第7話 実妹百合NTRは業が深すぎる
今回エッッッな表現がいつもよりきついので苦手な方はご注意ください。
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堪忍袋の尾が切れたアクアルが目を付けたのはリリアーゼではなくロゼだった。
元も子もない事を言ってしまうと当時フォーチュン学園の第1学年首席であり、Aランク冒険者の資格を持っているアクアルですらリリアーゼとケンカになったら勝てないからね。
リリアーゼのお気に入りを傷付ける事で彼女の精神にダメージを与えようとしたんだろう。
で、そんなアクアルが何をしたのかだけど、まぁ言ってしまうとかなり杜撰な……普段の聡明な彼女ならまず実行しないであろう、らしくない物だった。
彼女はバレスチカ家にいる素行の悪い下男を二人選んで、ロゼを襲うように唆した。
普段からリリアーゼに椅子代わりにされているロゼは奴隷根性が染みついてるし、性格も大人しいから迫れば簡単にヤれるとか、そんな感じだ。
アクアルがこんな確実性がない上に被害者のロゼや加害者である下男達の口封じすらままならないような事をしでかすかと言ったら疑問でしかないけれど、本人がやったと証言してる以上、やったんだろう。
それで結局どうなったのかと言えば襲われたロゼがアクアルの予測に反して普通に大声を上げた事でリリアーゼが即座に駆けつけ、事なきを得た。
もちろん自分のお気に入りが傷付けられそうになったリリアーゼが黙っている筈がない。
リリアーゼは下男達を暴力で脅して彼らを唆した相手を吐かせた後に容赦なく抹殺、すぐさまロゼを連れてアクアルの部屋へと乗り込んだ。
リリアーゼとアクアルの激しい争い(とは言ってもほぼ一方的な物だったらしいが)による物音でようやくこの異変に気付いた僕が駆け付けた時には既にアクアルはリリアーゼによって制圧されていた。
部屋に乗り込んだ僕が見た物は正気を疑うような物だった。
アクアルは後ろ手にされた状態で風の魔力で作られた枷により手首を拘束されており、着用している蒼を基調としたドレスは無惨に破られ、乳房や太腿が大きく露出させられていたのだ。
そんな光景に酷く動揺しつつも止めに入ろうと近付いた僕だったが、リリアーゼはこちらを見る事すらなく、彼女に後ろ回し蹴りを叩き込まれた僕はあえなく吹き飛び部屋の壁に激突して動けなくなってしまう。
そこから先は色々と……凄かった。
お気に入りのロゼを汚されかけたリリアーゼが拘束されたアクアルに対して何をしようとしてるかなんて流れを知っている者からすれば(ちなみに当時の僕は全く状況を理解できてない)自明の理ではあるが、彼女は意外にも丁重に?アクアルの身体を扱った。
リリアーゼはアクアルの露出した二の腕、肩、形の良い大きめな乳房、太腿の付け根、そして彼女の大事な場所と、労わるように優しく愛撫しつつ『お姉様、我慢なさらずともいいんですのよ?』とまるで恋人を気遣うかのようなセリフを吐きながら絶頂へと導いていった。
物凄いギラギラとした笑顔を浮かべながら。
しかも連れてきたロゼに対して『良く見ておきなさい、これがわたくしに逆らった者の末路よ』と尤もらしい事を言いつつ、明らかに彼女の反応をも楽しんでいる始末だ。
ちなみにそんな話をふられたロゼだが、顔を真っ赤にしながら自分の眼を手で覆う事によって視界を閉ざして……いない。
どう見ても指の隙間からがっつり覗いており、リリアーゼの攻めとアクアルの痴態に魅入っていた。
意外とムッツリだこの子。
そして僕は––––リリアーゼの手によって嬲られるアクアルから目を逸らせなかった。
学生時代に首席を勝ち取り、容姿にも優れ令嬢達から声を掛けられる事が多い立場だったにも関わらず、誰ともお付き合いする事なく青春を終えるほどに性欲が薄いこの僕が、下半身のソレを痛くなる程に膨張させていた。
アクアルの真っ白な肌と美しい泣き顔が脳へと刻み込まれていく。
彼女が涙声で『兄さん、見ないで……』と懇願しているにも関わらず、瞬きすら出来なかった。
最終的にリリアーゼは指でアクアルの純潔を奪い、それだけでは飽き足らず、執拗に彼女を攻め立てて幾度となく絶頂させ続けた。
そしてようやく長い行為が終わった後はドレスを脱がせて全裸にしてしまうと、ロゼに用意させた濡れタオルでアクアルの身体を丁寧に拭いてやり、手ずから寝間着へと着替えさせた。
その際、泣きじゃくるアクアルの肩を抱き、頭を撫でつけながら聖母のような慈しみの表情で『よく頑張りましたわね』と労いの言葉をかけていた。
たぶん脳汁の出過ぎで自分がお気に入りのロゼが汚されそうになった事への報復で来ていた事とか全部頭から吹っ飛んでる。
この事件によってリリアーゼは女の味を覚え、ロゼはリリアーゼへの依存心が強くなり、アクアルはバイセクシャルになって、僕は実の妹を性的な目で見る変態鬼畜兄貴に成り下がった上に実妹百合NTRに目覚めた。
……あれ?
僕が一番被害受けてないかこれ?
リリアーゼとロゼは元からあった素養が強くなっただけだしアクアルも嗜好の変化で説明がつくのに対して、僕だけ社会様への言い訳が不可能なんだけど。
……この後の事だけどアクアルは精神的ショックを受けて家に引きこもったりする事もなく、むしろそれまで会話らしい会話もしてこなかったリリアーゼやロゼと積極的に関わるようになった。
メンタル強い。
さすが僕の妹……間違えた、リリアーゼの姉だ。
あ、僕はしばらくの間アクアルの顔をまともに見る事すらできなくなったよ。
正直あのザマで彼女に嫌われなかったのは奇跡だと思う。
ただ、ここまでは散々だった上に情けないだけの僕だったけれど、いい変化もあるにはあった。
まず今まで義務感のみで嫌々参加していた社交界、それに出席する際はパートナーを探すつもりで出来る限り声を掛けてくる女性達との対話にも応じるようにした。
性癖が歪んでしまったとはいえ、それを理由にして大切な妹を傷付けるような屑にはなりたくなかったからだ。
するとあれよあれよと言う間にさる侯爵家のご令嬢から婚約を持ちかけられ成立してしまった。
騙すような形になるのは避けたかったので婚約が決まる前にそのご令嬢には自分が妹に欲情する変態だと正直に打ち明けたが、彼女はなんとアクアルの同級生で友人だったらしい。
話を聞かせても僕を蔑む事もなく、それどころか『アクアル様はとても魅力的な方ですからグレン様がお惹かれになるのも無理はない事です。わたくしも彼女の域に少しでも近付けるよう努力致しますので貴方のお側にいる事を許しては頂けませんか?』とまで言われてしまった。
あまりにもいい子すぎる。
彼女を泣かせるような事は絶対にないようにしよう。
結婚したら生活水準は侯爵家基準から子爵家基準に下がってしまうのでそこは我慢してもらうしかないけど。
あともう一つ。
あの事件の後、もしまたアクアルがリリアーゼと対立した時、彼女を守る……のは難しいけど逃げる時間を稼げるぐらいにはなろうと鍛錬にかける時間を増やすようになった。
そしたら父上から『ようやっとる(超意訳)』と褒められ、バレスチカ家の次期当主として正式に嫡男に認定された。
嫡子に関してはそれまでリリアーゼがなると思い込んでいたから寝耳に水な状態だったけど、父上が彼女だけでなく、僕の事もしっかり見ていてくれたと分かった時は嬉しかった。
……うん、こうして過去を思い返しては見たものの、案外なんとかなるかもしれないな。
リリアーゼがロゼをちゃんと妹として扱うなら、彼女の外での醜聞も次第に落ち着いていくかもしれない。
そう思い込む事にする。
なんにせよ、これから家族が一人増える事は決まったんだ。
次期当主として、現当主代理として、僕は僕なりのやり方で彼女達を守っていく事にしよう。
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ここ書いててアクアルお姉様から凄まじいポテンシャルを感じ取ったのでお姉様をサブキャラクターからメインキャラクターに昇格させる事に決めたという経緯があったりします。
なので学園に生徒として出す為に年齢設定を変更してたりします。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
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