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「誕生日おめでとう!」

ラッピングした包みを渡すと、叶澄は嬉しそうに受け取ってくれた。

「ありがとう、葵ちゃん。開けていい?」

中学からの親友の笑顔は眩しい。叶澄は、了承の言葉を聞くと、生き生きとラッピングを外しはじめる。プレゼント喜んでくれるかな。

「キーケース?え、嬉しい」

プレゼントに喜ぶ姿はこちらの顔までもほころばせる。二日連続で、ショッピングモールに行って、プレゼントを探した甲斐があった。

当初は、手帖やハンカチなどを考えていたが、納得のいくものはなかった。そこで、次の日に少し離れたもう一つのショッピングモールに向かって、見つけたのがキーケースだった。柔らかい桃色に黄金色の金具、水色のリボンみたいなラインがよく映えていた。

「このKは、私のイニシャル?」

キーケースについていた、Kをモチーフにしたキーホルダーを指差しながら、叶澄が聞く。それに対して、そうだよと頷くといいねぇと返された。

当初は、叶澄の名字である森野からMをモチーフにしたキーホルダーにする予定だったが、Kをモチーフにしたキーホルダーを目にした瞬間、気が変わった。Mの水色と緑の色を使用したデザインより、Kの淡い黄色とピンクの色遣いの方が叶澄に似合う。そう感じた。

その私の直感は当たっていた。叶澄の笑顔を見て、確信した。

「葵ちゃん、プレゼントありがとう!」

「どういたしまして」


夏休み真っ只中の今日。私は、親友の叶澄の誕生日を祝うために、カフェに来ている。中学の同級生だった叶澄とは、真反対と言っても過言ではない程に家が離れている。だから、いつも会うのはお互いの家の中間地点にあるカフェ。

「それにしても、かなり久しぶりだね」

「そうだね、高校もかなり離れてしまったしお互い忙しいし」

家が真反対になると、近くの高校も変わってしまう。最初は同じ高校への受験を試みたが結局、距離が遠いことで断念してしまった。そうなると、高い頻度で会うことは難しくなる。

そのうえ、私も叶澄も高校三年生だ。そう、進路を考える時期だ。

「叶澄も私も大学受験の年か」

「そうだね、葵ちゃんはどこ志望なの?」

「国立は厳しいかなって思ってる。葵ちゃんは国立でしょ?」

「うん、近くの国立大にチャレンジする」

高校三年生に上がってすぐに受けた模試の結果が振るわなかった私は、早い段階で国立を志望校から外した。元々、特待制度のある私立や公立の大学を視野に入れていたことも容易に決断を変更できた理由の一つである。

そんな私と反対に叶澄は、ずっと近隣の国立大学を志望している。きっと、勉強をずっと頑張って成績を落としていないのだろう。

「でも、しばらくは会えないだろうね」

「確かに、私は推薦入試制度を活用するから年内受験になるもんね」

「そう、私は共通テスト利用だから年明けまで気が抜けないよ」

大学受験を控える私達が、こうやって会うことは難しい。去年までは、スケジュールさえ合えば、連休を活用して会っていた。だけど、今年からは長期休みにしか会えていない。次の冬休みには叶澄が忙しいだろうから、会えないだろう

「次会えるのはいつかな」

叶澄がポツリと呟く。大学に入学する前の春休みには会いたい。可能なら、2月ぐらいがいい。まあ、難しいだろうけど

「葵ちゃんの誕生日に会いたいな」

笑ってそうだねと返答する。まさか、同じことを考えていると思わなかった。

「でも、試験が2月にあるんでしょ?」

「二次試験のこと?試験自体は下旬だし、上旬だったら会えるよ」

正直推薦一本に絞ってからは共通テストシステムがよくわかっていない。でも、きっと忙しいし大変だろうということは、私でも容易に想像できる。だけど、可能なら会いたい

「会おうよ」

叶澄の言葉に背中を押された。

「そうだね、会おうか」

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