの野蛮で骨の砕けるような訓練の記憶がフラッシュバックしていた。


ドスッ……ドスッ……。


「タカシ!尊い客人に対して、そのような敵意を向けるものではない!」

ホールに足を踏み入れたアラタ・カイメツザが雷を落とす。


押し潰すような重圧が消え去る。

王族としての贅沢な人生しか知らないアラシは、タカシの苦痛に満ちたトラウマを理解することなど到底できず、緊張で口ごもった。


アラタの後ろからダイスケ・ミズシが姿を現し、若き王子に温かく挨拶をする。

ウェスト・ランドを占領しているミズシ・クランを憎悪しているアラシは、一言も発さずに怒って飛び出していった。アヤシは平謝りし、彼の後を追いかける。


ホールが無人になると、アラタとダイスケはスプリーム・カウンシルへと出発した。


その頃……。

ウェスト・ランドの漆黒の闇の奥深くで……。


シンセイがついに動いた。

一夜にして、ウェスト・ランドの宮殿に配備されていた近衛兵たちが、静かに白装束の男たちとすり替えられたのだ。

舞台は完璧に整った。彼らの血塗られたクーデターの幕が、今まさに上がろうとしている。


バンッ!


スプリーム・シティで、ユナ・ミズシは兄のユマを激怒して邸宅へと引きずり込み、野生化して制御を失ったことを厳しく叱責していた。

ユマは罪悪感と、シー・サーペントの憎悪が自分の精神を毒しているという恐ろしい事実に押し潰されそうになっていた。彼は二度とあの力は使わないとユナに誓い、この力を完全に取り除くことができればと切実に願うが、権力に飢えた父がそれを許すはずがないと絶望していた。


その間、完全に密閉された厳重な部屋の中で、ダイスケ・ミズシはスプリーム・チャンセラーのエマ・シズカミとアラタ・カイメツザの前に深く頭を下げていた。

彼はユマの命を救ってほしいとエマに懇願する。息子のカズキが自身の血脈を強欲に喰らわせたことに、恐怖し打ちひしがれながら。


エマは完璧な落ち着きを保って立っていた。彼女はダイスケを深く尊敬している。しかし、彼女は『ディバイン・スピリット』を操作することの破滅的な危険性について彼に警告した。


「前回、ウルフ・スピリットが操られた時のことを思い出すべきです」

エマは冷たく言い放つ。


24年前、彼女とカズミの一番上の兄、レンジ・カイメツザは、『クラン・ブラッディ・ウォー』の最中に自身の『イタズラシリツ』を用いてウルフを罠にかけた。その戦争でレンジは、彼のライバルであり恋人でもあったジナ・シズカミ(ジュンとハヤトの姉)と共に命を落とした。奴隷にされた精霊は、その場にいたほぼ全員を惨殺し、カイメツザの血脈を歴史上最も忌み嫌われ、恐れられる存在として決定づけたのだ。


エマはユマを助けることに同意するが、もしコアが彼の魂と融合していれば抽出は致死的であり、「第二のレンジ」を生み出し、絶対的な破壊を引き起こす可能性があると警告した。


ダイスケは孫を失う恐怖に躊躇するが、これが唯一の方法であると分かっていた。


世界の裏側で……。


『シンセイ』は3人の人物を召喚する。姿を消したファースト・スプリーム・チャンセラー、ジュン・シズカミが、古のテクノロジーによって24年の眠りから目覚めたレンジ・カイメツザとジナ・シズカミの隣に立っていた。


リーダーは復活した伝説たちを見つめる。

「お前たちを拒絶した者たちに、復讐を果たす時が来た」


シャキンッ!

暗闇の中で武器が構えられる。彼らはイースト・ランドへの進軍を命じられた。


私室に戻り、ユマは怪物になることを恐れ、ダイスケの膝の上で泣きじゃくっていた。

ダイスケはカズキのことは自分がどうにかすると保証し、ユマが危険な抽出に耐える覚悟ができているかを確認する。ユナが入ってくると、ダイスケは慌てて話題を2日後に迫った彼女とタカシの結婚式に変えた。ユナは猛烈に顔を赤らめ、部屋から逃げ出した。


首都の反対側で、タカシはアラタから自身の結婚の知らせを受けていた。

彼の顔は完全に無表情なままだった。

「あなたの望むように」

彼は冷たく答えた。


バチバチッ!


地下深くで、キュウカン・クランの最強のメンバーでありシンセイの中核メンバーでもあるカイト・キュウカンが、『テレポーテーション・ゲート』を開く。彼はリーダーに結婚式の詳細を報告した。


リーダーはカイトに、自身でゲートを開けないレンジ、ジナ、ジュンを転移させるよう命じる。


別のコアメンバーが、ヨシ・スナカゼ(サウス・ランド/土/毒)とライシン・エンゾ(ライシン・クラン)が完全にシンセイと同盟を結んだと報告する。彼らはアイラの「死んだ」夫の名を利用して、ゴールデン・ライオンのヨリシロである彼女をおびき出す計画を立てていた。


リーダーが雷鳴のような悪魔の高笑いを上げる。

「さて、どう出るか見せてもらおうか、老いぼれアラタ!」


スプリーム・シティで、ダイスケはユマをエマの元へ連れて行く。

エマは『クリムゾンレッド』の瞳を起動し、血と肉体の操作を用いてユマの内側を覗き込んだ。コアは彼の魂と融合しつつある。彼女は即座に11歳の天才、アヤシ・シズカミを召喚した。


ケンゾー・キュウカンのテレパシーとブラックオプス仕様の『テレポーテーション・ゲート』を用い、アヤシは数秒で到着し、アラシを完全に置き去りにした。


「『ブラッド・アート、ケツエキ・ソウサ:ブラッド・シール・バリア』!」


エマが封印を放つ。部屋全体——壁、天井、床が、血が滴るような恐ろしい赤に染まる。ユマはパニックに陥るが、アヤシは完璧に落ち着いて立っていた。カイメツザの尋問を目の当たりにしてきた残酷な子供時代が、彼女を鍛え上げていたのだ。


「『イタズラシリツ:ソウル・マニピュレーション・トラッカー・モード』!」


アヤシの緑色の瞳に、白く発光する文様が咲き乱れる。彼女はユマの肉体を透かし見て、彼の魂を罠に掛かった獣のように唸りながら押し潰している、ダークブルーと漆黒のシン・ノアの暴力的に汚染された塊を捕捉した。


エマはダイスケに絶対防御を展開するよう命じる。


「『タマシリツ:ミズヘキ』!」


ダイスケは巨大な間欠泉を解き放ち、建物全体を覆う破壊不可能なドームを形成し、さらに血塗られた部屋の内側に超高密度の二重の障壁を張った。


儀式が始まる。


「『イタズラシリツ:ケツエキ・アンド・ニクタイ・ソウサ』!」

エマが詠唱する。恐るべき赤と黒のオーラがユマの肉体を掴む。


「『イタズラシリツ:ソウル・アンド・シン・エナジー・ソウサ』!」

アヤシがそれに呼応する。まばゆい緑と白の光輪がユマの胸に押し寄せ、物理的に彼の魂を掴んだ。


純粋なエネルギーの総量が暴力的に跳ね上がる。激痛が物理的な衝撃波のようにユマを襲う。くぐもった、魂を削り取るような悲鳴が彼の喉から引き裂かれた。シー・サーペントを彼の魂から引き剥がす手術が始まったのだ。


ドガァァァァンッ!


密閉された部屋の圧力は天文学的なものだった。

シー・サーペントの暗黒エネルギーが暴力的に膨張し、ダイスケ・ミズシの巨大な外側の水障壁に亀裂を入れる。耳をつんざくような爆発音と共に、障壁は完全に砕け散った。深い青と漆黒のシン・ノアの巨大な柱が天に向かって噴出し、屋根を蒸発させ、スプリーム・カウンシルの建物全体を平らに吹き飛ばしたのだ。


ダイスケは瞬時に超圧縮された水の盾を放ち、崩れ落ちる瓦礫からエマ、アヤシ、そして安定を取り戻したユマを完璧に守り抜いた。


タカシやアイラを含む、近隣にいた全てのシン・ウォリアーたちが空を引き裂く暗い柱を目撃し、廃墟へと駆けつける。エマは瓦礫の只中に堂々と立ち、パニックに陥るエリートたちに秩序を保たせるため、いとも容易く嘘をついた。

「事態は収拾されています」


密室で、エマはダイスケに恐るべき真実を明かす。

シンセイはユマに伝統的な封印を施したわけではなかった。古のテクノロジーを用いて、精霊のエネルギーを彼のシステムに直接注入したのだ。それは、カズキを厳しく支配下に置くために設計された、歪んだ実験だった。


翌朝、太陽が昇り、『デイ・オブ・サルベーション』の夜明けが訪れる。


スプリーム・シティは壮大な祝賀の熱気に包まれていた。広大な領土のスプリーム・リーダーたちが首都へと降り立つ。


・ヒロシ・ミゾレ(ノース・ランド):霜と氷の支配者。

・ヨシ・スナカゼ(サウス・ランド):砂とファントム・リズムの毒の支配者(密かにシンセイと同盟)。

・リュウ・ケンザキ(イースト・ランド):猛火の達人。

・カズキ・ミズシ(ウェスト・ランド):首脳会議と娘の結婚式のために出席。

・ゼンゾウ・キンジョウカイ(パブリック・レルム):金属操作と高度な兵器を操る、台頭しつつあるワイルドカード。


彼らの隣には、独立した自由なクランが並ぶ。カグヤミ(隠密)、ライシン(雷)、ネンテン(テレパシー)、シンドウ(振動)、ジュウガイ(重力)、そしてキュウカン(空間操作)。


彼らは肩を並べ、壮大な団結を誇示して立っていた。それは美しい嘘だった。


温かい笑顔の裏で、毒を孕んだ冷戦が沸き起こっている。シンセイは世界に目に見えない網を静かに張り巡らせ、力の約束を囁き、全てのクランに陣営を選ぶよう強要していた。崩壊したスプリーム・カウンシルの建物の惨状は、武将たちの心に深い疑心暗鬼を植え付ける。カウンシルが自身の本部すら守れないのなら、一体誰を信じればいいというのか?


影の中で、忠誠のオークションが始まる。


・カグヤミ、ネンテン、キュウカンの各クランは、カズミとイースト・ランドへの絶対的な忠誠を公式に誓い、そこをエリート情報と空間転移の破壊不可能な要塞へと変貌させた。

・ジュウガイ・クラン(重力)はパブリック・レルムと統合し、彼らの技術的覇権に賭けた。

・シンドウ・クラン(振動)はウェスト・ランドに運命を託す。

・最も破滅的な力の移動として、ヨシ・スナカゼ(サウス)とカズキ・ミズシ(ウェスト)——共にシンセイの高位メンバー——が秘密裏に絶対的な同盟を結んだ。カズキは今や、挑むこと自体が純粋な自殺行為となるほどの巨大な軍事力を掌握したのだ。


たった一日で、世界の力の均衡は砕け散り、書き換えられた。今、孤立することは死を招くことと同義だった。


一方、エマ・シズカミはタカシの私有地を訪れていた。アラタに招かれ、タカシの迫り来る結婚式で母親役を務めることを受け入れた彼女は、彼の中に失われた自身の息子の亡霊を見ていた。


カズキ・ミズシは、娘の結婚式の準備から目に見えて姿を消していた。新たに手に入れた広大な領土と絶対的な力に酔いしれ、彼は家族の節目など全く意に介していなかった。


太陽が地平線に血のように沈む頃、シンセイは世界を根底から引き裂くための一手を打つ準備を整えていた。


ゴーン!

デイ・オブ・サルベーションの朝日が、四つの尖った超大国へと切り刻まれた世界を照らし出す。カズキ・ミズシの下にあるウェストとサウスの覇権がその支配を強める一方で、アルファの血脈によるイーストの要塞は、台頭するパブリック・レルムの金属兵器による戦争と、ノースの凍てつく孤立に対して反抗の姿勢を見せていた。


カツ……カツ……カツ……。

地下深くの深淵で、シンセイの壮大な欺瞞が白日の下に晒される。

「サーティーン」は単なる囮に過ぎなかった。真の『ゼニス・アッセンブリー』は、ジュン、ジナ、レンジ、カイト、ヨシ、カズキの6人の怪物で構成されていたのだ。彼らの頭上で、白く発光する緑色の瞳を持つフードを被ったリーダーが冷酷な命令を下す。

「スピリットどもを捕らえろ」


ヒュンッ。

首都がユナ・ミズシの結婚式の準備に追われる中、アイラ・シズカミは重い足取りで街を彷徨っていた。屋根から舞い落ちてきた謎の手紙は、森の中で「死んだ」夫との再会を約束するものだった。希望に目を眩まされた彼女は、伝説の『ゴールデン・ライオン・コア・ソード』を身に付け、綿密に仕組まれた罠へと真っ直ぐに駆け込んでいった。


パチ……パチ……パチ……。

タカシの邸宅は、絹と貴族の賓客による混沌とした海と化していた。ユナは不在の父を思って涙を流すが、ダイスケが彼女を慰める。

「私たちが、お前の家族だ」

タカシが王族の衣装に身を包んでこわばって立っていると、スプリーム・チャンセラーのエマが彼を激しい母親のような抱擁で引き寄せ、彼の胸に渦巻く息の詰まるような不安を溶かした。


ブォォォン!

森の中で、アイラは息を呑んだ。漆黒のポータルから3人の姿が現れたのだ。ジナ、カイト、そして姿を消したジュン・シズカミ。


ガシャァァァンッ!

アイラの山のように重い大剣が麻痺した指から滑り落ち、大地を抉って地震を引き起こす。彼女は亡き夫の親友の「亡霊」を凝視していた。


バンッ!

森の空気が歪み始めたまさにその時、アラシとケンゾー・キュウカンが空間の裂け目から飛び出してきた。敵の空間操作の達人が、「死んだ」はずの自身の息子、カイトであると気づき、ケンゾーの膝が崩れ落ちる。木々の間を風が吠え、壊れた男たちと砕け散った家族の息の詰まるような沈黙を運んでいった。


ドサッ。

ジナ・シズカミが嘲笑する。彼女の目がカッと見開き、神話の『レベル3:テンノコウリ』の姿を現した。白い幾何学模様が彼女の瞳孔を飲み込み、超新星のように燃え上がって空き地の重力を歪める。彼女は『インターディメンショナル・バッテリー』に接続し、殺戮のための無限のシン・ノアを吸い上げた。


「『イタズラシリツ:ソウル・エクストラクション』!」


アイラの体が痙攣し、液状の黄金のエネルギーが彼女の魂から引き剥がされ、暴力的にコア・ソードへと戻されていく。まばゆい黄金の閃光が夜空を貫き、何マイルも先からでもそれが見えた。

戦利品に満足し、ジナとジュンは虚無へと姿を消し、トラウマを負ったアラシに彼自身の隠された力を渇望させて残した。


カツ……カツ……カツ……。

首都での結婚式が終了する。それは増大する闇に対する、虚ろな勝利だった。タカシは心には毒を滴らせながら、明るい笑顔を取り繕う二面性のある政治家たちに吐き気を催し、泥のように重い眠りへと落ちた。医務室では、アイラの瞳がゆっくりと深く、鋭いクリムゾンレッド——カイメツザの真の刻印——へと戻っていく。


ギィィ……。

翌朝、アラタ・カイメツザはタカシを薄暗い部屋に呼び出し、最後の遺言を伝える。

「もし、お前が望む世界が存在しないのであれば……お前自身の手で創り上げなければならない」

600歳のマスターが警告した。その声には、永遠の別れのように感じられる重い厳粛さが込められていた。


ゴーン!

スプリーム・チャンセラーが絶対的な命令を下す。エリートの若者たち——タカシ、アイラ、ケンシ、アラシ、そしてミズシの兄妹が馬車に乗り込んだ。

目的地は『グランド・フォレスト・オブ・モンスターズ』。世界は戦争へと向かっており、彼らは死の顎から生き延びるため、血の契約である『サモニング・パクト』を結ばなければならないのだ。


カツ……カツ……カツ……。


グランド・フォレスト・オブ・モンスターズが、後継者たちの上に威圧的な影を落としてそびえ立つ。傷だらけの教官が命令を吠える。

「来るべき殺戮を生き延びるため、Aクラスのモンスターと血の契約『サモニング・パクト』を結べ。参加は任意だ。死を恐れる者は残れ」


臆病者たちは馬車へと撤退し、アヤシ、アイラ、ケンシ、アラシは暗闇へと駆け出していく。タカシは群衆から離れ、息の詰まるような木々の中へとたった一人で歩いていった。彼が狩るのは『コクシノアナコンダ』、トリプルSランクの頂点捕食者だ。


ブォォォン!


タカシは『イタズラシリツ:トラッカー・モード』を起動する。彼の瞳がシズカミの緑色に燃え上がり、元の色が異なる左右の瞳の状態へと戻った。

「『ダイレクト・ステップ』」

彼が囁く。空間の構造が折り畳まれ、巨大な獣の前に実体化した彼は、ダイヤモンド・プリズン・ボックスの封印を解いた。


ガキンッ!


彼は自身のシェイプシフターを刀に変形させたが、雷光の如き斬撃は厚い鱗に弾かれ、無害な火花を散らすだけだった。彼はそれを巨大な大剣へと変化させる。岩のような重みのある一撃が、深く苦痛に満ちた傷と共に鱗を粉砕した。アナコンダは顎を外し、紫色の腐食性ガスを森に氾濫させる。


シャァァァァッ!


深淵で進化したタカシの肉体は生来の免疫を持っており、彼は毒霧の中を平然と歩き抜けた。しかし、鉛が仕込まれた修練用の重り服がなければ、彼のスピードは制御不能だった。影からアナコンダが飛びかかり、その巨大な胴体が骨を砕くような力でタカシに巻きつく。


『お前はどれだけ信じられないほど弱いんだ?』

彼の精神の中で、レジェンダリー・ウルフが嘲笑する。

『もしお前がこの哀れな締め付けで死ねば、俺も死ぬ。それに……この肥大化したミミズには、少しばかり古い借りがあってな』


ブォォォォッ!


まばゆい、凍てつくようなオーラが噴出し、巨大な白狼が顕現する。その恐るべき重圧は瞬時に蛇の締め付けを粉砕し、トリプルSランクの獣を空き地の反対側へと吹き飛ばした。


ゴーン!


ウルフの終末的なオーラが木々の冠を越えて高くそびえ立つと、森中に緊急帰還の角笛が響き渡る。恐怖で麻痺したアナコンダは、絶対的な服従の証として頭を垂れた。タカシはシェイプシフターのダガーで手のひらを切り裂き、獣の鼻先に乗って、血の契約である『サモニング・パクト』を結んだ。


パチ……パチ……パチ……。


タカシは森の境界線から歩いて出てきた。惨劇を知らない臆病なエリートたちは、彼を嘲笑する。

「やっぱりCランクじゃ何も見つけられなかったか!俺たちですらやらなかったんだ、あいつにできるわけがない!」

タカシはその嘲笑をそのまま聞き流した。世界を終わらせるほどの秘密が今、彼の血と結びついているのだから。


シンセイを狩るために影へと足を踏み入れる前、アラタ・カイメツザは極めて重要なものを残していた。彼は朽ちかけた古い文献の束を、エマ・シズカミの机の上に置いたのだ。その脆いページの中には、世界が血を流してまで葬り去ってきた、六百年に及ぶ禁断の歴史と秘密が眠っていた。


それに続いたのは、欺瞞に満ちた一年間の平和だった。タカシは普通の生活を受け入れようとし、ユナ・ミズシが刃を置き、妻として静かに彼のそばで暮らすことで、過去の血痕は一時的に薄れていった。


だが、平和は幻想だった。

迫り来る嵐を察知したアラシ、アヤシ、アイラ、そしてケンシは、自らの肉体を絶対的な限界まで追い込んでいた。他のクランの戦士たちと共に、彼らは絶え間なくそれぞれの『シリツ』を磨き上げ、避けられないと分かっている戦争に備え、タカシの家を頻繁に訪れていた。


街の城壁の安全な内側から遠く離れた場所で、アラタの容赦ない追跡は、ついに組織の本部へと彼を導いた。しかし、彼が見つけたのは聖域などではなかった。彼は、綿密に計画された屠殺場へと足を踏み入れたのだ。


組織の最高位の怪物たちから奇襲を受け、伝説のマスターは身の毛もよだつような死闘を繰り広げた。欺瞞によって致命傷を負わされ倒れゆく中、彼の視線は黒幕を捉えた。その恐るべき真実が、彼の最期の瞬間に彼を麻痺させた。

最高指導者は、六百年前の、アラタ自身の歪んだ鏡像だったのだ。絶対的な真実は、彼と共に泥の中に葬り去られた。


同時に、組織は心理的拷問の傑作を紡ぎ始めた。

彼らはジュン・シズカミの精神に毒を盛り、カズキこそが彼の兄と甥を惨殺した屠殺者だと信じ込ませたのだ。深い悲しみに目を眩まされたジュンは、復讐のための狂暴な道具へと変貌した。


組織はブリリアントでハイリスクな演劇を仕組んだ。ジュンの暴走をエマ、アヤシ、アラシに漏らし、彼ら自身の低位メンバー6人を煙幕として配置したのだ。威圧的に見えるが、彼らはチェス盤の上のただの捨て駒に過ぎなかった。


ジュンは自然の猛威のように到着した。彼は軽々と6人の駒を惨殺し、一瞬の躊躇もなく彼らを引き裂いた。

だが、真の悲劇はその数秒後に起こった。

彼は何の躊躇いもなく、組織のエリート「トップ・ツー」の一人である彼自身の姉、ジナ・シズカミの心臓に刃を突き立てたのだ。


アヤシたちが駆けつけたのは、肉が引き裂かれるそのおぞましい音を聞いたまさにその時だった。

ゴールデン・ライオンの精霊がアイラから引き剥がされて以来、自身の父親の腐敗を疑い続けていたアヤシの精神は、ついに砕け散った。家族の血を浴びた父親を見つめながら、彼女は自身の手で彼を処刑することを決意する。


父と娘の間に、恐るべき戦いが勃発した。アヤシは苦痛に満ちた真剣さで戦い、己の殺意の全てを解き放った。だが、ジュンはただゲームをしているだけだった。


攻撃を受け流すたび、彼は無言で娘に戦闘の残酷な最終教訓を教えていた。その無言の教えが終わった時、彼は意図的に防御を解いた。アヤシの刃が彼の心臓を貫き、父親の温かい血が彼女の顔に飛び散る。

同時に、組織の暗殺者たちが影でカズキを処刑し、この大虐殺の全責任をトラウマを負った若者たちに着せたのだ。


この混沌に乗じ、シンセイはウェスト・ランドの完全な支配権を握り、サウス・ランドをも飲み込んだ。組織の圧倒的な力に目を眩まされ、恐怖に怯える大衆は、当初は新たな支配者たちに平伏した。


しかし、ジナの残酷な死の知らせがレンジ・カイメツザの元に届き、彼に残されていた僅かな正気を完全に粉砕した。純粋で精神異常な悲しみに突き動かされ、レンジは誘拐され歪められた実験体の軍隊をスプリーム・シティへと解き放った。


彼は大都市の真上に、巨大で息が詰まるような『ブラッド・バリア』を構築する。ドーム内の空気は有毒になり、エリート戦士たちでさえ膝をつくほどの圧迫感のある重圧に満ちていた。エマでさえ自身の力が衰えていくのを感じながら、燃える街の中で必死に無実の人々を避難させようとしていた。


その時、気温が急激に低下した。タカシが戦場に足を踏み入れると、この世のものとは思えない圧力で地面がひび割れる。彼がレンジと対峙した時、古の怒りに満ちた声が彼の精神の奥底でこだました。レジェンダリー・ディバイン・スピリット・ウルフだった。


『私が24年前、どうして奴の支配下に落ちたか知っているか、タカシ?』

ウルフの声には、何世紀にもわたる悪意が滴っていた。

『再生能力を超え、私は「変身トランスフォーメーション」の力を持っている』

これこそが、タカシのシェイプシフター武器が無限にその形態を変えられる理由だった。


三世紀半前、世界を封印した後、ウルフは人類が変わったかどうかを確かめたいと思った。彼は『変身』を用いて人間の姿をとったが、『創造の賢者セージ・オブ・クリエイション』と『破壊の賢者セージ・オブ・デストラクション』が彼に厳格な制限を課し、真に人類を理解できるよう、その力をAランク以下にまで落としたのだ。


その人間の姿で、ウルフはレンジと友人になった。当時、レンジはジナを深く愛していたが、長老たちと『クラン・ブラッディ・ウォーズ』の憎悪の連鎖が二人を引き裂いていた。狂気の淵へと追いやられたレンジは、ウルフの正体と、その人間の姿の弱点を発見したのだ。


いかなる手段を使ってでもクラン戦争を終わらせようと絶望したレンジは、自身の暗黒の『イタズラシリツ』を用いて弱体化したウルフを洗脳し、彼を戦場の中央へと直接放り込んだ。


『奴の憎悪、カイメツザの呪われた血……それが私に感染したのだ』

ウルフが咆哮する。

『その憎しみに突き動かされ、私はあの戦場にいた全ての人間を惨殺した。私が何度も奴らを救ってきたというのに、奴らはそのことで私を軽蔑している!そして今日、レンジはそれと全く同じことを繰り返そうとしている!』


その悲劇的な真実を聞き、タカシの瞳は終末的な怒りに燃え上がった。その後に続いた激突は、街の区画を平らに吹き飛ばした。タカシとウルフは彼らの恐るべき力を融合させ、物理的にレンジをこの世から消滅させたのだ。


自分たちを救った者の純粋な恐怖を目の当たりにし、シンセイに対する大衆の認識は砕け散った。だが、ダメージはすでに与えられていた。組織は真の目的を達成したのだ。


一方、タカシの力の恐るべき誇示は、24年前のトラウマを呼び覚ました。市民たちは彼を救世主とは見なしていなかった。かつて彼らの祖先を殺戮した怪物そのものを見たのだ。彼を追放しろという叫び声は、耳をつんざくほどになった。


エマは不可能な窮地に立たされた。彼女はレジェンダリー・マスターの手紙を読んでおり、この少年が、自分が18年間喪に服してきた息子であることを知っていた。それでも、市民の暴動を防ぐため、涙を流す母親は自身の血を分けた我が子を、街から永遠に追放することを公に宣告しなければならなかったのだ。


タカシは荒涼とした荒れ地へと去り、身重のユナを残していった。エマは静かに義理の娘を自らの庇護下に置き、彼らの関係の真実を厳重に守られた秘密とした。影で、シンセイは彼らの恐るべき実験の最終調整を終え、破滅的な世界大戦を勃発させる準備を完全に整えていた。


数ヶ月後、分娩室は死のような息が詰まる沈黙に包まれた。

ユナの男の赤ん坊が目を開き、助産師たちは恐怖に息を呑んだ。その子の瞳は、突き刺さるような、不自然な緑色だったのだ。


それはあらゆる生物学の法則に反していた。タカシの青でもなく、カイメツザの特徴である赤でもない。不貞と悪魔の呪いの噂が瞬時にユナを取り囲んだ。限界まで追い詰められ、エマはついにその幻想を打ち砕いた。


「この子は私の血肉です!タカシは五歳で死んだと思われていた私の息子であり、この子はその正当な後継者なのです!」

彼女の告白はユナに対する中傷を沈黙させたが、その恐怖をさらに最悪なものへと変異させた。大衆は今や、タカシが二つの伝説的なクランの真の、予測不可能な『ハイブリッド』であることを知ってしまったのだ。


タカシは暗黒の伝説となり、その名を聞いただけで戦士たちの血を凍らせる幻影となった。

彼は自身の緑色の瞳と、それが持つ特異な力について完全に理解していた。しかしタカシが知らなかったこと——彼の魂の最も深い深淵に埋もれたままだったもの——は、彼が生まれたまさにその瞬間、父親が彼の中に封じ込めた絶対的で宇宙的な力だった。彼の最初の呼吸だけで、宇宙の構造そのものを暴力的に揺るがした、底知れず恐ろしい力。


空は黒と深紅の、有毒で息の詰まるような靄へと変貌していた。ついに沈黙を破ったシンセイは、歴史上最も恐ろしい世界大戦の火蓋を切った。


彼らの攻撃の始まりは、目覚めながらにして見る悪夢だった。怪物と遺伝子操作された人間からなる終わりのない軍隊が戦場に溢れ返った。古代のシン・ノア科学、生物学、そして物理学の禁断の融合から鍛え上げられた忌まわしき者たち。


この終末的な脅威を前に、クランたちは古の怨恨を埋め、団結して戦場へと進軍した。しかし、彼らはレジェンダリー・マスター・アラタの孫に他ならない、ゼンジ・カイメツザによって仕組まれた屠殺場に足を踏み入れているとは全く気づいていなかった。


六百年前、自身の祖父であるアラタと母方の祖父であるジロウ・シズカミの間の血塗られた激突を目撃し、両親の死を耐え忍んだ後、ゼンジはこの残酷な世界を見限った。長老たちの終わりのない戦争と、権力に対する飽くなき渇望が、彼を空っぽにしてしまったのだ。彼は六世紀もの間、ただ一つの究極の目標を抱き続けてきた。『指導者のいない世界リーダーレス・ワールド』の創造——支配者も、権力欲も、無意味な戦争も、強欲による無実の命の犠牲も存在しない、新たな時代。


どうして定命の者が六百年も生き延びることができたのか?その秘密は、彼の祖父であるジロウ・シズカミの最後の賭けにあった。六世紀半前、アラタに対する避けられない敗北を悟ったジロウは、次の戦争に備えて『ディバイン・スピリット・スノーマン・イエティ』を殺害した。そして、そのコアと無限のシン・ノア・エネルギーを、自身の孫であるゼンジの中に封印したのだ。封印された精霊を宿すことは、不自然なほどに寿命を延ばす。この神聖な力がゼンジの老化を止め、彼を不死の黒幕として保存したのである。


その六世紀の間、ゼンジは単に古代の祖先たちの墓からDNAを抽出していただけではなかった。

強大な力を持つ者たちが時代を超えて命を落とすたび、彼は密かにその死体を掘り起こし、収集し続けてきたのだ。


今日、彼の暗黒の生物学の集大成が白日の下に晒された。

古代の科学と遺伝子工学を用い、彼は自身の実験室でこれらの肉体を完璧に再構築し、死の淵から蘇らせた。

その中には、ファースト・スプリーム・チャンセラー・ジュン、頂点に君臨する伝説ジナ、そして最近惨殺されたばかりのレンジ・カイメツザ——かつて世界を震え上がらせた名前が並んでいた。

彼らの隣には、カイメツザとシズカミの初代創設者である、古の『アンセスターズ』の姿もあった。


科学が彼らの物理的な肉体を修復したとはいえ、魂がなければ、それは単なる空っぽのウツワに過ぎない。

彼らを目覚めさせるため、ゼンジは自身の血脈の真の力を着火させた。

彼はカイメツザの名を冠していたが、その瞳はシズカミである母親から受け継いだものだった。


カッ!


突如、ゼンジの瞳の中の白い文様が完全に進化し、瞳孔を覆い尽くすように拡大する。

死にゆく星の爆発のように、放射状の緑色の光が噴出し、戦場全体を照らし出した。

これこそが彼の絶対的な頂点——『レベル3:テンノコウリンガン(セレスティアル・ディセント・アイ:スーパーノヴァ)』。


内に封印されたスノーマン・イエティと、改造されたレジェンダリー・ゴールデン・ライオンの力に後押しされ、彼のシン・ノアはZランクの領域を掠めていた。

この無限のエネルギーを注ぎ込み、彼は『ソウル・パクト』を起動する。レンジ・カイメツザの魂を死の谷から暴力的に引き剥がし、再構築された死体の中へと閉じ込めた。

ゼンジの持つ膨大なエネルギーの備蓄があれば、彼の力が尽きない限り、これらの魂を肉体に縛り付け、奴隷として留めておくことが可能だった。


蘇ったレンジの肉体が目を開いた瞬間、死のような沈黙が戦場を窒息させた。

レンジの白目は漆黒に染まり、瞳孔の中の進化した文様は、燃え盛る石炭のように輝く、クリムゾンレッドの幾何学的な形状として発現していた。

『レベル3:キョムナラクガン(ヴォイド・アビス・アイ)』。


ゼンジの絶対的な意志に縛られ、レンジが宙に手を掲げる。

彼の視覚能力を用い、彼は空間の構造そのものを引き裂いて物理的なポータルを穿った。


ゴゴゴゴゴゴ……!


『ディメンショナル・リフト』——別次元への巨大なゲートが暴力的にこじ開けられた。


次の瞬間、ゼンジは自身の瞳術と『ソウル・サモニング』を再び解き放った。

裂け目の一つに腕を突き込み、彼は自身の祖父であるジロウ・シズカミを異次元から暴力的に引きずり出した。

そして、遺伝子操作によって蘇ったアンセスターズ——カイメツザとシズカミの魂が戻された肉体——の隣へと、彼を瞬時に叩き落としたのだ。


ズズンッ!


ジロウの足が大地に触れた瞬間、その場にいた全ての戦士たちの胸に、押し潰すような宇宙的な重圧がのしかかった。

ジロウは普通の人間ではない。彼は『マーク・オブ・デストラクション』——『ブラック・ドラゴン』の究極のヨリシロなのだ。

何世紀も前、ジロウはドラゴンの魂を斬り殺したが、精霊のコアからのシン・ノアのエネルギーは抽出され、彼自身の肉体へと吸収されていた。

かつて世界の半分を灰燼に帰したその壊滅的な力が、今、ジロウの血管の中で暴力的に沸騰していた。


ゼンジは今や、この終末的な軍団を指揮していた。彼に刃向かえる者など、もはや誰もいない。

怪物の軍隊、ファースト・チャンセラーのジュン、恐るべきジナ、次元を引き裂くレンジ、そしてブラック・ドラゴンの力で武装したジロウ・シズカミ。

彼らの背後には、両クランの古代のアンセスターズが立っていた。


これは単なる戦闘ではない。絶対的な大異変カタクリズムだった。

三世紀半前の大災害すら、今まさに目の前で繰り広げられている破滅に比べれば色褪せて見える。

世界の終わりはもはや脅威ではなく、絶対的な確実な未来となっていた。

この軍団を打ち破ることなど不可能だ。残された戦士たちが戦うことを選ぼうと、武器を置くことを選ぼうと、どちらの道も全く同じ、避けられない忘却へと続いているのだから。


戦場は希望の墓場と化していた。

連合したクランは魂の最後の一滴まで絞り出して戦っていたが、蘇った伝説たちとブラック・ドラゴンのヨリシロを前にしては、その努力は要塞に小石を投げつけるようなものだった。

絶望が生者たちの首を絞め上げ始めたその時、スプリーム・シティの基盤そのものを揺るがすような地響きが轟いた。


タカシが、戦場に降り立ったのだ。


彼はまず、野生のエネルギーで銀色の毛並みを逆立てた『レジェンダリー・ディバイン・スピリット・ウルフ』を解き放つ。

だが、ゼンジ・カイメツザはただ冷笑しただけだった。手首を軽く弾き、ゼンジは『ソウル・パクト』を起動する。

タカシの精神をへし折る、たった一つの魂を召喚するために。

——タカシ自身の父親を。


だが、その儀式は男の意志を縛ることに失敗した。

タカシの父親は、決して彼から離れてはいなかったからだ。彼のエッセンスは息子の中に錨を下ろし、休眠していただけなのだ。

肩を並べ、父と息子は終末的な軍団と激突した。


しかし、二人の力を合わせてもなお、彼らは押し込まれていく。何世紀にもわたって世界を恐怖に陥れてきたディバイン・スピリット・ウルフでさえ、衰えを見せ始めていた。

歴史上初めて、ウルフは冷たく麻痺するような恐怖を感じていた。

敵のせいで震えているのではない。タカシの内側で目覚めようとしている力に、震え上がっていたのだ。


「時が来たぞ、息子よ」

父親がタカシの心臓に手を置き、静かに囁いた。

「私が封印したものを解き放て。お前がそうなるべくして生まれた存在に、成るのだ」


パキィィィィィンッ!!


『ブラックボックス・プリズン』を粉砕する咆哮と共に、タカシの本来のハイブリッドの力の封印が解き放たれた。

彼の瞳は、かつて誰も見たことのない形態へと突然変異する——深淵アビス超新星スーパーノヴァの強烈な光が融合し、燃え盛っていた。

その瞬間、ディバイン・スピリット・ウルフが恐怖に怯え、小さく鳴き声を上げた。

タカシの中に封印されていた『コズミック・パワー』が、いかなる精霊よりも遥かに古く、破壊的であることを本能で悟ったのだ。


タカシはただ自身のクランの力にアクセスしただけではなかった。彼は不可能な領域へと到達したのだ。

たった一秒で、彼は自身の同期率を50%から完全な100%の『マニフェステーション』へと加速させ、『エイト・ソヴリンズ・オブ・ザ・トゥー・パス(二つの道の八君主)』を召喚した。


『カイメツザ・パス・オブ・フィジカル・テラー』と『シズカミ・パス・オブ・ディバイン・セレニティ』が彼を通じて顕現し、戦場の空気が暴力的にひび割れる。

自然界の法則を完全に無視した、爆発的な石炭の赤と鮮やかな緑の瞳を輝かせ、タカシはその中心に立っていた。


彼は100%の『フル・マニフェステーション』で、カイメツザの存在エンティティを呼び覚ました。


・『アラガミ』:絶対的な物理的質量を持つ巨大な血の巨人。その細胞再生は瞬時であり、いかなる刃もその体に傷跡を残すことはできない。


・『カグツチ』:血塗られた大地を溶解酸とマグマの海へと変え、触れるもの全てを灰燼に帰す火山獣。


・『エンマ』:ただ一度の呼吸で完全な神経ジャックを実行し、敵の先鋒部隊全体を麻痺させる有毒の幻影。


・『アラミタマ』:タカシを包み込む、骨と棘で構成された野生の獣のような装甲。血が流れるたびに、より巨大で凶暴なものへと成長していく。


同時に、彼は神聖なる均衡を保つため、シズカミの存在エンティティを召喚した。


・『アマツ』:怪物たちに天の炎の雨を降らせる、純粋なプラズマで構成されたそびえ立つアバター。


・『シナツ』:次元の構造そのものを切り裂く風の刃を放つ、至高のサイクロン。


・『オモイカネ』:タカシの精神を拡張させ、蘇った全ての伝説たちの思考と動きを同時に読み取ることを可能にする。


・『ニギミタマ』:着弾と同時に全ての有毒物質を浄化し、暗黒エネルギーを消滅させるまばゆいオーラを放つ、至高の魂のエンティティ。


それぞれのエンティティにより、戦場は二つの前線に分断された。

エマ、ハヤト、そしてカズミが、ジナ、ゼンジ、ジュンに対する防衛線を死守する中、タカシはたった一人で『グレート・ディザスターズ』を迎え撃つ。


彼は不可能な壁に立ち向かう唯一の希望として立っていた。

恐るべきジロウ・シズカミ(ヨリシロのウツワ)、そして両クラン——カイメツザとシズカミの初代アンセスターズそのものを相手に。

死と再生の光輪のように背後で揺らめく8つの巨大なエンティティと共に、タカシは六百年間続いた戦争を終わらせる準備を整えた。


戦場はただ揺れただけではない。神話の重圧の下で悲鳴を上げていた。

アイラ、アヤシ、ケンシ、そしてアラシは白熱する光の残像となり、彼らの50%の『エンティティ・マニフェステーション』が、絹を切り裂く刃のようにシンセイの改造人間の隊列を蹂躙していく。

だが、彼らは揺らめく蝋燭に過ぎなかった。

タカシこそが、絶対的な太陽だった。


8つの巨大な影——『ソヴリンズ・オブ・クリエイション・アンド・デストラクション』が彼の背後にそびえ立ち、そのシルエットが空に焼き付いていた。


血塗られた千年の歴史の中で、複数のエンティティをその身に繋ぎ止めた戦士は一人として存在しなかった。だが、タカシは8つ全てを宿していた。

『セージ・オブ・クリエイション』と『セージ・オブ・デストラクション』の相反するエネルギーが世代を超えて彼の骨髄の中で融合し、空気が液状の鉛のように重く変異する。


「終わらせるぞ」

タカシの声が響き渡る。それは彼の喉からではなく、虚無そのものから発せられていた。


シュンッ!


彼が動く。世界はその一撃を見ることはできず、ただ結果だけを目撃した。

ヨリシロであるジロウ・シズカミが、骨の髄まで凍りつくような最後の咆哮を上げる。ブラック・ドラゴンのコアが粉砕されたのだ。

ドラゴンのエネルギーは単に霧散したのではない。完全に消去された。


同時に、ゼンジ・カイメツザが崩れ落ちる。彼のZランクの備蓄が絶対零度ゼロに達したのだ。

繋がりが断ち切られた。蘇った伝説たちは塵となって崩れ去り、シンセイという組織は壊れた歴史の記録の中へと完全に消え去った。


その後に訪れた沈黙は、何十億もの死者の重みで息苦しいほどだった。

地球の半分は灰の荒れ地と化していたが、六世紀ぶりに、風から戦争の匂いが消えていた。


年月が流れ、脆い平和が訪れる。

イーストとウェスト・ランズは消滅し、生存競争の炎の中で鍛え上げられた単一の統一領土へと取って代わられた。

ケンシ・カイメツザが文民秩序の顔である『スプリーム・リーダー』として尖塔の頂に立つ。しかし、この地の真の影の支配者は、『スプリーム・チャンセラー』であるアラシ・シズカミだった。


新世界は古い君主制を放棄した。

今や全ての土地が、行政のためのスプリーム・リーダーと、武力のためのスプリーム・チャンセラーを独自に輩出している。

リーダーが王笏を握る一方で、チャンセラーは軍の魂——怪物たちを遠ざける真の権力——を握っていた。


鋼の政治から遠く離れた人里離れた邸宅で、タカシは地平線を見つめていた。

彼の左にはユナが立ち、その隣には彼らの長男がいる。その瞳は鮮烈で突き刺さるようなシズカミの緑色だった。

右にはアイラが立ち、末娘を抱きかかえている。彼女の瞳もまた、兄と同じエメラルドの輝きを宿していた。

二人の間には次男が反抗的に立っており、彼の瞳はカイメツザのクリムゾンレッドに燃え上がっている。


アルファ・クランの連鎖は再び封印された。

アラシは従姉妹でありジュン・シズカミの娘であるアヤシと結婚した。ケンシはユナの妹であるユミと結婚し、己の家系をミズシの血脈と結びつけた。

エマ、ハヤト、カズミ、そしてツグミ——かつての戦争の巨人たちは今、一つ屋根の下で共に暮らし、彼らの刃はついに鞘の中で眠りについていた。


しかし、その平和は嘘だった。

大地が、タカシのハイブリッドの血を沸騰させるような周波数で脈打ち始めたのだ。


彼らが知る歴史はおとぎ話に過ぎなかった。

千年前、『レディ・オブ・デストラクション(初代セージ・オブ・デストラクション)』がこの世界に降臨した。Zランクなど子供の玩具に過ぎない領域からやって来た、『アルティメット・クリーチャー』だ。

彼女は世界で唯一のZ+ランクの人間である『セージ・オブ・クリエイション』と結ばれた。

その宇宙的な結合から双子が生まれた。父親の緑の瞳を受け継いだシズカミと、母親の赤い瞳を受け継いだカイメツザである。


ズズズズ……!


大地がひび割れ、新たな存在が姿を現す。彼女の兄——この星を訪れた2体目のアルティメット・クリーチャー。

彼は、生まれたばかりの赤子がSランクであり、世界を破壊する力が生まれながらの権利である種族の出身だった。


ゼンジとの六百年に及ぶ戦争など、単なる小競り合いに過ぎなかった。

瞳の真の支配者たちが、己の遺産を取り戻すために帰還したのだ。


空はただ暗くなったのではない。血のように赤く出血し始めた。


千年前、レディ・オブ・デストラクションは自身の喜びの廃墟の中に立っていた。

真のアルティメット・クリーチャーである彼女の兄が星々を越えて現れ、その存在自体が光を喰らう虚無となっていたのだ。


自身の血を引く双子を救うため、セージ・オブ・デストラクションは自らを燃やした。

彼女のZ+ランクのエッセンスの一滴一滴が、まばゆい白熱の錨へと変わる。彼女は単に彼を追放したのではない。自らの魂で次元のゲートを焼き切り、決して開けられることのない錠前へと己の命を変えたのだ。


だが、永遠とは待つには長すぎる時間だ。


現在。タカシは庭で花びらが落ちるのを見つめていた。

鼓動一つの間、世界は完璧だった。

しかし次の瞬間、空気がギザギザのガラスへと変異する。古代のアルティメット・クリーチャーである『エンヴィアス・ソヴリン』が、現実世界へと這い戻ってきたのだ。大地を呻かせるような周波数の高笑いを響かせながら。


タカシは瞬き一つしなかった。

彼の傍らで、息子たちがオーラを着火させる。彼らが放つ重圧が融合し、足元の大地を液状化させていく。


「一緒に行くぞ」

タカシの声は、地を這う雷鳴のようだった。


彼らはただ戦ったのではない。存在の織り目そのものを引き裂いた。

たった一秒の間に、彼らは3つの異なる次元を明滅するように駆け抜けた。終わりのない氷の世界、悲鳴を上げる炎の領域、そしてホワイトノイズの虚無。

タカシのハイブリッドの血が沸騰し、セージ・オブ・クリエイションとセージ・オブ・デストラクションのエネルギーが融合して、一本の終末的な槍へと変貌する。


時空を超えてこだまする咆哮と共に、彼はその一撃を急所に叩き込んだ。

アルティメット・クリーチャーはただ死んだのではない。存在そのものを解体されたのだ。その原子は数十のタイムラインに散らばり、生者の記録から完全に抹消された。


だが、その代償はタカシの肌に刻み込まれていた。

光の亀裂が蛇のように彼の両腕を這い上がる。彼のウツワが、砕け散ろうとしていた。


地球に戻ると、空気はオゾンと別れの匂いで重かった。

タカシは長男を見つめる。震える手で、彼は自身の胸の中へと手を伸ばした。

『レジェンダリー・ディバイン・スピリット・ウルフ』が、主から引き剥がされ少年のコアへと強制的に移される中、哀切な遠吠えを上げた。


千年の重みが、ついにタカシの瞳に宿る。

彼は『ミレニアム・スランバー』へと身を委ねた。彼の肉体は生きた翡翠の彫像へと変わり、意識は再生のために深い暗闇へと沈んでいった。


救世主が眠りにつく間、血脈は融合を果たしていった。


・長男(ユナの息子):ウルフ・スピリットと結びつき、ケンシの娘と結婚してカイメツザとシズカミの同盟を封印した。


・次男(アイラの息子):アラシが自身の魂から『フェニックス・スピリット』を抽出し、アラシの娘と結婚する前の彼の中にそれを封印した。


・末娘(アイラの娘):ユナの最後の行動は、自身の精神に手を伸ばし、『シー・サーペント・コア』をこの少女に贈ることだった。その後、彼女はケンシの息子と結婚した。


世界は安定した。

シン・ノアのシステムは神話となった。「瞳」の物語は、子供に聞かせるおとぎ話になった。


それから千年後。


世界はもはや緑ではなかった。冷たい鋼鉄と脈打つネオンの迷宮と化していた。

星々から来た『エクソ・タイランツ』が人類を単なる生体バッテリーへと貶め、彼らの故郷で奴隷として支配していたのだ。


厳重な警備が敷かれた研究施設の地下層で、一つの封じ込めポッドが蒸気を噴き出した。


プシュゥゥゥ……。


タカシの心臓が鼓動した瞬間、実験室の重力が反転した。

彼が生まれたあの日に星を揺るがしたのと同じ、魂を押し潰すような重圧が再び噴出する。補強された鋼鉄の壁が歪み、エイリアンの衛兵たちは床に平たく叩き潰され、彼らの装甲はアルミホイルのようにクシャクシャに潰れた。


人工的な光の中へとタカシが足を踏み出す。彼の古代の外套は、クロムメッキの世界とは対照的だった。

彼のエネルギー波長は宇宙のサイレンとして機能し、軌道上の全てのエイリアン船に警告を絶叫した。

『ソヴリンが、帰還した』と。


だが、運命は残酷なユーモアのセンスを持っていた。

彼の前に立っていたのは、二人の人間の奴隷の少女たちだった。彼の心臓を砕くような顔立ちをした二人。彼女たちは、アイラとユナの完璧で、頭から離れない転生体だったのだ。


『ザ・シールド・セイヴィアー』は機械の世界に立ち、決して彼を放すことのない義務を背負いながら、再び過去の永遠の愛の三角形に囚われていた。

神話の時代の遺物である彼は、Zランクの神話が一体何を引き起こすことができるのか、この新しい世界に正確に見せつける準備ができていた。

初めまして。パキスタンの大学生、ムハンマド・ワカス(Muhammad Waqas)と申します。


本作は単なるプロローグではありません。最強の力を持つ赤子の誕生から始まり、その1000年後の世界、そして息子のサーガ(Son Saga)から再覚醒(Reawakening)に至るまでの壮大な旅路を一挙に凝縮した特別読み切り版です。


私は日本のアニメやマンガ、そして文化を心から尊敬しています。私の夢は、この物語がいつか日本でアニメやマンガになることです。そのために、現在英語サイト「Royal Road」で10万文字を超えて連載中の本編から、物語の核心となるエピソードをこの一冊にまとめました。


学生のためプロの翻訳を雇う余裕がなく、AIの力を借りて一生懸命翻訳しました。不自然な日本語があれば温かく見守っていただけると幸いです。


【コラボレーション・漫画化の募集】

物語の設定やプロットはすべて完成していますが、私には絵の技術がありません。もしこの壮大な物語に興味を持ち、マンガ化やイラスト、あるいは翻訳サポートなどで協力してくださるプロの方がいらっしゃいましたら、ぜひご連絡ください!


連絡先:thesealedsaviourofficial@gmail.com


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