第68話 清楚系A◯女優は清楚なのですわ!
△△(side:リリアーゼ)
わたくしは己の背に真っ黒な翼を生やすと、足元に結界を敷き上空へと浮かび上がっていくレイライトに向けて突撃しましたわ。
まったく、おもしれー事してくれるじゃねーですの。
レイライトがわたくしの連れに魔物をけしかけてくるのは予想してはいましたけれど、まさか『アビス・スパイラル』の魔物まで持ち出してきたのは予想外でしたわ。
もっとも、我らがバレスチカ家のリーダーたるグラントお父様には既に綿密な作戦を伝えてありますの。
ロゼの安全を確保する為に失われた身体の部位を再生できる程の優れた治癒能力を持つシャルロットをコンビにして、わたくしが仕込んだ奥の手である【氷炎】を使えるアクアルお姉様を筆頭に、お父様とお兄様を含めた四天王3人で殲滅する。
つまり!あとはわたくしがレイライトをぶち◯せばそれでフィニッシュなのですわ!
「おらぁっ!ですの!」
挨拶がわりに足に風の魔力を纏わせてそのまま飛び蹴りをレイライトに向けて放ってやりましたわ。
敵とはいえ令嬢に百合乱暴(控えめな表現)以外の暴力を振るうのはわたくしのポリシーに反した物なのですけれど、当然ながらこれを易々と喰らうほどレイライトは間抜けではありませんの。
やはり、というべきかわたくしの蹴りは彼女の前に展開された【障壁】の1枚目を突き破り、2枚目に到達した辺りで防がれていましたわ。
その隙を狙って鞘から片手剣を抜刀し、生意気にもわたくしの美しい脚を斬りつけようとしたレイライトに対し、わたくしは展開された【障壁】を強く蹴り付ける事で距離を取り、両手に装備した3本の鋭い巨大な爪を取り付けた手甲鉤、『竜爪』を構え直しましたの。
一方、レイライトは鍔のない真っ白な刀身をした彼女固有の装備、『聖剣センチュリオン』を右手に持ち、右足を後ろに引き、刀身を自分の身体に隠すような構えを取りましたわ。
所謂脇構えというやつですわね。
表情に若干の緊張を滲ませつつも確かな決意を持ってわたくしを見据える、ホワイトロリータの衣装に身を包む少女……。
「そそりますわね」
少し前にロゼと今後のわたくし達の性生活の予定(第62話参照)を話し合って以来、彼女と一緒にレイライトについて語り合う事が増えましたわ。
その際、ロゼが言った一言。
『アーゼちゃんは凄くえっちなのが魅力的ですけど、レイライト様は対照的に清楚なとこがとてもいいと思います』
この発言を聞いた時、わたくしは汚い汚っさん達にぶち◯されまくった(推測)レイライトが清楚というのがいまいちピンと来ず、清楚系A◯女優みたいなものかしらと思ったのですけれど、今なら分かる気がしますの。
汚い汚っさんどもに何度◯されようとも決して心を折らず、憎い相手に絶対屈服してやるものかと敵意を剥き出しにして抵抗する彼女の気高くもいじらしいその姿は、確かに清楚というに相応しいものなのですわ。
早くヤりてぇですわね。
「【黒閃】!」
わたくしは黒色の風を収束させて数多の鋭い刃を創り上げると、それをレイライトに向けて放ちましたわ。
その数はゆうに50を上回るほど。
失われた四肢を復活させる程の治癒力を有するシャルロットがこちらにいる以上、◯にさえしなければどうにでもなるのですわ。
これに対してレイライトは光属性の魔力を這わせた『センチュリオン』を横一閃に振るい––––
「【聖結晶】」
【黒閃】を上回る数の、光属性の魔力で造られた【障壁】の欠片、それらを一斉にこちらに向けて飛ばしてきたのですわ。
本来防御に使う筈の結界魔法を攻撃に転用するレイライトの主な戦術。
同じ聖女でもシャルロットとは魔力操作能力が段違いですの。
カチあった【黒閃】と【聖結晶】は相殺––––せずに一方的に【黒閃】を掻き消してきやがったのですわ。
わたくしは迫りくる数多の障壁の欠片を背に生やした黒の翼を羽ばたかせ、大回りで回避しましたの。
「……ふう」
こうなる事は予想できていたのですわ。
原作ゲーム『ふぉーみら』において光属性は闇属性に対して1.2倍の補正がかかり、逆に闇属性は光属性に対して0.8倍の逆補正がかかりますものね。
わたくしとシャルロットぐらい実力がかけ離れていれば闇が光を喰らう事もあるでしょうけれど、残念な事にわたくしとレイライトのスペックはおそらくほぼ五分。
つまり単純な魔法戦でわたくしがレイライトに勝つ事は不可能。
ならば––––
「やはり暴力……! 暴力は全てを解決するのですわ!」
わたくしは『竜爪』を構え、上空を超高速で旋回しつつレイライトに向けて突撃しましたわ。
彼女が接触してくる前、具体的には1年程前に自分達のレベル上げの段取りを決めた時点で既に、わたくしは最終的に討ち倒す仮想敵をレイライトに絞って行動しておりましたのよ?
今わたくしが装備している、これと言った特殊効果がない代わりに攻撃力と強度にのみ特化した『竜爪』だってその一環。
圧倒的なスピードとパワーで捩じ伏せて、屈服させてわたくしとロゼの◯奴隷にしてやるのですわ!
「【強化】。【亜空障壁】」
「……!」
上空の至る所に半透明の【障壁】が展開されましたの。
レイライトはその【障壁】を【強化】で強化された身体能力を活かして脚で蹴り次の【障壁】に飛び移り続ける事で空中をわたくしに負けず劣らずの超スピードで駆け回り始めやがったのですわ。
「……うふふっ」
意図せず笑みが溢れてしまうわたくし。
なるほど。
何故先程からシャルロットが使う飛行魔術、【白羽】を使わないのか疑問に思ってましたけれど、そういう事でしたの。
確かにこんな芸当が出来るなら【白羽】なんて使う必要ありませんわね。
だって空中で地上のように戦う事ができるんですもの。
しかも展開された【障壁】はわたくしの行く手を阻むかのように配置された物もちょくちょくあり、妨害まで兼ねている始末。
これが真の聖女たるレイライトの実力。
あの太腿と力量で聖女を名乗っているシャルロットはわたくしに全裸土下座するべきですの。
「アハハハハハ!!!」
気付いたらわたくしは大声で笑い声をあげていましたわ。
だって、わたくしが本気を出しても壊れない相手なんて今まで存在しなかったんですもの!
レイライト。
あなたはやはりわたくしと双子なだけある。
––––否、この世界で唯一わたくしと対等な存在なだけあるようですわね!
数十回ほどわたくしの『竜爪』と『聖剣センチュリオン』が衝突し、一度距離を取ったところでレイライトが険しい表情をして頬を掻いているのが見えましたわ。
……なんですの?
わたくしが自分の頬に掌を当てると、ぬらりとした感触が伝わりましたわ。
驚いたわたくしが掌を見ると、そこには真っ赤な血液が付着していましたの。
え?
この女、わたくしの美しい顔に傷を付けやがりましたの?
一瞬我を忘れかけたわたくしにレイライトが生意気にも声をかけてきやがりましたわ。
「ねぇ、もうやめたら?」
…………は?
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何故か流れ弾が飛んでくるシャルロット。
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